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習い事費用、子ども1人月いくらくらい?「脳の発達に役立つ」習い事とは

LIMO / 2020年12月21日 11時45分

習い事費用、子ども1人月いくらくらい?「脳の発達に役立つ」習い事とは

習い事費用、子ども1人月いくらくらい?「脳の発達に役立つ」習い事とは

教育費の家計への負担は年々重くなっているようです。とはいえ、出来るだけ教育にお金をかけたいと考える家庭も増えているということです。教育費を投資と考える人もいるようです。教育の中でも、習い事については、させる、させない、また、どんな活動がいいのかは個人差や本人の意志、また予算、子どもの時間の優先順位を考えると決めるのはなかなか難しいところです。

今回は参考までに、ある「楽器演奏と脳の発達の関連についての研究」をもとに「楽器演奏」という習い事について考えます。

子どもの習い事の費用

ベネッセ教育総合研究所が2017年3月行った「学校外教育活動に関する調査」(※1)(https://berd.benesse.jp/up_images/research/2017_Gakko_gai_tyosa_web.pdf#_ga=2.115505669.2037590402.1607449670-537953144.1607449670)によると、

3人に2人が『教育にお金がかかり過ぎると思う』と回答しており、重い負担感をもっている。その一方で、『教育にはできるだけお金をかけるようにしている』という意識は(前回調査の)2013年より増加している。
(出典:ベネッセ教育総合研究所「学校外教育活動に関する調査」(https://berd.benesse.jp/up_images/research/2017_Gakko_gai_tyosa_web.pdf#_ga=2.115505669.2037590402.1607449670-537953144.1607449670))

ということです。

この調査によると、学校教育費以外の塾など習い事にかける年齢別1人あたり月費用の平均額は以下の通りです。

3歳:3,200円
年少(4歳) :4,800円
年中(5歳) :7,900円
年長(6歳) :9,800円
小学1年生(7歳) :1万1,600円
小学2年生(8歳) :1万1,900円
小学3年生(9歳) :1万4,800円
小学4年生(10歳) :1万6,500円
小学5年生(11歳) :1万8,700円
小学6年生(12歳) :1万8,400円
中学1年生(13歳) :1万8,800円
中学2年生(14歳) :2万1,500円
中学3年生(15歳) :2万5,900円
高校1年生(16歳) :1万4,300円
高校2年生(17歳) :1万7,600円
高校2年生(18歳) :1万8,900円

内訳は、塾、英会話、お習字などの学習活動、水泳などスポーツ活動、ピアノなど芸術活動、その他、に別れています。どの学年でも占める割合が高いのはこの順番です。

「楽器演奏」は言語能力も高める

習い事の選択は本人、両親の希望をもとに決められることでしょうから、何がよいとはいえません。ただ、早い時期から「楽器演奏」を習わせることでのベネフィットについては様々な研究で効果が認められているようです。

南カリフォルニア大学のThe Brain and Creativity Instituteではロサアンゼルスフィルハーモニー協会の協力をえて、「音楽指導が子どもの社会的、感情的、認知的発達に与える影響」についての研究を2012年から5年間行いました(※2)(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1878929315301122)。

同じ社会経済的背景の6~7歳の子どもたちを以下の3グループに分けました。

1.バイオリン等の楽器演奏の指導を受けさせ、週に7時間程の練習をし、合奏にも参加
2.地元のサッカーチームに参加
3.何の活動にも参加しない

2年後、MRIなどで脳の発達を観察したところ、楽器演奏を習った子どもたちの脳の聴覚系は、他の子どもたちよりも早く成熟していることが分かりました。そして、この研究を主導したアサル・ハビビ博士によれば「聴覚系は言語の発達、読解力、コミュニケーションスキルに欠かせない全般的な音声処理にも影響を与える」といいます(※3)(https://news.usc.edu/102681/childrens-brains-develop-faster-with-music-training/)。

つまり、楽器演奏を習った子どもの聴覚系の脳の成熟が早いということは、言語能力や読解力、コミュニケーションスキルの発達も加速させる可能性が高いと示唆しています。これについてはさらなる研究が必要なようです。

そういえば、国際的に活躍する演奏家の多くは比較的短期間で他言語を習得しているとよく耳にします。

「楽器演奏」スキルの学業への影響

また、カナダのブリティッシュコロンビア大学のニュースサイトによれば、同大学のピーター・ゴゾアシス教育学教授らが行った高校生を対象にした研究(※4)(https://www.apa.org/pubs/journals/releases/edu-edu0000376.pdf)では「小学生のころから楽器を習い、高校生でも続けている学生は社会経済的背景、民族性に関係なく、英語、数学、科学に関して、楽器を習っていない同級生に比べて試験の成績では約1学年高い学力を見せた」(※5)(https://news.ubc.ca/2019/06/24/music-students-do-better-in-school-than-non-musical-peers/)ようです。

また共同研究者である同大学の人口と公衆衛生大学院のマーティン・グーン助教授は、「楽器を演奏するには、楽譜を読んだり、目、手、そして心を連動させたり、鋭い音感を身につけなければならない。それだけではなく、合奏するためには他人との協調性も必要とされるし、なにより、こういったことを上達させるために自己鍛錬する。このような経験の全ては認知能力や実行機能、また学業への意欲や自己効力感を高める」と語っています。

気軽に音を楽しむ習慣を

楽器演奏というと、ピアノやバイオリンなどのクラシック音楽を連想し、費用や音楽的な才能など考えすぎてしまうかもしれません。しかし、そもそも音楽家として成功する人は一握りです。どうせモノにならないだろうからと諦めず、こういったベネフィットを考慮し、手軽に始められる方法を探してみるといいかもしれません。

ウクレレやギターなど気軽な楽器も楽しいかもしれません。ピアノも今は、折り畳み式のキーボードなど場所をとらず手頃なモノも出回っています。最近はオンラインで手頃な費用で教えている先生も増えています。YouTubeで無料指導もあると思います。最初はご両親のどちらかが楽器をやっていたことがあるのなら、手ほどきしてあげてもいいでしょう。

楽器演奏は案外やり方によってはコスパのいい習い事になるかもしれません。まずは音を楽しむことから、検討してみてはいかがでしょうか。

参考

(※1)「学校外教育活動に関する調査」ベネッセ教育総合研究所(https://berd.benesse.jp/up_images/research/2017_Gakko_gai_tyosa_web.pdf#_ga=2.115505669.2037590402.1607449670-537953144.1607449670)
(※2)Brain and Creativity Institute“Neural correlates of accelerated auditory processing in children engaged in music training”(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1878929315301122)
(※3)USC News“Children’s brains develop faster with music training”(https://news.usc.edu/102681/childrens-brains-develop-faster-with-music-training/)
(※4)Martin Guhn, Scott D. Emerson, and Peter Gouzouasis “A Population-Level Analysis of Associations Between School Music Participation and Academic Achievement”(https://www.apa.org/pubs/journals/releases/edu-edu0000376.pdf)
(※5)UBC News “Music students do better in school than non-musical peers”(https://news.ubc.ca/2019/06/24/music-students-do-better-in-school-than-non-musical-peers/)

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