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「年収1000万円なのに貯蓄ができない…」高収入でも生活が苦しい3つの理由

LIMO / 2020年12月14日 10時0分

「年収1000万円なのに貯蓄ができない…」高収入でも生活が苦しい3つの理由

「年収1000万円なのに貯蓄ができない…」高収入でも生活が苦しい3つの理由

国税局の「民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/minkan.htm)によると、令和元年(2019年)度の給与所得者の平均年収は436万円でした。平均年収に近い世帯であっても、「給与が増えたらもっと生活に余裕ができるのに…」と嘆いている人は多いでしょう。

そんな中、年収1,000万円を超える世帯が全体の5%存在します。年収1,000万円もあれば、裕福で余裕のある暮らしを送っているだろうと思うものですが、実はそうでもないようです。この記事では、年収1,000万円でも生活が苦しい理由について解説します。

年収1,000万円でも10.3%の家庭は貯蓄ができていない⁈

まずは、年収1,000万円世帯の貯蓄がどれくらいあるのかについて見ていきましょう。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯、令和元年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/)(2019年)より、年収1,000万~1,200万円世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は以下のようになっています。

金融資産非保有 10.3%

100万円未満 3.4%

100万~200万円未満 1.4%

200万~300万円未満 2.7%

300万~400万円未満 3.4%

400万~500万円未満 4.8%

500万~700万円未満 8.9%

700万~1,000万円未満 6.8%

1,000万~1,500万円未満 18.5%

1,500万~2,000万円未満 8.9%

2,000万~3,000万円未満 10.3 %

3,000万円以上 15.1%

無回答 5.5%

貯蓄額の平均は1,790万円、中央値は1,010万円となっており、多くの世帯ではしっかり貯蓄ができているといえるでしょう。しかし、金融資産非保有、つまり将来のための貯蓄が全くできていない世帯が10.3%いるという結果になっています(※ここでいう「金融資産を保有していない世帯」とは、預貯金や株式などの金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみは保有しているがそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯をいいます)。

年収1,000万円もありながら将来のため、または運用のための貯蓄ができていない世帯が、全体の約1割も存在しているのです。十分な稼ぎがありながら、なぜ貯蓄ができない状況に陥ってしまうのでしょうか。

1.年収1,000万円世帯は税金や社会保険料の負担が多い

年収1,000万円世帯の生活が苦しい理由のひとつに、年収1,000万円を超えると税金や社会保険料の負担が大きくなることが挙げられます。

日本の所得税は「累進課税」といって、収入が多くなるほど税率が高くなります。例えば、年収600万円の人は所得税率が10%なのに対し、年収1,000万円の人は20%という具合です。ただし、実際には税率は課税所得によって決まるため人によって異なります。また、住民税は一律10%ですが、収入が多ければ当然納める税金の額も多くなります。

そのほかにも、健康保険料や厚生年金保険料なども年収が多いほど高額になる計算です。年収が1,000万円だとしても、社会保険料・所得税・住民税を引くと、手取り金額は720万円ほど。ボーナスが年に2回、月収の2カ月分ずつもらえるとすると月収はたったの45万円となります。

年収1,000万円でも、案外もらえるお金は少ないなと感じたのではないでしょうか。

2.児童手当や高校無償化も年収1,000万円世帯は対象外

さらに子どもがいる年収1,000万円世帯にとって痛いのが、「児童手当」や「高校無償化」などの対象外となることです。

児童手当とは、中学生以下の子どもがいる世帯に支給されるものです。原則、子ども1人につき3歳未満は月1万5,000円、3歳~小学生は月1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は月1万円が支給されます。手当には所得制限があり、所得が960万円(専業主婦世帯・子ども2人の場合)を超えた場合は「特例給付」として子ども1人あたり一律5,000円の給付となります。

そして現在(2020年12月時点)政府は、2022年10月をめどに、夫婦どちらかが年収1,200万円以上になれば支給を打ち切るとの方針を明らかにしています。

また、高校無償化とよばれる「高等学校等就学支援金制度」では、授業料の給付を受けられる人の年収目安は910万円未満となっています。

2020年4月からは私立高校授業料の実質無償化として金額の拡張がなされましたが、年収590万円未満の世帯が最大39万6,000円の支給を受けられるのに対し、年収1,000万円世帯への給付はこれまで通りゼロのままです。

このように、年収1,000万円世帯はさまざまな制度での優遇がされないため、かえって生活が苦しくなってしまうのです。

3.マイホーム購入で住宅ローンに悩まされる

使えるお金が少ないのにも関わらず、年収1,000万円以上の人はマイホームの購入をしがちです。実際に、全世帯の持ち家率75.9%に対し、年収1,000万円~1,200万円の人の持ち家率は82.9%と高い割合の人がマイホームを取得しています。

さらに、年収1,000万円~1,200万円の人の住宅取得必要資金の平均総額は4,081万円と、他の年収世帯と比べて高額な物件を購入予定の人が多いようです。稼いでいるから大丈夫だろう、と背伸びした物件を選んでしまう心理があるのかもしれません。

ボーナスをあてにして、高額なローンを組んでいる場合は要注意です。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、冬のボーナスが全額カットになる企業もみられました。

稼いでいるからと過信しすぎず、十分に余裕をもったローン返済計画を立てることが大事だといえるでしょう。

高収入でも家計管理をしっかりと

サラリーマンの憧れでもある「年収1,000万円世帯」。年収だけをみれば裕福に見えますが、実際に使える金額としてはそこまで多くはありません。稼ぎがあるからといって自由にお金を使っていると、貯蓄が全く出来ないという状況に陥ってしまいます。どの年収の人にもいえることですが、給与明細だけを見るのではなく、収支をしっかり把握しながら家計管理をしなければなりませんね。

参考

「令和元年分 民間給与実態統計調査」国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/minkan.htm)
「児童手当制度のご案内」内閣府(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)
「児童手当 61万人の子どもが不支給に 年収1200万円以上で除外、22年10月めど」東京新聞(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73600?rct=politics)
『2020年4月からの「私立高等学校授業料の実質無償化」リーフレット』文部化科学省(https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf)

【ご注意】

ここでいう「金融資産」とは、家計が保有する金融商品のうち、貴金属や現金、事業のために保有している金融商品、預貯金のうち日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分を除いた「運用のため、または将来に備えて保有している部分」となっています。また、「金融資産を保有していない世帯」とは、預貯金や株式などの金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみは保有しているがそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯を指します。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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