派遣社員がテレワークってできるんですか!?
LIMO / 2020年12月16日 7時30分
![派遣社員がテレワークってできるんですか!?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_20836_0-small.jpg)
派遣社員がテレワークってできるんですか!?
変わる派遣会社、受け入れ側の企業は?
全国的な感染の再拡大に、歯止めがかかるのか心配される新型コロナウイルス。西村大臣の「今後の感染者数動向は神のみぞ知る」発言に失望した方も多いとも言われていますが、もはや、それが“真実"なのかもしれませんね。
そのような状況下で、アフターコロナ/ニューノーマル(新しい常態)をめぐる議論も活発になっています。たしかに、新型コロナウイルスは私たちの生活に大きな変化をもたらしました。
突然のテレワークで置いてけぼりになった派遣社員
さて。時は少しさかのぼって、今年(2020年)の4月頃。一部の大企業オフィス内ではちょっと変わった現象が起きていました。それは、出社しているのが派遣社員ばかりで、その指示・命令者である担当正社員が在宅勤務という珍現象です。
会社からの業務命令で、指示・命令者である正社員が突然、会社から消え、オフィスで途方に暮れる派遣社員。そんな構図も見受けられました。「会社には来たものの、私はなにをすればいいの?」そして、減っていくのはスマホの電池ばかり・・・。
そもそも大企業のネットワーク環境はセキュリティ的にはVPN(Virtual Private Network)導入が進んでいるため、中小企業よりもテレワークへの移行がカンタンなはずです。なんで、こうなってしまったのか。原因を考察しつつ、今後の展望もしていきます。
派遣社員のテレワークが進まなかった理由
政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、在宅勤務の活用を強く呼びかけました。派遣社員に関しても、厚生労働省が派遣社員や派遣先の企業に対し、在宅勤務に切り替えるよう、事務連絡を3月16日付で出しています。
派遣社員のテレワークが進まなかった理由のひとつに、「派遣契約」があります。「就業場所」にない「在宅」で勤務する場合は、派遣契約を変更する必要が出てきたのです。
また、派遣元となる人材派遣会社には、就業規則に在宅勤務を規定していない社もありました。この場合は、派遣会社からテレワーク依頼を断ることになりました。
セキュリティ対策も課題となりました。派遣社員に、セキュリティ上の観点から貸与パソコンの社外利用を認めていない企業は多数あります。この社内規定もネックとなりました。
さらに労務管理も問題に。派遣社員の多くは時給制ですが、労務管理ツールを導入していない企業では、「どうやって管理するんだ!」と困惑するケースもありました。
実際のところ、厚生労働省も「緊急の必要がある場合は、事前に書面による契約変更の必要はない」としたのですが、今年の春先は、やっぱりパニックでしたから。しょうがない面もあると思います。
アフターコロナを見据えた派遣会社の動向
興味深い動向として、現在、大手派遣会社のなかには「テレワーク可能なスタッフ」を派遣するという新スキームをつくっているところもあります。
これは遣社員がテレワークで使用するパソコン・通信機器などを、全て派遣会社側で用意するというもの。もちろん、「パソコンは不要で、モバイルWi-Fiだけ用意してほしい」等のニーズにも対応しています。
派遣会社のセールストークとしては「環境整備にかかる費用は全て派遣単価に含まれます! セキュリティも万全! さらに派遣社員の交通費が不要となります」ということになります(今年4月の労働者派遣法改定で派遣社員の交通費も勘案されることになっています)。
現在、派遣会社のビジネスモデルは徐々に変わりつつあります。数年前のバズワード「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」をご存じでしょうか。一言でいうと、複数のアプリケーケーション等をデジダルパッチとして連携させ、業務効率改善を図るという新しいツールですが・・・
大手派遣会社のなかでは、このRPAの運用派遣スタッフを、サポートエンジニアとセットで提供するサービスを開始しているところもあります。悪い言葉ですが「派遣会社=口入れ屋」というのは、もう過去のイメージになりつつあると思います。
果たしてテレワークは日本で定着するのか
最後に、テレワークは日本で定着するのかということを考えてみます。東京商工会議所が会員企業13,580社に対して行った調査が11月4日に発表されました(出典:「テレワークの実施状況に関するアンケート」 調査結果(https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1023299)」)。
この調査によると、今年3月時点での会員企業のテレワーク実施率は26.0%。5~6月の調査では67.3%に急増します。約半数の企業が緊急事態宣言発令以降に(4月8日~)テレワークを実施したと回答しています。そしてコロナ禍が少し落ち着いた9~10月の調査では53.1%に。マイナス14.2%を示しています。
「一時期実施していたが、現在は取りやめた」という会社の事情をみてみます。まず、会社規模としては「30人以上50人未満の企業」が最大で33.3%。理由としては「業務の生産性が下がる」が半分弱の45.7%。続いて、「PC等の機器やネットワークの整備」「社内のコミュニケーション」となります。
やはり、日本企業の一定数は対面コミュニケーションに依存しているのかもしれません。
11月中旬からのコロナ第三波で、再度、テレワーク実施率は上がると予想されます。しかし来年以降、コロナ禍に終息の兆しが見えた時、実施率はどうなるのか。
日本がアフターコロナの新しい世界へ向かうのか、あるいは古い世界への復元力が勝るのか。テレワーク実施率から、そんなことが、うかがい知れるのかもしれません。
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