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定年後のセカンドライフ「むしろ増える支出」とは?「収入激減期」を支える3つの柱 

LIMO / 2020年11月20日 17時45分

定年後のセカンドライフ「むしろ増える支出」とは?「収入激減期」を支える3つの柱 

定年後のセカンドライフ「むしろ増える支出」とは?「収入激減期」を支える3つの柱 

コロナ禍において、老後のお金への不安は強まっているようです。メットライフ生命が2020年10月2日に発表した「老後に関する調査(https://www.metlife.com/content/dam/metlifecom/jp/corp/pdf/about/press/2020/201002.pdf)」(全国47都道府県の20歳~79歳までの男女14,100人を対象)によると、約半数が「不安が増えた」(48.7%)と回答し、老後の不安要素1位は「お金」となっています。

また、日本の平均寿命は、国際的にみても高いことで知られていますよね。厚生労働省の「令和元年簡易生命表の概況(平均寿命の国際比較)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-04.pdf)」によると、日本男性の平均寿命は81.41歳、女性は87.45歳であるそうです。この数値は比較されている諸外国の中で最も高く、名実ともに日本は長寿国だということが分かります。

しかし、そこで気になるのが定年後にやってくるセカンドライフ。65歳に定年を迎えたのちも、20年近く日常生活を送ることになるわけです。定年間近、このままの貯蓄で安心できるのでしょうか。そして、今後増える支出にはどんなものがあるのでしょうか。セカンドライフを支える資金についても考えていきましょう。

定年間近。貯蓄はどのくらいあれば安心?

「定年後も20年生きると考えると本当に長い。子どもだったら成人してしまう年月ですよ。今の貯金じゃ足りなくなるでしょうね」(Yさん・56歳)

「人生100年といわれるけれど、収入は上がらないし、教育費はかかるし。老後のことまで考えていられないのが正直なところです」(Kさん・50歳)

定年間近になると気になるのが、今後の生活を見据えた貯蓄額。定年前の50代、および定年~セカンドライフを迎えた60代・70代の平均貯蓄額をみてみましょう。

【50歳代】1,194万円(中央値600万円)/金融資産非保有21.8%
【60歳代】1,635万円(中央値650万円)/金融資産非保有23.7%
【70代以上】1,314万円(中央値460万円)/金融資産非保有31.1%

令和元年6月に金融庁が発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)」には、65歳以降の20年で1,300万円、30年で2,000万円の取り崩しが必要だと記載されています。各世代2,000万円とはいかないものの、おおよそ1,300万円には達するように見えるかもしれません。

しかし、これはあくまでも平均額。一般的に中央値の方が実情に近いといわれていますが、定年を迎える60代でも650万円しかなく、さらに金融資産を持たない世帯も各年代で2割以上存在していることが分かります。そして1,300万円・2,000万円という数字は、実は生活資金に限ったもの。老後に発生すると考えられる介護費用などは含まれないため、実際はこれ以上かかる可能性もあることを考慮しておくべきでしょう。

これからどんな支出が増えるのか

老後に今までのような収入がなくなり、支出で貯蓄を取り崩し続ければ、いつか底をついてしまいます。今後はどんなペースでお金を使っていくべきか、どのような準備をすべきか、定年後の収支を把握することが大切です。まず、定年後にはどんな支出が増えるのでしょうか。

ケガ・病気などによる医療費

年齢を重ねると、ケガや病気のリスクも増加するものです。厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/01.pdf)」によると、入院患者のおよそ73%が65歳以上であるそうです。「体だけは丈夫だったから」とおごらず、しかるべき準備をしておいた方が安心でしょう。

介護費用

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/2018honshi_all.pdf)」によると、介護期間は平均4年7か月であり、介護に要する一時費用は平均69万円。この費用は介護用ベッドの購入や自宅改装にかかったもので、公的サービスの自己負担を含む毎月の費用は平均7.8万円であるそうです。また、在宅介護に比べ施設を利用した場合、費用も高額になる傾向にあります。

定年後を支える3つの柱

現時点で貯蓄額が少ないと心配している方もいるかもしれませんが、定年後にいきなり収入がゼロになるわけではありません。定年後を支える3つの資金源を知り、そのバランスを考えて行動することが大切です。

1:年金

まず1つ目の柱は年金です。日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」によると、国民年金(老齢基礎年金・満額)は月額65,141円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)は月額220,724円です。就業期間や収入などによって個人差があるため、自身の受給額は「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で確認しましょう。また、個人年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などを利用して準備しておくのもおすすめです。

2:退職金

2つ目の柱は、老後の貯蓄を支える大きな資金源である退職金。しかし、退職金の有無や金額は勤めている企業によって大きな差があります。自身の退職金がいくら出るのかは、社内規定や通知などでしっかり確認しておいた方が安心です。

3:給料

3つ目の柱として注目されているのが、再雇用制度などによる収入源の確保です。「改正高年齢者雇用安定法(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf)」により、令和3年4月から70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となります。働き方も多様化しており、引き続き同じ企業で再雇用のほか、別会社に就職したり起業したりするケースも増えているようです。

現時点で貯蓄が心もとなくとも、こうした収入のバランスで無理なく老後生活を送ることも可能なはずです。また、内閣府では老後の生活全般にわたる相談窓口を掲載しています。困ったときはまず相談してみるのもいいでしょう。

セカンドライフのイメージを掴み、自分らしい生活を

誰しもが年齢を重ね、企業に勤めていれば定年がやってきます。「なんとなく不安」という気持ちをそのままにしておくよりも、しっかり老後資金について調べ、セカンドライフのイメージを掴んでおいた方がよりよい生活が送れるのではないでしょうか。今から準備できることもたくさんあります。自分らしい生活を送るためにも、早めに老後について考えておきたいものですね。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。


【参照】
メットライフ生命が2020年10月2日に発表した「老後に関する調査(https://www.metlife.com/content/dam/metlifecom/jp/corp/pdf/about/press/2020/201002.pdf)」
厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況(平均寿命の国際比較)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-04.pdf)」
金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/19bunruif001.htm)」4金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)」
厚生労働省「平成29年(2017)患者調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/01.pdf)」
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/2018honshi_all.pdf)」
内閣府「暮らしの相談窓口のご案内(https://www.cao.go.jp/soudan/soudan.html)」

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