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コピペは“悪”なのか? いまさら聞けない「著作権の基礎知識」と「CCライセンス」

LIMO / 2020年12月27日 8時0分

コピペは“悪”なのか? いまさら聞けない「著作権の基礎知識」と「CCライセンス」

コピペは“悪”なのか? いまさら聞けない「著作権の基礎知識」と「CCライセンス」

ハッキリ言って、コピペは便利ですよね。現在はビジネス文書や学校のレポートなど、コピペなしには立ち行かないと思っています。ただし、それがブログであったり、会社のウェブサイトの場合は、必要最低限のルールは守りたいもの。

今回は著作権の基礎知識と、インターネット時代の著作権を考える上で参考となるCCライセンスについて紹介します。

著作物ってナニ?

「コピペと言ってもさ、要は出典元を記載しとけばいいんでしょ・・・」と考えているアナタ。アナタは半分正解かもしれませんが、半分は間違っています。引用にも正しいルールや法的な制約があります。著作権法の32条に規定があります。

著作権法32条を見る前に、著作物の定義をチェックしておきましょう。著作物の定義、その範囲を理解しておかないと、あまり意味がありませんから。日本の著作権法における著作物の定義は以下になります。

「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(2条1項1号)

ポイントは「創作的に表現したもの」という部分。ですから表現される前の「事実(ファクト)や事件、データや思想(アイディア)そのもの」は著作物ではありません。つまり「データ」自体は著作物ではないのですが、それが表現された「図表」は著作物になる訳です。

引用するときのルールは?

では、著作権法32条の引用の原則を見ていきましょう。第32条1には下記のように記載されています。条文とそのポイントを解説します。

「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」

まず、「公表された著作物であること」が大原則です。以下、他のポイントとしとしては下記になります。

出典を明示すること

原則として著作者名を示すこと。これ以上の細かい規定はありませんが、題名(書籍名、論文名)、ページ、ウェブページの場合アドレス等が多く使用されています。

引用部分は他の部分と区別されていること

引用部分がハッキリと分かるということ。引用部分にカギ括弧や枠線をつけたり、背景色を変えたりするという方法がよく使われています。

引用部分を改変していないこと

引用部分の著作物を改変しないように。これは「著作者人格権」保護の観点から規定されています。

「公正な慣行」に合致し、「引用の目的上正当な範囲内」であること

これはちょっとムズカしいですが、引用の必然性があるかということです。つまり自分の論旨の参考意見である、あるいは全く反対の考え方の例であるといった事柄です。

自分の著作物が「主」、引用部分は「従」であること

最後は引用における「主従関係」です。これは『自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」であること』。量的なこともありますが、質的な部分も問われます。質的な部分は前述「引用の目的上正当な範囲内」と関連して考えることが必要です。

「自身の著作物の従たる範囲を超えて」引用するのが「転載」になります。転載には原則的に許諾が必要。ただし、国や地方公共団体等の広報資料などは転載が可能です(著作権法第32条2)。

CCライセンスとは何か

ここからは、少し頭を切り替えて、インターネット時代の著作権を考える上で参考となるCCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)について紹介します。CCライセンスは2002年に米法学者ローレンス・レッシグを中心として発表されたオープンライセンスです。これは「著作権への挑戦」という風に捉えることも可能です。

従来の著作権の考え方は、まず、皆さんがよくご存じの「 ©(マルシー)」という表示、著作権表示/保護される領域があります。その対極にあるのが、「パブリック・ドメイン(PD)」。これは著作権が消滅した状態で、たとえば創作者の死から70年経過した等で実現される領域です。CCライセンスはこのふたつの領域の中間として定義されています。

「知」のシェアリング

CCライセンスは著作物を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示のツールです(マークとしては「CC」で表記)。これはウェブが普及した現在、作り手の権利が守られつつ、誰もが平等に作品を共有することを目指しています

日本の文化庁も2013年にCCライセンスの支援表明をしていますが、海外と比較すると日本では認知度も低く、利用も限定的な気がします。

海外の先進事例を紹介します。『21世紀の資本(トマ・ピケティ著)』という本をご記憶でしょうか。日本を含めて世界的なベストセラーとなりました。この『21世紀の資本』内の主要な図表はピケティによって、CCライセンスで権利処理されています。

ピケティがスゴイのは、その図表PDFをウェブ上で全世界に公開していること。ピケティのスタンスは「自由にダウンロードして、皆さんの議論の材料にしてください」ということです。

ちなみに「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の「コモンズ(Commons)」は「共有地」の意。これは「知のシェアリング」ということだと思います。

日本でも「シェアリングエコノミー」が浸透してきていますが、車のようなモノやオフィスなどのスペースだけでなく、知識を含めてあらゆるものが、そのような方向を志向していると思われます。「コピペは悪」とする「思想」はちょっと、古いのかもしれませんね。

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