400万円近い差も⁉大企業か中小企業か、勤め先の規模で貯蓄が変わる?
LIMO / 2020年12月28日 18時15分
400万円近い差も⁉大企業か中小企業か、勤め先の規模で貯蓄が変わる?
勤め先によって給料に格差があることは、もはや言わずと知れたところですよね。とくに、大企業と呼ばれる会社と中小企業とでは、月の給料やボーナス、退職金などさまざまな面で差があるといわれています。
中小企業庁が令和2年4月に公表した2020年版「中小企業白書(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap1_web.pdf)」。これを見ると、2008年に起きたリーマン・ショックで大企業の生産性が大きく落ち込むなか、中小企業は横ばいで推移。その後大企業は緩やかに上昇したものの、中小企業では大きな変化はなく、現在大企業と中小企業との格差は以前より広がっている状態であることが分かります。今回は、そんな大企業と中小企業の収入・貯蓄について考えてみました。
コロナ不況が及ぼす企業への影響
再び猛威を振るい始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済への影響は、さまざまなところに出てきています。旅行客減少で経営に苦しむANAホールディングスの「2021年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/9202/tdnet/1892864/00.pdf)」(2020年10月27日)では、最終利益が5100億円の赤字になると公表。同社では月給を減らしたりボーナスを見送ったりと、大企業であっても人件費にも大きな影響が出てきているのです。
2020年度版「中小企業白書」によると、台風などの自然災害リスクに対し「対応を進めている」と答えた割合は、大企業4割・中小企業2割にとどまりました。企業規模に関わらず、半数以上の企業で自然災害リスクに対する取り組みが進んでいないのです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は大きく、政府や商工団体の「新型コロナウイルスに関する相談窓口」の利用状況は98.9%が資金繰り関係の相談であり、とくに「飲食業」「製造業」「卸売業」「小売業」「宿泊業」が相談を寄せている傾向がみてとれます。
「大企業」と「中小企業」その収入と貯蓄の差は?
こんな状況であるからこそ、日頃からリスクに備えた貯蓄をすることの大切さを思い知らされます。それでは、大企業と中小企業に勤める人のそれぞれの収入、および貯蓄の差はどのくらいあるのでしょうか。総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯(2019年) 7.世帯主の勤め先企業規模別(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330011)」より、世帯主が勤務する企業規模別の平均年間収入・貯蓄・負債を一部抜粋してご紹介します。
【全体平均】
年間収入:736万円
貯蓄額:1,376万円
負債:855万円
純貯蓄額:521万円
【企業規模30~99人】
年間収入:627万円
貯蓄額:954万円
負債:771万円
純貯蓄額:183万円
【企業規模1000人以上】
年間収入:857万円
貯蓄額:1,622万円
負債:1,049万円
純貯蓄額:573万円
企業規模30~99人の会社に勤める人は、平均値を全体的に下回っています。また、貯蓄額から負債額を引いて算出した純貯蓄額で比較してみると、「企業規模30~99人」が183万円であるのに対し、「企業規模1000人以上」は573万円と、その差は390万円にもなるのです。さらに、年間収入にも230万円の差があります。もちろん個人差が出やすい部分ですが、企業規模によって収入・貯蓄にここまでの差が出てしまうという格差の現状が垣間見られるのではないでしょうか。
今だからこそ考えたい、貯蓄を増やすための行動
しかし、たとえ大企業に勤めていたとしても、今回のような予期せぬリスクで給料や雇用が不安定になることもありえます。コロナ禍の今だからこそ、将来を見据えた貯蓄を増やすための行動について考えてみましょう。
1:共働き・副業で収入源を複数確保する
先ほどご紹介した総務省のデータでも、「世帯主の配偶者のうち女の有業率」は平均53.2%でした。2世帯に1組は共働き世帯である今。また、副業を許可している企業も増えてきています。やはり収入源を複数持つことは、リスク分散の上でも重要なポイントでしょう。
2:支出の見直しをする
節約するうえでも重要なのは、まず家計の支出を見直すことです。月の出費を可視化して、無駄な部分がないか再度確認してみましょう。しかし、支出を絞りすぎると生活が苦しくなるので、バランスを保つことが大切です。
3:制度を賢く利用する
「つみたてNISA」や「iDeCo」など、節税しながら老後資金を作れる制度を取り入れるのもおすすめです。また、個人事業で休業を余儀なくされるなど収入が途絶えてしまう際も、助成金などの制度が利用できる場合もあるため、まずは相談してみることが大切です。
リスク軽減のためにできることをはじめよう
大企業と中小企業を金銭面で比較すると、やはり大企業に軍配が上がりますが、中小企業だからといって貯蓄ができないわけではありません。コロナ禍による厳しい影響は、まだしばらく続くものとみられています。思ってもいなかった事態に家計が圧迫されている世帯も少なくない今、1人1人がリスク軽減のためにできることを考えていくべきではないでしょうか。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参照】
中小企業庁「中小企業白書(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap1_web.pdf)」2020年版
ANAホールディングス「2021年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/9202/tdnet/1892864/00.pdf)」
総務省統計局「家計調査(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330011)」貯蓄・負債編 二人以上の世帯(2019年)<貯蓄・負債>貯蓄及び負債の年平均1世帯当たり現在高 7.世帯主の勤め先企業規模別
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