60歳以上の貯蓄、収入、仕事、支出…気になるお金事情は?
LIMO / 2020年11月3日 20時0分
60歳以上の貯蓄、収入、仕事、支出…気になるお金事情は?
老後は誰にでも必ず訪れますが、自分の老後となるとなかなかイメージしづらいもの。
むしろ、目の前の生活に忙しい30代から50代の世代には、セカンドライフまで考えている余裕がないというのが近いかもしれません。また、シニア世代である自分の親にも、生々しいお金の話は聞きにくいでしょう。
内閣府の「令和2年版高齢者白書」では、シニアの実際の生活ぶりを知ることができます。老後を迎えている世代が、どんな暮らしを送っているのかを見てみましょう。
シニアは貯蓄をいくら持っているの?
「令和2年版高齢者白書」によると、世帯主が60歳以上の世帯(2人以上世帯、以下同)の、令和元年における貯蓄額(貯蓄現在高)の中央値は1,515万円。全世帯の中央値が1,036万円なので、中央値で見ると約1.5倍となっています。
また、4,000万円以上の貯蓄を保有する60歳以上の世帯も16.6%で、全世帯の11.1%を上回っています。一方で、貯蓄額が100万円未満の世帯も8.3%あります。そして、老後資金の一つの目安のように言われている2,000万円以上の貯蓄がある60歳以上の世帯は39.9%、つまり約4割という結果です。
収入はどのくらい?
同白書によると、60歳以上の1か月の収入(配偶者と同居している場合は、夫婦の収入の合計)の平均額は、「10万円~20万円未満(年額では120万円~240万円未満)」が30.9%で最も多く、次いで、「20万円~30万円未満(年額では240万円~360万円未満)」の25.8%となっています。
収入の種類としては「公的年金や恩給」の87.3%、「仕事による収入」の41.0%が主なもので、60歳以上の人の約半数は預貯金を取り崩さずに生活しているという結果でした。
4割近くのシニアは仕事をしている
全国の60歳以上の男女で、「収入のある仕事をしている」人の割合は37.3%です。70歳以降は減るものの、それでも70歳~74歳未満男性で41.7%、女性で35.5%。いずれも5年前(平成28年)の調査から増加傾向にあります。
就業形態は、「パートやアルバイト」34.3%、「自営業や個人事業主など」が33.0%。また、仕事をする理由は、「収入がほしいから」が45.4%、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」の23.5%となっています。
支出の中で大きな割合のものは?
同白書で支出面を見ると、60歳以上全体で見た過去1年間で大きな割合を占める支出の上位は次の通りです。
食費 59.4%
光熱水道費 33.1%
保健・医療関係の費用 33.1%
交通費・自動車維持費等の費用 25.7%
趣味やレジャーの費用 19.1%
子や孫のための支出(学費含む) 18.6%
生命保険や損害保険の保険料 17.0%
全体で一番多かったのはやはり食費。また、年齢が上がると医療費などの負担も増えてきます。
60歳代は、まだ住宅ローンの返済やレジャーや孫への支出、保険料なども含め、総じて支出が高い傾向です。しかしそれも70歳以降は徐々に低くなっています。
60歳以上の4分の3は暮らしについて心配していない⁉
では、シニアは自らの暮らしぶりについてどう感じているのでしょうか。
同白書によると、60歳以上全体では「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」が20.1%、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」が54.0%。合わせて74.1%と約4分の3になるなど、意外と悲観的ではないようです。
しかし今の50代までの現役世代では、就職氷河期があったり、非正規雇用が増えたり、将来の公的年金への不安があるなど、今後は生活への意識は大きく変わりそうです。
おわりに
「令和2年版高齢者白書」によると60歳以上の約4割は収入のある仕事をしているなど、シニアは必ずしも年金だけで暮らしているわけではないようです。
いずれやってくる老後に向け、しっかり資金を貯めていくのは大切なことです。一方で、元気なうちは働くということも、人生100年時代を過ごすには欠かせないのかもしれません。そのためにも、健康的な生活を送ることにも気を配りたいものです。
【参考資料】「令和2年版高齢社会白書(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/zenbun/02pdf_index.html)」(内閣府)
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