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コロナで失業、生活できない…そんな場合「生活福祉資金貸付制度の特例貸付」の検討を

LIMO / 2020年12月12日 20時0分

コロナで失業、生活できない…そんな場合「生活福祉資金貸付制度の特例貸付」の検討を

コロナで失業、生活できない…そんな場合「生活福祉資金貸付制度の特例貸付」の検討を

新型コロナウイルスの感染再拡大により、家計に影響が出てきている方も少なくないでしょう。筆者の周りでも、飲食店など新型コロナの影響を受けやすい職業の人が多く「年を越せないかも…」と不安を抱いている知人もいます。

以前の記事、「失業後、どん底に陥った経験~お金に無頓着だった過去の自分に思うこと(https://limo.media/articles/-/19444)」の中で紹介したように、過去に筆者が失業してどん底だった経験から、失業後の生活の立て直しについて相談を受けることがあります。

筆者の場合は、ただひたすらに仕事を掛け持ちして、身を粉にして働き生活を立て直しましたが、コロナ禍では働くことさえままならない厳しい状況が続いています。

そこで、公的制度を調べてみたところ「生活福祉資金貸付制度の特例貸付」が役に立ちそうだったので、今回はこの制度についてお伝えしたいと思います。

上がり続ける失業率

新型コロナの感染拡大以降、日本の失業率は上がり続けています。総務省統計局発表の「労働力調査」によると、2019年12月時点では2.2%だった完全失業率が、2020年10月には3.1%まで上がっています。

また、2019年12月時点で145万人だった完全失業者数は215万人となり、9カ月連続の増加となりました。なかでも非正規労働者への影響は大きく、前年同月と比べると非正規労働者数は85万人の減少となっています。

長引くコロナ禍では、退職はしていないものの出勤停止になり収入がないなど「失業者ではないが実質的に失業状態にある」という方もいます。そうした方々を含めると、実際に収入源を失っている人の数はもっと多いのかもしれません。

仕事が見つからない!

新型コロナの感染拡大は、それまで売り手市場だった採用市場の状況も一変させました。

求職者1人に対して何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」は、2019年12月には1.63倍でしたが、2020年10月には1.04倍まで下がっています。一方で、失業者は増えているため少ない求人に人が押し寄せる状態になり、仕事が見つかりにくくなっていると言えるでしょう。

筆者は失業後に仕事を掛け持ちして生活を立て直しましたが、それは雇ってくれるところがあったからこそできたこと。もし失業後にアルバイトさえ見つからない状況になったとしたら、どうしたらよいのでしょうか。

もしもの場合の「生活福祉資金貸付制度」

失業して仕事が見つからない、生活が破綻しそうだ…というときは、「生活福祉資金貸付制度」が役立つかもしれません。生活福祉資金貸付制度とは、低所得世帯などの生活を支えるための公的な資金貸付制度で、目的に応じていくつかの種類に分かれており、それぞれ貸付要件などが異なります。

図1 生活福祉資金貸付制度の貸付資金の種類

(/mwimgs/5/8/-/img_58ee441a4726375e95bbd3bd23e9333588634.jpg)

拡大する(/mwimgs/5/8/-/img_58ee441a4726375e95bbd3bd23e9333588634.jpg)

出典:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」を参考に編集部作成

新型コロナの影響で生活困窮者が増加したことを受け、図1のうち「緊急小口資金」と「総合支援資金」の特例貸付が実施されており、措置期間や償還期限の延長、貸付上限額の増額など、通常よりも支援内容が手厚くなっているのが特徴です。

①緊急小口資金

緊急小口資金とは、緊急・一時的に生活費を必要としている方に、少額を貸し付ける制度です。特例貸付においては、通常とは異なる貸付条件が設定されています。

貸付上限額:20万円以内

措置期間(返済が始まるまでの猶予期間):貸付日から1年以内

償還期限:措置期間経過後2年以内(償還時に住民税非課税世帯※に該当する場合は償還免除)

貸付利子:無利子

保証人:不要

対象となるのは、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯(新型コロナの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても可)」としています。

※住民税非課税世帯について詳しくは『「住民税非課税世帯」って年収いくら?(https://limo.media/articles/-/19572)』をご参照ください。

②総合支援資金

緊急小口資金が緊急かつ一時的な貸付であったのに対し、総合支援資金は生活再建までの間の生活費を貸し付ける制度です。こちらも特例貸付においては、通常とは異なる貸付条件が設定されています。

貸付上限額:2人以上世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内

貸付期間:原則3月以内

措置期間:最終貸付日から1年以内

償還期限:措置期間経過後10年以内(償還時に住民税非課税世帯に該当する場合は償還免除)

貸付利子:無利子

保証人:不要

緊急小口資金と同様に、対象は「新型コロナの影響を受けて日常生活の維持が困難となっている世帯(新型コロナの影響で収入の減少があれば、失業状態になくても可)」となっているなど、実質的に新型コロナの影響で生活に困っているすべての世帯を対象としていると言えそうです。

生活福祉資金貸付制度利用時の注意点

緊急小口資金と総合支援資金の両方を利用することもできるので、たとえば2人以上世帯で貸付上限額まで借り入れることができれば、月20万円を4カ月間確保することも可能です。支出を抑え、貯金などと併用すれば、失業期間を乗り越えて生活を立て直すのに大きな助けになるのではないでしょうか。

一方、貸付にあたっては審査が行われます。審査においては、「貸付が支援になるのか、負担になるのか」という点が重視されるのが特徴です。

生活福祉資金貸付制度を利用して借りたお金は、あとで返済しなくてはなりません。すでに金融機関から借り入れがある場合など、貸付が後々負担になる可能性があると判断された場合には、貸付不可となったり、貸付額が減額されたりすることがあります。

受付期間が延長に!

新型コロナの影響で失業者が増えている一方、全体の求人数が減っているため、なかなか次の仕事が見つからず生活に不安を抱えている方も少なくありません。

「お金を借りる」ということに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、たとえ数カ月間であっても、公的機関からまとまった資金が借りられるのは、生活を立て直す大きなきっかけになるでしょう。

生活福祉資金貸付制度の特例貸付の受付期間は当初2020年12月末まででしたが、12月8日に2021年3月末まで延長となる旨の発表がありました。利用しようか迷ったら、お住まいの窓口「市区町村社会福祉協議会」に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。

【参考資料】
「10月の全国の完全失業率3.1% 3か月連続で3%台(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201201/k10012739481000.html)」(NHK)
「労働力調査(基本集計)2019年12月分(速報)(https://www.stat.go.jp/data/roudou/rireki/tsuki/pdf/201912.pdf)」(総務省統計局)
「労働力調査(基本集計)2020年10月分(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf)」(総務省統計局)
「一般職業紹介状況(令和2年10月分)について(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00048.html)」(厚生労働省)
「生活福祉資金貸付条件等一覧(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html)」(厚生労働省)
「緊急小口資金について(https://corona-support.mhlw.go.jp/seikatsufukushi/samout/index.html)」(厚生労働省)
「総合支援資金について(https://corona-support.mhlw.go.jp/seikatsufukushi/general/index.html)」(厚生労働省)
「緊急小口資金等の特例貸付の受付期間、住居確保給付金の支給期間を延長します(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15225.html)」(厚生労働省)

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