バイデン氏は中国にどう圧力をかける? 安全保障や人権問題など米中対立は続く
LIMO / 2020年11月19日 20時0分
バイデン氏は中国にどう圧力をかける? 安全保障や人権問題など米中対立は続く
中国政府は13日、米大統領選で勝利を宣言したジョー・バイデン氏に対して祝意を表明した。当選が確実となった直後から欧州や日本は同氏への祝意を表明したが、これまで中国は「バイデン氏の勝利は認識している」と述べるに留まっていた。
尖閣諸島に関する認識を示したバイデン氏
バイデン氏の当選が確実になってから、習近平政権もバイデン政権の対中姿勢を本腰で考え始めたと思うが、最近になってそれも徐々に鮮明になってきている。
たとえば、バイデン氏は菅首相と12日に電話会談を実施。日米同盟の重要性を確認し、インド太平洋地域の平和と安定に向けて今後いっそう日米同盟を強化していくことで一致した。
また、その際、バイデン氏は日米安全保障条約第5条が尖閣諸島の適用範囲だとの認識を示している。
中国は既に予想していたかも知れないが、中国からするとこの時点で軍事安全保障上米国と対立する環境が続くことになり、基本的なスタンスはトランプ政権と変わりないと考えていることは間違いない。
日米豪印“クアッド”にさらなる進展の可能性
バイデン氏は選挙戦前から中国へは厳しい姿勢で臨む意志を示しており、海洋覇権や香港国家安全維持法、台湾問題などでは多国間協力を重視しながら中国をけん制していくことになろう。
特に、“国際協調”や“多国間”を重視するバイデン氏の政権では、最近急速に進む日米豪印“クアッド”を基本としたインド太平洋地域での多国間協力を積極的に進める可能性がある。
日本とオーストラリアは米国の軍事的同盟国であるが、バイデン政権では、副大統領にインド出身の母を持つカマラ・ハリス氏が就任する予定で、米印間でも安全保障上の発展が期待されている。
モディ首相はツイッター上でバイデン氏を祝福するだけでなく、「これはインド系米国人にとっても誇るべきことであり、あなたの支援とリーダーシップによって米印関係が発展することを願う」とハリス氏も祝福した。
人権問題では中国に「多国間圧力」か
一方、トランプ大統領と違い、バイデン氏は人権問題を重視している。よって、深刻化する新疆ウイグルやチベット、内モンゴルなどでの少数派弾圧の問題では、中国に対してトランプ政権以上に圧力をかける可能性がある。
トランプ政権は関税発動など貿易面で中国に圧力を掛けてきたが、バイデン氏の政権ではそのような貿易摩擦に拍車が掛かる可能性は低いものの、人権を武器に中国へ迫っていく可能性もある。
また、バイデン政権ではフランスやドイツ、英国など欧州主要国との関係は大幅に改善される。よって、米国が主要国と協力した多国間アプローチで中国に対応していく場合も想定され、中国はトランプ政権下では見られなかった多国間圧力というものに直面する可能性もあるだろう。
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