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「専業主婦になるなら、夫の年収はいくら必要?」3つの年収ゾーンの実態とは

LIMO / 2020年11月5日 17時0分

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「専業主婦になるなら、夫の年収はいくら必要?」3つの年収ゾーンの実態とは

「専業主婦」VS「兼業主婦」――ある掲示板に書き込まれた、「専業主婦になるなら、夫の年収はいくら必要ですか?」という質問。リアルな疑問ながら、なかなかママ友や友人とも話しづらいお金の話題に、実際に専業主婦でいるための年収はいくらなのかと、ネットだからこそ気兼ねなくできる議論が起こりました。

昭和時代から培われてきた専業主婦=勝ち組?という一般的な印象ですが、もはや令和となった今、本当のところはどうなのでしょうか?

居住地や子どもの有無、年収に応じて予想される暮らしや貯蓄を、国税庁等の公式発表データを使いながら調査してみました。

ちょっと厳しいかもしれない?年収~約400万円

国税庁が令和2年9月に発表した「令和元年分民間給与実態統計調査結果について(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/minkan/pdf/2019chosakekka.pdf)」によると、令和元年分の平均年収は一人当たり436万円、賞与を除いた給料手当は366万円。単純計算で12分割した場合、1ヵ月の額面は約30.5万円です。
総務省が令 和2 年 10 月9 日に発表した「家計調査報告-2020年(令和2年)8月分-(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf)」に記載の、「1世帯当たりの消費支出(二人以上の世帯)」が276,360円というデータを合わせて考えると、居住地やそれに準ずる住居費の差に関係なく、二人以上の世帯にとっての年収400万円は大変厳しい金額といえるでしょう。

額面年収から保険料等控除後の手取り金額では、日本での平均的な支出・生活レベルを工面するのも工夫が必要かもしれません。専業主婦(夫)になり夫婦二人の暮らしをやりくりするのは可能かもしれないものの、子どもを持ちそれにかかる金額も増えていった場合も考慮すると、新たな収入源を探す道もありそうです。

実際には現実的な数値――年収約600万円~800万円

総務省統計局が2020年10月9日に公表した「家計調査報告(二人以上の世帯)-2020年(令和2年)8月分-(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html)」によると、「勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)」は1世帯当たり528,891 円。単純計算で年収約635万円と考えた場合、600万円~800万円は専業主婦になるために妥当な年収のスタートラインといえるかもしれません。

ただし、諸経費や居住地等を考慮せずに計算した今回のようなケースでも、1年間で貯蓄に回せる金額は約100万円~165万円程度。たとえばおなじ年収を得ていても、東京都内の二人以上世帯が居住できる住宅にかかる家賃は相場約10万円以上が当然であり、地方都市やその他であればその6割程度ともいわれています。

さらに前項でも述べていた消費支出276,360円に加え、子どもを1人2人と持った場合、夫婦の分の貯蓄だけでなく子の未来にかかる教育費等も合わせて貯蓄しなければなりません。夫婦二人で暮らしていくためなら苦労はないかもしれませんが、子を持つ世帯にとっては、専業主婦になるには不安が残る年収なのではないでしょうか。

一見余裕そうな年収~約1,000万円

「年収1,000万円」――こう聞くと、大変高い年収であり、ゆとりのある豊かな暮らしができるだろうというイメージを抱く人はとても多いでしょう。12分割しても月額約83万円であり、一般的な物価や家賃から考慮すると、一体どこにそんなにお金を使う生活があるだろうかなどと思ってしまうほどです。しかし年収1,000万円の人たちの実際の手取り額は、実は700万円~800万円。多くの割合を税金等で引かれ、実際に暮らしや貯蓄に使える金額は意外につつましいものに。
また、国税庁長官官房企画課が令和元年9月に発表した「平成30年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」によれば、年収1000万円以上~を得ているのは全体の5%との結果が出ています。“専業主婦(夫)になる”ことを考えた場合、その5%の勤労者の伴侶になる人口もまた、5%程度ということに。子を持つ世帯にとっては、子育てにかかるお金の心配はもちろんのこと、夫婦二人の生活費・老後の貯蓄だけでも何かと不安な現代。自分がその5%に入るのかどうかを計算するよりは、夫婦二人で支え合う家計が安心かもしれません。

子の有無や居住地なども大いに関係!それぞれにゆとりある暮らしを目指そう

3ゾーンに分けて見てきた年収ごとの実態ですが、どのゾーンでも正直なところ、完全な専業主婦(夫)になり、家事、ひいては育児等に専念する生活を実現するのはなかなか難しいのが現状のようです。家族にとって夫婦共働きが可能な状況なのであれば、2馬力で家計を支えていくスタイルがリスクマネジメントの観点からも合理的といえそうです。

母子家庭や専業主婦の貧困に詳しい周燕飛氏が独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表した「専業主婦世帯の貧困:その実態と要因(https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/15j034.pdf)」によると、専業主婦世帯の平均実収入(年間)および平均可処分所得は、夫婦共働き世帯に比べてそれぞれ 17.9%~19.4%も低いことが分かったそうです。標準的な4人世帯(夫婦と子2人)のみに絞って見た場合でも、専業主婦世帯と共働き世帯との収入格差は 10%以上も存在しているという厳しい結果が出ています。

もはや専業主婦は“勝ち組”の代名詞ではなく、徐々に貧困がちらついてしまうワードに変化してきてしまっているのかもしれません。夫婦のありかたも子の有無も多様になってきた令和においては、昔ながらの家族形態や男女の性差にとらわれることなく、それぞれの家族にとってゆとりのある暮らしがもてるよう、働き方も柔軟に組み合わせていくのがおすすめといえるのではないでしょうか。

【参照】
(既婚女性限定「専業主婦になるなら、夫の年収はいくら必要ですか?(https://okgirl.net/110919.html)」 anke
国税庁企画課「令和元年分民間給与実態統計調査結果について(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/minkan/pdf/2019chosakekka.pdf)」
総務省「家計調査報告(二人以上の世帯)-2020年(令和2年)8月分-月次結果(概要及び統計表)(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf)」
総務省「家計調査報告(二人以上の世帯)-2020年(令和2年)8月分-(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html)」
国税庁長官官房企画課「平成30年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」
労働政策研究・研修機構―周燕飛「専業主婦世帯の貧困:その実態と要因(https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/15j034.pdf)」

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