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まさか家族を疑うなんて…。認知症の「物盗られ妄想」に寄り添うには?

LIMO / 2020年11月1日 15時5分

まさか家族を疑うなんて…。認知症の「物盗られ妄想」に寄り添うには?

まさか家族を疑うなんて…。認知症の「物盗られ妄想」に寄り添うには?

介護をしていると、さまざまな問題に直面することがあります。とくに認知症の人を在宅でケアしている場合、対応方法に悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。

認知症で現れる症状のなかでも、「物盗られ妄想」はとくに対応が難しいとされるものの1つです。「あれを盗まれた!」などと急に言われても、どう答えればよいのか戸惑ってしまう、どう対応したら良いのか分からない、と悩みますよね。

そこで今回は、「物盗られ妄想」の原因や対応方法などを解説し、上手な接し方や、声かけの方法をアドバイスしていきます。

「盗られた」のは、本人にとって大切なものが多い

「物盗られ妄想」は多くの場合、本人にとって大切なものが見つからないときに起こります。

幼いころに貧しい時代を経験したり、若いころに苦労したり、という人は、財布や通帳などお金に関わるものを「盗られた!」と訴えることが多いです。

また、認知症の人は最近の記憶(短期記憶)よりも、昔の記憶(長期記憶)の方がよく覚えているため、ふとしたときに「あれどこにやっただろう?」などと、何年も見ていないようなものを急に思い出し、「どこにもない!盗られた!」と落ち着かなくなってしまうことがあります。

「物盗られ妄想」の背景にあるものは?

認知症でうまく記憶ができなくなると、「自分が財布などをしまった場所が思い出せない」「自分がしまったということ自体を忘れてしまう」といったことが起こります。

「本人にとって大切なものがない+しまったはずの場所にない(自分がしまったこと自体を忘れている)」となれば、不安を感じ、「誰かに盗られた!」と思うのは、とても自然なことなのです。

また、孤独感や疎外感なども「物盗られ妄想」を引き起こす原因となります。

今までできていたことができなくなり、家族に怒られたり、相手にされなかったりすると、不安や不満が溜まります。その結果、ストレス発散のような形で周りの人を疑うことがあるのです。

なぜ家族や介護スタッフが疑われやすいの?

本人にとって「身近な人」だからです。

たとえば、私たちも自分の部屋のものがなくなったとき、探しても見つからなければ、近くにいる家族に「私のスマホ、どこにあるか知らない?」「私の消しゴム、学校に持っていった?」などと確認しますよね。

わざわざ外から泥棒が入ったとは思わないのではないでしょうか?

認知症の人たちもまったく同じです。大切なものが見つからなければ、一番介護をしてくれている人や、一緒にいる時間が長い人に尋ねたり、疑ったりするのです。

家族や介護をしている人は、「こんなに心を込めてお世話しているのに…」と悲しく感じるかもしれませんが、「身近な人・一番介護をしている人だからこそ疑われているのだ」と発想を転換すれば、少し気持ちが楽になるかもしれません。

「物盗られ妄想」が現れた時にすべき4つの対応

1. まずは話を聞いて「共感」する

認知症の人が「財布がない!」などと騒ぎだしたら、しっかり話を聞いて、「それは大変だね」「困ったね」などと共感しましょう。

話を聞くときは、腕を組んだり、上から見下ろしたりせず、本人の目線に合わせることも大切です。話を聞いてもらい、共感してもらうだけでも、安心して少し落ち着きを取り戻してくれることがあります。

反対に、「なくなるわけないでしょう!」「自分でどこかにしまったんでしょう!」などと本人を否定する言葉をかけるのは、NGです。

ここで否定されてしまうと、本人は「お前が盗んだんだろう!」というように反発し、疑いの目を向けたり、暴力につながったりする可能性があります。

まずは、本人の言動を否定せず、困っていることに耳を傾け、共感する姿勢を見せましょう。

2.一緒に探す

共感をしたあとは、なくなったものを一緒に探しましょう。

一緒に探してくれるというだけで、認知症の人には「見つかるかもしれない」という安心感が生まれます。

介護者が先に見つけるのも悪くはないのですが、あまりに早く見つけてしまうと、本人の自尊心を傷つける可能性があります。

「お前がそこに隠したんじゃないのか」という新たな疑いをかけられることもあるため、先に見つけた場合は、「この辺は探した?」などと声をかけて誘導し、「本人」に見つけてもらうことをおすすめします。

本人は、大切なものがないことを本気で心配しています。介護者も探すときは、適当に探すのではなく、一生懸命探している姿を見せなくてはなりません。

3.見つかったら一緒に喜ぶ

探しものが見つかったら、「見つかって良かった~」「安心したね!」などと、本人と一緒に喜びましょう。「やっぱりあったじゃない!」などと声をかけるのは、NGです。

最後に、本人を否定してしまえば、不信感が生まれ、さらに疑いの目を向けられたり、泥棒扱いされたりすることもあります。

本人の、「見つかった」「嬉しい」という安心感や喜びに寄り添ってあげることが大切です。

4.どうしても見つからないときは、話題を変えてみる

探している対象が、何年も前のものであったり、見つからなかったりする場合は、「疲れたね。少し休憩しようか!」などと声をかけ、お茶を飲んで話題を変えることも1つの対応方法です。休憩している間に落ち着きを取り戻す場合もあります。

どうしても落ち着かない場合や、家族を疑って興奮しているときは、家族が近くにいることが余計に興奮状態を強めていることも考えられます。本人から見えないところや、離れたところから見守るなどの対応を取ることで、少しずつ落ち着きを取り戻すこともあります。

「物盗られ妄想」を起こりにくくするには?

普段から、片付ける場所を決めておく

「物盗られ妄想」が頻繫に現れるのであれば、普段から、タンスや物入れなどにシールを貼るなどして、どこに何が入っているのかが、一目でわかるような工夫をしましょう。

シールなどを貼ることで、本人がものを片付けるときにも、一定の決まった場所に入れられるようになります。

探しているものの場所がすぐにわかるように「見える化」できていれば、本人も安心して生活を送ることができ、「物盗られ妄想」は徐々に減っていくことが期待できます。

コミュニケーションをとる機会を増やす

普段から、本人と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

「物盗られ妄想」は、さびしい気持ちから起こることもあります。そのため、落ち着いている時間に本人の話をゆっくり聞いてあげる機会を設けたり、悩みや不安を受け止めてあげたりすることで、症状が落ち着くこともあります。

本人の「困り感」に寄り添う

「物盗られ妄想」は、頭ごなしに否定しないことが重要です。

最初に否定してしまえば、そこからは「お前が盗んだ」などと責め立てられたり、落ち着きがなくなったりするだけです。

認知症だということは関係なく、自分も大切なものがなくなったときは同じように不安になることを思い出し、丁寧に対応しましょう。また、事前に「物盗られ妄想」を防ぐ対策をおこなうことも大切です。

ものがしまってある場所を「見える化」しておくことや、日ごろから上手にコミュニケーションをとっていくことは、認知症の人たちの不安を和らげることにつながります。

事前の対策や、症状が出た時の対応がどうしてもうまくいかないときは、早めにケアマネジャーや医師に相談し、何らかのサポートを受けることをおすすめします。

本人の「困り感」に寄り添う介護の一助となればと思います。

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