北や中国に気を使う韓国、バイデン政権でも米韓関係には課題山積
LIMO / 2020年11月28日 20時0分
北や中国に気を使う韓国、バイデン政権でも米韓関係には課題山積
トランプ政権下で、米国と韓国との関係は悪化の一途を辿った。
今年10月には、米国防総省で第52回米韓安保協議会が行われたが、両国は防衛費の分担金問題を巡って激しく衝突。共同声明からは昨年とは異なり「在韓米軍の現水準を維持」という表現が取り除かれ、予定されていた両国国防トップの記者会見も中止されるなど荒れに荒れる事態となった。
また、韓国は日韓関係が悪化する中、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄をちらつかせたことから、米国の強い不信感を買った。
バイデン政権でも韓国は米中の板挟みに
では、トランプ政権からバイデン政権になると、米韓関係はどう変わるのだろうか。
11月12日、バイデン氏は文在寅大統領と電話会談を行い、韓国を防衛する意志とともに北朝鮮の核問題の解決に向けて緊密に協力する考えを文大統領に伝え、大統領就任後早期に米韓首脳会談を開催する方針を示した。
また、バイデン氏は、文大統領にインド太平洋の平和と繁栄に向けて緊密な協力を期待すると述べたという。
現時点で、米韓関係が改善する可能性はあるのだろうか。そのためには多くの課題があると筆者は考えている。まず、バイデン氏が言及したインド太平洋に、韓国がどこまで本腰を入れられるかという問題がある。
最近、安全保障分野での協力を目的にオーストラリアのモリソン首相が日本を訪問し、日米印の合同軍事演習マラバールにオーストラリア軍が参加するなど、正に日米豪印のクアッド安全保障協力が加速化している。
一方、米国の同盟国である韓国はこれに深く関与していない。
その背景には中国への配慮がある。中国の王毅外相が11月25日から3日間の日程で韓国を訪問し、習近平国家主席の早期訪韓についても議論されるとみられ、米中対立が高まる中、韓国はまさに大国の板挟み状態にある。
対日、対北でもバイデン政権のスタンスと乖離
また、同盟国への役割を期待しながら国際協調主義を重視するバイデン政権が、対中を意識して韓国に日本との関係改善を求めてくる可能性もある(これは日本にも求めてくる可能性もある)。
しかし、これについても文政権がすぐに応じる可能性は低いだけでなく、日韓が相互に歩み寄ることも考えにくい。
さらに、バイデン氏は基本的にオバマ政権の戦略的忍耐を継承するとみられ、北朝鮮が核・ミサイル問題で進展を見せないと歩み寄ることはないだろう。
よって、バイデン政権になると、北朝鮮が再び瀬戸際外交や核実験、ミサイル発射などを仕掛けてくる恐れがあるが、文大統領のスタンスは北への宥和路線であり、バイデン氏とどこまで北政策で一致できるかは分からない。
バイデン政権になっても、米韓関係の改善には多くの課題があるといえる。
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