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DXの真っ赤な嘘!? ビジネスマンのとっても怖い未来の話

LIMO / 2020年12月11日 8時0分

DXの真っ赤な嘘!? ビジネスマンのとっても怖い未来の話

DXの真っ赤な嘘!? ビジネスマンのとっても怖い未来の話

近年、世間を騒がすバズワードのひとつがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。先日も、テレビニュースのDX特集冒頭で「ここ数年、日本企業が呪文のように繰り返しているDXという言葉があります」という紹介をしていました。

実のところ、この紹介の仕方はかなり秀抜で、日本のDXの雲行きは結構、あやしいのです。果たして日本のビジネス界にとって、DXは永遠に呪文のままなのか。この深い闇を検証していきます。

そもそもDXとは?

まず、「DXとはなにか」の復習から始めましょう。日本でDXが注目を集めたのは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html)」(通称DXレポート)がキッカケです。DXの本質は以下のように考えられます。

『デジタルやデータによる変化はテクノロジーの変化ではなく、社会基盤や文化そのものが大きく変化。社会の価値基準や物差しが変わる。デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術を用いた単純な改善・省人化・自動化・効率化・最適化にはとどまらない。社会の根本的な変化に対して、時に既成概念の破壊を伴いながら新たな価値を創出するための改革がDX。』※


※「Digital Transformation(DX)~価値の協創で未来をひらく~【概要】(http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/038.html)」(2020年5月、日本経済団体連合会)から引用

敏腕営業マンの未来は絶望的?

DXの本質は見誤られがちなのですが、デジタルの革新ではありません。ビジネスモデルの革新こそが、その本質です。つまり「全国すべての店頭にタブレットを設置した」だけではDXではないのです。

DX推進によるビジネス構造の変化をアメリカの事例から見ると、企業内のIT内製化が急速に進行します。従来、外部に発注していたシステム開発等を社内に取り込むわけです。これは、経営判断やビジネスの中核的な機能が、IT基盤上にシフトしているからです。

日本の場合はどうでしょうか。従来から日本企業はIT関連のベンダー等への外部依存率が高いのですが、ただこれも、大手シンクタンクのレポートによると、「ITベンダーやSIer(エスアイヤー)に所属するIT系人材の企業内IT部門への移動が進む」と予想されています。

この流れが進むと、未来においては「IT業界」という言葉は消滅するのかもしれません。つまり、あらゆるビジネスにおいてIT化こそが自明なものになるからです。

「ウチの情シスの奴らって、なにか利益だしてるの?」そんな風にうそぶいている敏腕営業マンに未来はないのかもしれません。これはちょっと、怖い話です。さて、これからプログラミングの勉強でもしますか。ただ、これも日本でDXが実現すればの話ですが。

ITエンジニアの未来は明るくない?

では、ITエンジニアの未来はバラ色なのでしょうか。

日本のDX論では「攻めのIT/守りのIT」という議論がよく行われています。攻めのITとは、新しいビジネスや価値創造につながるもの。守りのITとは既存システムの維持を意味します。日本では守りのITが約7割と高比率なのが問題とされています。

日本の場合、既に大企業を中心に自社内にITシステムを構築しています。これらを確立している分だけ、維持等の「守りのIT」の労力がかさむわけです。

現在、この自社内のシステム(オンプレミス、通称オンプレ)からクラウドへの移行が始まっていますが、経産省のDXレポートでは、従来のシステムはレガシーシステムであり、日本経済の足かせになるとしています。「2025の崖」とは、このレガシーシステムにより2025年に年間最大約12兆円の経済損失が生じる可能性があるという意です。

巷のDX解説本等では「攻めのIT」へのシフトで、社内IT人材の有効活用ができるとしています。実は、このへんのマユツバ感がスゴイのです。

オンプレ保守を担当していたITエンジニアの人に「来月から、アジャイルで攻めのITシステムを開発してよ」と言って、果たして実現可能なのでしょうか。そう考えると、ITエンジニアの未来も決してバラ色ではないのかもしれません。もちろん、これも日本でDXが実現すればの話ですが。

果たして日本でDXは実現するのか

日本のDX推進はかなり遅れています。たとえばITベンダーがDX未着手の顧客アンケートを実施すると、「なにが課題か分からない」「入口が見えない」という声が、多数を占めるというのが実情です。

なぜ、このようになるのでしょうか。仮説としては、目的と手段のすり替わりがどこかで起きている気がします。本来、ビジネスモデルの革新のはずが、どこかでデジタルの話になってしまっている。

経済産業省の資料にもでてきますが、「ともかく、AIで新しいことを始めろ!」と命じる社長像。そんな社長が実際にいるかは分かりませんが、そのようなロジックのすり替わりが確かに起きている印象があります。

では、なぜ、すり替わりが起きるのか。さらに大胆に想像すると、DXを必要とする世界標準のビジネスのカタチと、日本のビジネスが大きくかけ離れているのかもしれません。

レガシーシステムの問題点は、横断性がない、個別事情で過剰な改修(アドオン)がある等ですが、これはITシステムの問題と同時に、日本型ビジネスにも当てはまる気がします。

そこから目を背けるために、デジタルの話にすり替えている。もし、そうだとすると、これが一番、恐ろしい話かも。簡潔にマトメると「社長を年功序列で決める国でDXは可能なのか」という問題なのかもしれません。

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