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おひとりさまの老後~高齢単身無職世帯は毎月いくら貯蓄を取り崩す?

LIMO / 2020年12月25日 12時0分

おひとりさまの老後~高齢単身無職世帯は毎月いくら貯蓄を取り崩す?

おひとりさまの老後~高齢単身無職世帯は毎月いくら貯蓄を取り崩す?

2015年の国勢調査によると、日本人の生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は男性が約24%、女性は約14%。1990年にはそれぞれ約6%、約4%だったことを考えると、急速に未婚化・非婚化が進んでいることがわかります。”おひとりさま”という言葉が違和感なく受け入れられるようになっているのも、こうした傾向を反映しているのでしょう。

その”おひとりさま”にも、いずれ老後がやってきます。年を取って仕事をやめたときのことなど考えたことがない、という人がほとんどだと思いますが、リタイアして年金を受給している単身世帯の収支を知っておくと、老後のお金や生活をイメージしやすくなるのではないでしょうか。

総務省の「家計調査報告 [家計収支編] 2019年(令和元年)平均結果の概要」には、高齢単身無職世帯の1カ月の収入と支出のデータがあります。どんな内容なのか見てみましょう。

高齢単身無職世帯の1カ月の収入と支出はどのくらい?

収入

上記の調査によると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の1カ月の実収入平均額は124,710円、うち公的年金などの社会保障給付が115,558円。税金などの支出約12,061円を差し引いた残りの112,649円が可処分所得です。

ちなみに、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の場合、1カ月の実収入平均額は242,468円、うち公的年金などの社会保障給付が216,910円。可処分所得が206,678円です。

支出

一方、高齢単身無職世帯の1カ月の平均消費支出は139,739円。先ほどの可処分所得との差額27,090円が不足分で、それを貯蓄から取り崩すことになります。

支出の内訳は図表1の通り。高齢夫婦無職世帯と比較すると、単身世帯の場合は住居費や光熱・水道費の構成比が高くなることがわかります。

また、高齢単身無職世帯の毎月の不足分27,090円を年額にすると33万円弱。人生100年と言われる今、ざっくり65歳から老後30年とすると約975万円となります。言い換えれば、少なくともそれくらいの貯蓄は必要というわけです。

なお、仮に60歳で定年退職になり、65歳で年金受給が開始されるまで何らかの収入がないとしたら、その時期の生活費も蓄えておく必要があることにも注意が必要です。

図表1:高齢単身無職世帯及び高齢夫婦無職世帯の消費支出内訳(2019年)

(/mwimgs/a/d/-/img_ad8c7fe4ffa08a29480d2f9e5d00a9d8200765.jpg)

拡大する(/mwimgs/a/d/-/img_ad8c7fe4ffa08a29480d2f9e5d00a9d8200765.jpg)

出所:「家計調査報告 [家計収支編] 2019年(令和元年)平均結果の概要」(総務省)

夫や妻が亡くなったときには「遺族年金」が支給される

冒頭で未婚化・非婚化が進んでいると述べましたが、夫婦であっても年を取れば配偶者に先立たれて単身になる場合もあります。そんなとき、年金加入者の遺族に支給されるのが遺族年金です。老齢年金とは異なり、条件を満たせば65歳を待たずに支給されます。

遺族年金がもらえるのは、基本的に年金加入者に生計を維持されていた遺族(受給対象者の年収は850万円未満)のみです。ほかにも、受給資格期間や保険料納付済期間などの諸条件を満たさなければなりません。また、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

遺族基礎年金

自営業(国民年金の第1号被保険者)や専業主婦(国民年金の第3号被保険者)が死亡した場合、遺族は遺族基礎年金の支給対象となります。ただ、遺族基礎年金を受給できるのは、死亡した人に生計を維持されていた「子がいる配偶者」と「子」のみです。

「子」とは、18歳になる年度の末日を経過していない子(または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども)に限定され、夫婦間に子どもがいない場合はもらえません。なお、条件を満たせば、夫を亡くした妻のみでなく、妻を亡くした夫も受給できます。

遺族基礎年金の支給額は、基本年金額(78万1700円)に「子」の人数に応じた加算額(1人目と2人目は1人につき22万4900円、3人目からは1人7万5000円)を加えた額となります(金額はいずれも2020年度分)。

遺族厚生年金

会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者が死亡した場合は、遺族は遺族基礎年金および遺族厚生年金の支給対象となります。しかし、遺族厚生年金は、遺族が「妻」の場合と「夫」の場合で要件に大きな違いがあり、55歳未満の「夫」は対象外です。

遺族厚生年金が受給できる対象者は下記の通りです。

妻(夫の死亡時に30歳未満でかつ子のいない妻は、5年間の有期給付)

子、孫18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限る)

55歳以上の夫・父母・祖父母(支給開始は60歳から)

遺族厚生年金の支給額は条件によって大きく異なります。非常に大まかな計算ですが、年収700万円で会社勤め10年間の夫が亡くなった場合、支給される遺族厚生年金は70万円程度であるとされます。

寡婦年金

また、自営業者などの第一号被保険者として、10年以上保険料を納めた夫が亡くなった場合、10年以上継続して婚姻関係があり、生計を一にしていた妻に支払われる寡婦年金もあります。この場合、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金の4分の3を受け取ることができます。

ただし、受取期間は妻が60歳から65歳までの5年間だけです。65歳以降に自営業の夫がなくなると、自身の老齢基礎年金しか受け取ることができないことを念頭に、老後資金を蓄えておくことが必要です。

なお、受給条件などの詳細については、日本年金機構の「遺族年金」のページなどをご参照ください。

おわりに

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、全世帯に占める単身世帯の割合は2010年に3割超、2040年には約4割になるといいます。老後のことなんてまだまだ先のことだと考えたいですが、今のうちから少しずつお金のことを考えておくことは大切です。

まずは自分がどんな老後を過ごしたいかを考えて、そのための費用感をイメージしてみましょう。そして、ねんきん定期便で将来の年金額がいくらになるのかを確認し、年金以外に大体どのくらい資金が必要かを把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

【参考資料】
「家計調査報告 [家計収支編] 2019年(令和元年)平均結果の概要(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2019.pdf)」(総務省)
「遺族年金(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-03.html)」「寡婦年金(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/1go-dokuji/20140422-02.html)」(日本年金機構)

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