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新型コロナで拡大するビジネスリスク、その背景となる国際政治の大激変とは?

LIMO / 2020年12月12日 21時0分

新型コロナで拡大するビジネスリスク、その背景となる国際政治の大激変とは?

新型コロナで拡大するビジネスリスク、その背景となる国際政治の大激変とは?

新型コロナウイルスの初感染が中国・武漢で確認されて、今月8日でちょうど1年となった。

1年前、日本ではオリンピックイヤーが来ると社会が盛り上がっていたように思う。まさか五輪が延期となり、世界が新型コロナウイルスと対峙することになるとは当時誰が予想しただろうか。現在、日本でも第3波となり、各国政府とも国内事情で精一杯のところだ。

日米豪印の対中関係に起きた大きな変化

しかし、国際社会において、新型コロナウイルスの医学的感染だけでなく、政治的空白をも拡大させている。

1つに、今年の入っての新型コロナウイルスはインド太平洋地域の国家間関係を大きく変化させた。感染源国とされる中国と最大被害国となってしまった米国との対立はこれまでになく深まり、香港国家安全維持法や印中国境での衝突なども影響し、オーストラリアやインドと中国との関係は大きく悪化した。

オーストラリアやインドはこれまでになく米国や日本に接近し、安全保障上のクアッド協力はいっそう加速化している。最近行われた日米印の海上合同軍事演習マラバールにはオーストラリアも参加した。これまでインドは中国への配慮もあり、オーストラリアの参加要請を断ってきたが、既にインドの中国への堪忍袋の緒は切れた状態だ。

また、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、オーストラリアのモリソン首相は日本を訪問し、菅総理と会談して日豪の安全保障協力をいっそう強化することで一致した。これらは大きな変化であり、新型コロナウイルスは「日米豪印 vs. 中国」の動きを加速化させた。

イスラム過激派が活発化する恐れ

一方、現時点で何か大きな動きが生じているわけではないが、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化は、アジアやアフリカで活動するイスラム過激派の活動空間を拡大させてしまう恐れがある。

欧米諸国やインド、ブラジルなどと比べれば、イスラム過激派が活動する国々では新型コロナウイルスによる被害規模は小さい。だが、その長期化は警察や軍のマンパワーに影響を及ぼし、警察や軍によるテロ対策業務が手薄になり、それによってイスラム過激派の活動領域が広がり、かえって治安が悪化する可能性がある。

また、感染拡大の長期化によって政府の財政状況がますます悪化し、警察官や兵士への給与未払い・遅延、減給などが生じ、テロ対策に従事する人々の士気が低下する可能性もある。

日本経済へのセキュリティリスク

そしてこれらは大きなビジネスリスクでもある。インド太平洋地域の海洋覇権競争が激しくなれば、民間船舶や石油タンカーが航行する日本の経済シーレーンの安定が脅かされる可能性がある。

また、2013年1月のアルジェリア・イナメナス人質テロ事件、2016年7月のバングラデシュ・ダッカレストラン人質テロ、2019年4月のスリランカ同時多発テロのように、日本人は断続的にイスラム過激派によるテロの犠牲になっている。

こういったセキュリティリスクは今後とも続く。

新型コロナウイルスの感染拡大は政治的空白を生じさせ、現状を打破しようとする国々、イスラム過激派などのテロ組織に利する可能性がある。来年も現在の状況が続きそうだが、新型コロナウイルスの長期化はさまざまな政治リスク、ひいてはビジネスリスクを高めることを我々は肝に銘じるべきだ。

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