60歳以上無職の貯蓄2000万円超の割合はどの程度か
LIMO / 2021年1月3日 5時30分
60歳以上無職の貯蓄2000万円超の割合はどの程度か
老後生活にかかる費用を、年金だけですべてカバーするのは難しいもの。安心して老後を迎えるためにも、現役時代のうちからしっかりと貯蓄をしておくことが大切です。
その目標の基準としてよく目にするのが、「2000万円」という金額。これは、2019年に金融庁のレポートで話題になった「老後資金2000万円問題」によるところが大きいでしょう。
この「2000万円」という金額は、「夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職の世帯が、その後30年間2人とも健在であること」を前提に、毎月5.5万円の赤字が続いた場合を想定して算出されたもの。つまり「月5.5万円×360カ月(30年)=1980万円」となり、約2000万円が夫95歳、妻90歳までに公的年金以外に必要となる、としたものです。
とはいえ、このような大金を貯めるのはたやすいことではないはず。実際のところ、老後を迎えている、もしくは迎えようとしている世帯は、どのくらいの貯蓄をもっているのでしょうか。「60歳以上・無職世帯」の貯蓄事情をのぞいてみましょう。
「二人以上、世帯主が60歳以上の世帯」の貯蓄状況は?
まずは、「二人以上かつ世帯主が60歳以上の世帯」の貯蓄状況をみていきます。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、この条件に該当する貯蓄保有世帯の中央値は1506万円、平均値は2285万円となっています。
なお、 貯蓄保有世帯の中央値は、貯蓄「ゼロ」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに,ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高のこと。平均値は一部の「お金持ち」層によって引き上げられるため、「中央値」を参考にするのがおすすめです。
では、貯蓄額の分布もみてみましょう。
100万円未満・・・8.5%
100万~200万円・・・3.9%
200万~300万円・・・3.4%
300万~400万円・・・3.7%
400万~500万円・・・3.2%
500万~600万円・・・4.1%
600万~700万円・・・3.5%
700万~800万円・・・2.8%
800万~900万円・・・3.1%
900万~1000万円・・・2.3%
1000万~1200万円・・・6.0%
1200万~1400万円・・・4.8%
1400万~1600万円・・・4.0%⇐中央値(1506万円)
1600万~1800万円・・・3.8%
1800万~2000万円・・・3.3%
2000万~2500万円・・・7.5%⇐平均値(2285万円)
2500万~3000万円・・・6.2%
3000万~4000万円・・・8.5%
4000万円以上・・・17.3%
「無職の高齢者世帯」の貯蓄状況は?
さらに「無職の高齢者世帯」に絞ったデータをみていきましょう。
高齢無職世帯の貯蓄現在高の推移は、以下の通りとなっています。
2014年・・・2372万円
2015年・・・2430万円
2016年・・・2363万円
2017年・・・2348万円
2018年・・・2280万円
2019年・・・2244万円
2019年は、前年に比べて36万円のマイナスという結果に。さらに、4年連続で減少しています。
とはいえ、どの年度も2000万円以上のラインは維持したまま。老後までに、しっかりとお金を貯めている世帯の多さがうかがえます。
あわせて、2019年の無職の高齢世帯の貯蓄における内訳もみておきましょう。
高齢無職世帯の貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯)
金融機関
通貨性預貯金・・・552万円(24.6%)
定期性預貯金・・・948万円(42.2%)
生命保険など・・・374万円(16.7%)
有価証券・・・361万円(16.1%)
金融機関外・・・8万円(0.4%)
※通貨性預貯金…自由に入出金可能な普通預金など
定期性預貯金…金融機関に一定期間預ける定期預金など
生命保険など…生命保険会社の養老保険やこども保険などで、掛け捨ての保険を含まない
さいごに
今回は、60代以降のみなさんの貯蓄事情をながめてみました、ここ数年は経済的に厳しい状況であるにもかかわらず、平均額は2000万円以上をキープしているという結果に。多くの世帯で、「老後までにまとまったお金を貯めておかなければ」という共通認識があるようです。
とはいえ、「2000万円」というのはあくまでも目安の金額に過ぎません。生活水準や年金受取額などによっては、それ以上の老後資金が必要になる可能性もあります。最低限の備えで満足することなく、余裕を持ったお金の計画を立てておきましょう。
【参考】
家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)総務省統計局
「報道資料(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_yoyaku.pdf)」「Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_gai4.pdf)」
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