日経平均が「29年ぶり2万5,000円」 バブル崩壊期の29年前はどんな時代?
LIMO / 2020年11月13日 21時0分
日経平均が「29年ぶり2万5,000円」 バブル崩壊期の29年前はどんな時代?
日経平均株価が実に29年ぶりの25,000円台を回復
11月10日(火)の東京株式市場は続伸となり、取引時間中に一時+440円高(前日比、以下同)の25,279円まで上昇し、取引時間中としては1991年11月5日以来となる約29年ぶりに25,000円台を回復しました。10日の終値は25,000円を割り込んだものの、翌11日(水)は終値ベースでも1991年11月1日以来の25,000円台回復となりました。
なお、12日(木)の終値は25,520円で今年初の8日続伸で引けています。果たして、29年ぶりという株高はこのまま定着するのでしょうか。
ところで、まだ日経平均株価の25,000円がごく当たり前だった29年前の1991年はどういう時代だったのでしょうか?
この記事を読んでいただいている方の半分程度(注:筆者推測)はまだ生まれていなかったか、もしくは、株式市場を含めた経済に関する知識がついていなかったと思われます。株式相場に少なからず関心を持つのが20歳前後と仮定した場合、ザックリ50歳以下の多くの人にとってリアルタイムでの25,000円は初体験だったと言えます。
そんな29年前の1991年(平成3年)を簡単に振り返ってみましょう。
29年前は3,200ドル弱だったNYダウ、現在は30,000ドル目前まで上昇
1991年の日経平均株価は、概ね25,000円前後で推移し、高値が27,270円(3月)、安値が21,123円(12月)でした。年末には結構大きな下落が見られています。ただ、1989年末の史上最高値(ザラバ値38,915円)からは既に最大▲17,000円以上下落していたものの、今後の反転への期待は高まっていました。
筆者も、“今は中長期的に絶好の買い場”という株式ストラテジストの強気予想が溢れていたことをハッキリと記憶しています。
しかしながら、翌年1992年8月にはあっという間に14,194円まで暴落し、その期待は一気に剥落したのです。なお、その後は上げ下げを繰り返しながらも下落トレンドが続き、リーマンショック直後の2008年10月には6,994円の最安値(ザラバ値)を付けています。
ちなみに、29年前の1991年の米国NYダウは3,168ドル(年末終値)でしたが、29年後の現在は史上最高値を更新し、さらに30,000ドル間近の位置にあります。日本株が29年ぶりの高値と言っても、上昇が続く米国株とは大きな違いがあることを改めて実感せざるを得ません。
29年前にも首相が交代! 宮沢内閣は最後の自民党単独政権
1991年11月には自民党の海部俊樹首相が退陣し、同じ自民党の宮澤喜一氏が新たに内閣総理大臣に就任しています。偶然にも29年後の今年2020年は安倍政権が終わり、新たに菅政権が誕生しました。
なお、29年前に発足した宮沢内閣は、29年後の現在に至るまで最後の自民党単独政権となっています。これ以降、総選挙で単独過半数を大きく上回る大勝は何度か起きましたが、全て連立政権という形です。
自民党が野党に下った2回(1993年、2009年)も、与党は連立政権でした。今振り返ると、一つの政党(=自民党)が単独で政権を担うのが当然だった最後の時代だったのです。
また、皇室に目を向けると、1991年2月に「立太子の礼」が行われました。これにより、当時の浩宮徳仁親王が正式に皇太子となられました。その皇太子さまは昨年2019年に天皇にご即位されています。
湾岸戦争が勃発、日本の国際貢献のあり方は現在でも大きな議論に
世界では1月に湾岸戦争が勃発しました。これは、前年(1990年)にクウェートへ侵攻したイラクに対して、米国を中心とする多国籍軍が空爆を開始したものです。
多国籍軍が圧倒的な軍事力でイラクを撃退し、3月に休戦協定が成立しましたが、解決はやや曖昧な形でした。実際、イラクのフセイン大統領が権力を維持したため、2003年のイラク戦争へと繋がっていきました。
なお、この湾岸戦争において、資金面での協力しかできなかった日本に対して国際的批判が高まり、その後の自衛隊派遣が実施されるきっかけになりました。そして、紛争解決への国際貢献のあり方は、日本の安全保障問題へと発展し、現在も議論が続いています。
大相撲では千代の富士と大乃国の2横綱が引退
大相撲では5月に横綱・千代の富士が引退し、7月には横綱・大乃国も引退しました。なお、千代の富士が引退を決意したと言われるのが、新鋭の貴花田(当時は前頭筆頭)に完敗したことです。貴花田はその後、貴乃花として横綱へ昇進して一時代を築きました。
引退後は親方として、また、協会理事として相撲界の発展に尽力しましたが、2017年11月に起きた一連の暴行事件を発端とする理事解任を受ける形で相撲界から身を引いて現在に至っているのはご存知の通りです。
その他のスポーツでは、IOC総会で’98長野五輪開催が決定して歓喜に沸きました。また、プロ野球ロッテの千葉移転の決定や、Jリーグの発足(開幕は2年後)が認可されるなどのニュースがありました。
チャーリー浜の『…じゃあ~りませんか』が流行語大賞に選出
今では年末行事としてすっかりお馴染みとなった「新語・流行語大賞」ですが、1991年の大賞には吉本興行のチャーリー浜による『…じゃあ~りませんか』が選ばれました。それまでも芸能人やタレントの発言が流行語になることはありましたが、喜劇俳優を含めた“お笑い芸人”による受賞はこれが最初と言っていいでしょう。
なお、芸能界では、この年の9月にアイドルグループSMAPがCDデビューを飾りました。その後に国民的アイドルグループとなり、2016年いっぱいで解散しています。
ちなみに、SMAPのデビュー当時は6人組で、1996年に1人がオートレーサーへの転身で脱退、その後は5人組で活動しました。今年2020年、その脱退した1人である森且行選手が日本選手権オートレースで初優勝したことが話題となったのが印象的です。
バブル崩壊でも将来に対する悲観は少なかった29年前
こうして振り返ると、当時は何気ない些細な事として扱われたものの、今からすれば大きな節目になったニュースが少なくなかったように思われます。さらに、バブル崩壊は認識されていた一方で、将来に対してはまだ楽観的だったと記憶しています。少なくとも、将来を悲観するような見方が主流ではなかったと言えましょう。
結果論ですが、やっぱり多くの人が未だバブル経済に酔っていたと考えられます。“バブル2日酔い”とでも言い表しておきましょう。もし、タイムマシンがあるならば「安心するな、目を覚ませ。株価が25,000円に戻るまであと29年かかるぞ!」と警告してあげたくなるのは筆者だけでしょうか。
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