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定年後70歳、貯蓄額はどのくらい?老後の貯蓄格差で悩まないために

LIMO / 2020年11月7日 20時45分

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定年後70歳、貯蓄額はどのくらい?老後の貯蓄格差で悩まないために

人生100年時代といわれている現代社会において、定年は一体いつになるのか、老後資金はいくら必要なのだろうかと、いつかやってくる「老後」に対して不安を抱く人も多いのではないでしょうか。金融広報中央委員会実施の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/pdf/yoronf19.pdf)」によると、老後の生活に関して『心配だ』と感じている世帯は81.2%にものぼり、その理由として73.3%の世帯が「年金や保険が十分ではないから」をあげていることが分かります。

やはり老後の一番の不安材料はお金ということなのでしょう。二番目、三番目に多い理由を見てみても「十分な金融資産がないから」「現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備していないから」と続いており、このまま老後を迎えてしまってお金は大丈夫なのかと不安感を覚えている人が多い現状が読み取れます。

今回は人生100年時代となった今、老後といわれる70歳に焦点をあて、70歳世帯がどのくらい貯蓄を持っているのか、また今問題となっている老後格差に苦しまないために今からできることは何かを考えていきましょう。

70歳の貯蓄額はいくらか 

さて70歳世帯はどのくらいの貯蓄をもっているのでしょうか。先ほどの調査を元にみていくと、70歳以上の貯蓄額は平均「1,978万円」、中央値で「1,100万円」となっています。お金に関するデータを扱うとき、「平均値」と「中央値」をよく使いますが、平均値というのは一部の高所得者層のように桁違いのデータが入るとその値がぐんと引き上がってしまい、実態に即さないデータとなる可能性が高くなります。そこで貯蓄額などのお金に関する調査では、データを順番に並べたときに大体真ん中にくる「中央値」というものをよく使い、よりリアルな貯蓄額を表すようにしています。

さて、今回70歳以上の貯蓄額の中央値は1,100万円というデータが出ていますが、このデータは「金融資産を所持している世帯のみ」の数値です。金融資産とは、例えば現金・預貯金・株券・投資信託・債券・生命保険(掛け捨ては除く)など、実体を持たずとも資産として評価額を算出できるようなものをいいますが、注目して欲しいのは70歳以上に金融資産の有無を調査した結果「金融資産を持っている」が68.9%、「金融資産を持っていない」が31.1%にものぼるということです。

先ほどの貯蓄額の平均値・中央値でも金融資産を持っていない世帯を含めた統計となると、平均値が「1,314万円」、中央値が「460万円」となっており、金融資産を持っている世帯と持っていない世帯とで、大きく格差が出てしまっていることが分かります。

高齢者に広がる貯蓄格差 

このように金融資産を持っている世帯と持っていない世帯とで浮き彫りになってきた貯蓄格差。一体どのくらいその格差が開いているのでしょうか。同調査における70歳代世帯の金融資産保有額別の割合(金融資産を保有していない世帯も含む)についてみていきましょう。

まず、金融資産非保有世帯の割合は先ほども記載したとおり31.1%です。そして金融資産100万円未満が3.4%、金融資産100万円~300万円未満が6.3%、金融資産300万円~500万円未満が5.6%、金融資産500万円~700万円未満が6.2%、金融資産700万円~1,000万円未満が6.4%、金融資産1,000万円~2,000万円未満が14.2%、金融資産2,000万円以上が19.5%となっています。

この数値を見ていくと、金融資産を持っていない世帯の割合と金融資産を1,000万円以上保有している世帯の割合が全体の約30%とほぼ同じような割合であることが分かります。つまり大きな枠でくくると、70歳以上世帯では金融資産を1,000万円以上持っているか、全く持っていないかでほぼ二極化状態となっているわけなのです。

老後の貯蓄格差で悩まないために、今できること

内閣府が行った「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h27/zentai/index.html)」では、アメリカ・スウェーデン・ドイツの3カ国と比較し日本の高齢者の生活や老後生活に関する意識の違いについて調査しています。この調査によると、「50歳代までに老後の経済生活に対し何か備えをしていたか」という問いに対して「特になにもしていない」と答えた割合が日本は42.7%であることが分かっています。ほかの3国は軒並み20%代であった結果に対し、日本は約2倍の高い数値となっており、国際的に見ても日本は老後の生活費用に対する備えを早い段階から行っている人の割合が低いことが分かります。

老後の貯蓄格差で苦しまないためにも、現在まだ働き世代の人たちはこのような実態を把握した上で早めからしっかりと貯蓄を始めていく必要があるということはもちろんのことですが、ただお金を貯めるだけではなく、収入源確保のために老後の働き方についても今からしっかりと考えておくことも重要になってくるのではないでしょうか。

定年70歳になる日も近い?!

現在、私たちは希望をすれば65歳まで働けるようになっています。そして、まだ先にはなりますが2025年4月からは全ての企業においてそれが義務となり、「65歳定年制」がいよいよ確立されることとなります。しかしながら、65歳定年制の確立を待たずして2021年4月、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務として課されることになることをご存じでしょうか。

もちろん努力義務となるので、それを導入する会社、導入を見送る会社など対応はさまざまかとは思いますが、65歳定年制が義務化される経緯をみても、いつの日かそう遠くない未来に「70歳定年制」が確立される日もやってくるのではないかと想像できます。

人生100年時代となった今、老後資金を得るために体力があるうちはしっかりと働くということも一つの選択肢として念頭に置いておかなければなりません。社会の制度によって、また会社によってもいつまで働けるのか、給与体系はどうなるのか、自分の立ち位置はどうなるのかも異なってくるため一概に何が正しい選択かは断言できませんが、今から老後の働き方についてしっかりと考え、安定した老後を送れるようシミュレーションしておくことが大切なのではないでしょうか。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。


【参照】
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/pdf/yoronf19.pdf)」「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/19bunruif001.html)」各種分類別データ3金融資産保有額(金融資産保有世帯)・4金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
内閣府「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h27/zentai/index.html)」2.調査結果の概要(4)経済生活

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