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中学受験、年収600万円世帯で子供2人の我が家はどうすればいいか

LIMO / 2021年1月10日 20時15分

中学受験、年収600万円世帯で子供2人の我が家はどうすればいいか

中学受験、年収600万円世帯で子供2人の我が家はどうすればいいか

近年、ますます増加傾向にある都市部の私立受験。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などもあり、私立中学や高校のいざという時の手厚い指導が保護者の間でも話題になりました。

とはいえ、私立の学校に早い段階から通学させるためには、何よりもお金が必要です。

いくらその魅力を理解しても「世帯年収1000万円あっても、子供1人を私立に通わせるのがやっと」などとささやかれるのを聞いてしまうと「子供が2人で世帯年収が600万円の我が家はどうしたら」そんな現実に悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。

東京都では公立小学校から約18%が私立中学へ進学

最も私立中学への進学率が高いといわれる東京都。東京都教育委員会が2020年10月に発表した「令和2年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和元年度)の進路状況調査編】(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/statistics_and_research/career_report/report2020.html)」によると、東京都内の公立小学校の卒業者のうち、私立中学への進学者は全体の18.4%にのぼるそうです。30人のクラスですと、だいたい5人程度が中学受験をする計算になります。

高学年になってくると、成績のいいお子さんや部活などやりたいことのあるお子さんは、お友達と進みたい進路の話などしてくるのではないでしょうか。とはいえ、現実的に考え「私立がいいのはわかるが世帯年収がどう考えても足りない」「兄弟がいる我が家ではどう頑張っても無理」というご家庭も多いのでは。

株式会社ファルボが発表した『中学受験は本当に課金ゲームなのか?「中学受験にかかる費用」実態調査レポート(https://eduzukan.jp/jhs/484/article/9635)』によりますと、私立中学に通う家庭の72.1%が世帯年収800万以上、52.3%以上の家庭が世帯年収1000万円以上に含まれているそうです。全員が高収入家庭というわけではないものの、私立中学には圧倒的な割合で平均的な世帯年収以上の家庭のお子さんが通っていると考えると、中学校から私立の学校に通うというのはかなり家計への負担が大きいといえそうです。

額面だけではない必要経費

インターネットや雑誌などを見ていると「年収600万円は私立受験のボーダーライン」などといわれることもあるようです。データを見ると実際に世帯年収が600万円、もしくはそれ以下でお子さんを私立の中学校に通わせている方もいらっしゃいます。しかし、実際にお子さんを通わせている方のお話を伺うと「1000万円以上あってもキツイ」「一人ならギリいけるけど二人は無理」そんな声が聞こえてきました。一体どのあたりが一番厳しいといわれているのでしょうか。

・「そもそも小学4年生からの塾代がやばいです。普段の通塾だけならいけるかな?と思うのですが、プラスアルファの講習費などを積み重ねていくととんでもない額に。電卓をたたいて震えました」

・「私立学校の学費は何とかなりそうと思ったのですが、それ以外にかかる費用がひとつひとつすごい。修学旅行の金額も驚きました。また、近所のショッピングセンターで買えばそんなにしないはずの文房具に至るまで、私立の学校は指定の品をそろえなければならず。私が使ったことのないような金額の文具をそろえるたびにため息がでます」

・「何より、子供の付き合いが大変です。みなさん子供のころから裕福なのが当たり前なので、ちょっとお友達と遊びに行くという感覚が私たちとは大違い。見栄を張っているとか自慢をしているとかそういったわけではなく、そうやって育ってきた人たちが多いので自然とそちらに合わせた付き合いになるんです。我が家はカツカツな中で入学させたため『お金のことで子供がコンプレックスを持たないように』と教育費以外、いつも必死で切り詰めています。正直、ここまでする必要があったのか…自転車操業で親がつぶれそうです」

私立の学校は公立出身の保護者から見ると驚くような金額が動き、ギリギリの年収で入学した家庭は「こんなはずではなかった」と嘆いてしまうこともあるようです。

平均世帯の子はどうしている?教育のプロに質問。

子供の学び意欲が強く、他のものを犠牲にしてでも通わせてあげたいという場合以外、やはり躊躇してしまう平均世帯の子供の中学受験。親が教育費を出すことができないからといって学びは止まってしまうのでしょうか。

世帯年収約600万円のKさんには2人のお子さんがいます。「息子は小さな時から数字に強く、算数が大好きでした。意欲のある息子に高学年の問題となると親も教えてあげるのが厳しいのは明白で。我が家は下の子もいるので4年生から受験塾に通わせてあげることは不可能。とはいえ、息子は相変わらずイキイキと算数に取り組んでいて『私立に通わせいい環境に入れてあげられない私は親失格なのではないか』と悩み、近くの学習塾に相談にいきました。

塾には最初に、金銭的な事情でいわゆる「中学受験カリキュラム」を受けさせることができないという話をしました。そちらの塾では、公立の中学校に通う生徒さんも通っていらっしゃるとのことで、中学受験をするお子さん、しなかったお子さんについて私の質問に答えてくれました。

先生はいくつかのパターンを私に教えてくださりました。ひとつは『突き抜けて優秀であれば特待生として入学できる。こちらの塾からも現在特待生として私立の学校に通っているお子さんがいる』こと。また、『小学校時代から成績優秀で、私立の学校を視野に入れず最初からハイレベルな都立の高校に標準を合わせてコツコツ勉学に励んでいる子もいる』こと。また『学区外に進学率のいい中学校があるのであれば越境する子もいる』ことを教えてくれました。

公立の中学校とひとことにいっても、確かに学校ごとに特色があります。そういったものを見極め、より学習に集中できる環境に身を置くことは年収がそこまで高くなくてもできる。越境という選択肢を今まで考えたことがなかったので『私立に通わせる経済力がない=子供の才能を伸ばしてあげられない』という子供に対して申し訳ない気持ちが少しだけ薄れた気がしました」

Kさんのお子さんはまだ低学年だそうで、今後はお子さんの学習意欲を見ながら家計に無理のない範囲で進路を決めることにしたそうです。

私立への憧れ。でも…

都心にいると、偏差値の高さだけではなく、子供たちのケアに特化したすばらしい学校の情報がたくさん入ってきます。親としてそういった環境に子供を入れてあげたいと思う気持ちは当然です。

ただ、データなどを見ると、現実問題として世帯年収が関係してくるのも無視できない問題です。ネットなどをサーフィンしていると「私立の中学校に入れなかったらうちの子は終わりなんじゃないか」なんて気分になってしまうこともあります。

しかし、いちばん私立への進学率の高い東京都でさえ、約8割のお子さんが公立の中学校へ進学しているのです。お子さんのことを思うと、経済的なことが理由で通わせてあげられないことは胸が痛むかもしれませんが、その先にある高校進学や大学進学。そのときに向けてしっかりと家計と向き合うことも、親としての大切な役割の一つではないでしょうか。

参照

東京都教育委員会「令和2年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和元年度)の進路状況調査編】(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/statistics_and_research/career_report/report2020.html)」

株式会社ファルボ『中学受験は本当に課金ゲームなのか?「中学受験にかかる費用」実態調査レポート(https://eduzukan.jp/jhs/484/article/9635)』

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