ココイチ、値上げ後の割高感が客数回復の足かせか。壱番屋の業績は?

LIMO / 2021年1月15日 18時45分

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ココイチ、値上げ後の割高感が客数回復の足かせか。壱番屋の業績は?

新型コロナ感染の第3波が勢いを増す中、14日には緊急事態宣言の対象が11都府県に拡大され、年が明けても外食業界には出口の見えない状況が続いています。世界最大規模を誇るカレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(7630)も例外ではありません。

2019年に行った値上げが客足に影響しているのではないかとも言われています。壱番屋はこの苦境をどう切り抜けようとしているのでしょうか。

客数回復が遅い原因には“巣ごもり消費”も?

外食チェーン各社の2020年を振り返ると、客数と客単価はおおむね3〜4月に底を打ち、その後はコロナ第2波に影響されつつも10月までは回復トレンドにありました。テイクアウトや宅配は客単価が増えるため、いち早く店内飲食からシフトできたチェーンは回復が速く、マクドナルドのように2020年後半を通して、客単価を前年比15%増以上でキープした例もあります。 

一方、壱番屋の客単価は昨年夏以降、前年比2.5〜3.0%増にとどまり、テイクアウト・宅配の強化を図るものの効果は限定的。客数は10月に前年比90%を超えた以外は、80%台後半で足踏み状態となっています。

その要因の一つとおぼしき興味深いデータが、CCCマーケティングから出されています。家計簿アプリ「レシーカ」利用者を対象に行った「コロナ禍における香辛料の購入状況」調査です。

それによれば、昨年3〜8月にかけて「香辛料」の購入者数・購入点数が増加しており、中でも増えているのは「カレールー」。「購入している人」については、購入点数では女性が圧倒的である一方、前年の購入数からの増加率では「男性30代」「男性40代」が上位だったそうです。

ためしに、壱番屋の親会社であるハウス食品グループ本社(2810)の2021年3月期 第2四半期(2020年4〜9月)をみると、家庭需要に後押しされた「香辛・調味加工食品事業」の営業利益が前年同期比34.8%の大幅増となっています。もちろんカレーだけで増えたわけではありませんが、食事の家庭回帰への動きが壱番屋に少なからず影響しているのかもしれません。

では次に、壱番屋の事業内容と近年の業績をチェックしていきましょう。

主力商品の値上げで成長がペースダウン

壱番屋の収益の多くは、カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」によるものです。昨年11月末時点で国内に1260店舗を展開しており、うち直営が146店舗、フランチャイズ(FC)が1114店舗。海外では、アジアを中心に現地子会社による直営で86店舗、FCで102店舗を展開しています。

また、少数ですがカレーの他に、あんかけスパゲティの専門店など32店舗も運営しています。

続いて近年の経営状況です。まず、新型コロナの影響が出る以前の2018年2月期から2020年2月期までの3カ年をたどってみます。

売上高は、495億円⇒502億円(前期比1.5%増)⇒515億円(2.6%増)と推移しており、増加幅も拡大傾向です。

利益面では、営業利益が47.1億円⇒44.4億円⇒52.0億円、当期純利益が31.9億円⇒27.9億円⇒32.6億円。2019年2月期の減益は、食材価格やアルバイト時給の上昇などが原因となっており、そのマイナスを翌年度に主力商品の値上げや期間限定メニューの好調などで吸収した形です。

値上げは客足に響いたようで、2020年2月期(値上げ実施は期首の2019年3月)の既存店客数は、12カ月のうち8カ月が前年を割っています。通期では▲1.5%。それを客単価の増加で補い、店舗売上高は前年水準を維持しましたが、“トッピングで楽しむ”という「ココイチ」の魅力が、割高感というネガティブ要素に転化してしまった感は否めません。

では、コロナの影響を受けた2021年2月期の業績はどうなっているでしょうか。

昨年3月以降はコロナ影響で大幅減益に

直近の2021年2月期 第3四半期(2020年3月〜11月累計)は、売上高が329.6億円(前年同期比▲14.0%)の減収。営業利益は19.7億円 (同▲53.5%)、四半期純利益は14.6億円(同▲47.6%)と大幅な減益になりました。

こうした業績に対し、株価はどう動いたでしょうか。

2018年2月期末に4500円台にあった株価は、2019年に入ると上昇トレンドに乗り2020年2月期末直前の1月に初の6000円を突破しました。しかし中国でのコロナ拡大をきっかけに2月から急落し始め、3月中旬には3700円台に。4月以降のV字回復で10月に5500円台をつけまししたが、その後は店舗の月次成績が芳しくないことから、12月以降5100円台に戻しています。

壱番屋の過去5年の株価推移

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今年度の通期予想は売上高447.0億円(前期比▲13.2%)、営業利益25.8億円(▲50.4%)、当期純利益17.6億円(▲46.0%)で、減収減益ながら黒字を維持する見込みです。

FC加盟店に対しては、加盟保証金の全額返還(総額15億円超)やテイクアウト販売の支援、販促費の徴収免除といった支援を行い、チェーン全体で生き残りを図っています。

しかし、今年に入って緊急事態宣言が出された関東の1都3県、拡大対象となった関西2府1県や愛知県、福岡県は、いずれも壱番屋の出店が集中しているエリア。営業時間の短縮や外出自粛が業績に影を落とすことは避けられず、テイクアウトや宅配、昼間時間帯の利用を促進するアイデアが求められます。

まとめ 

2019年2月期に減益を記録した壱番屋は、翌年度の値上げによって増益を達成しました。しかし新型コロナの影響で2021年2月期は減収減益が続き、第3波の到来で不透明感が増しています。

そうした状況下でも、壱番屋は昨年12月に北海道旭川市でジンギスカン店を経営する(有)大黒商事の子会社化を行っています。新業態への挑戦、さらなる成長のためにも、基盤である「ココイチ」の力強い復活を期待したいものです。

参考資料

株式会社壱番屋 2020年12月度 月次情報(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/ir_material1/152952/00.pdf)

株式会社壱番屋 2021年2月期第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/tdnet/1916064/00.pdf)

株式会社壱番屋 2021年2月期第2四半期 決算説明会資料(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/ir_material_for_fiscal_ym/87131/00.pdf)

株式会社壱番屋 2020年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/tdnet/1813971/00.pdf)

株式会社壱番屋 2019年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/tdnet/1690183/00.pdf)

株式会社壱番屋 リリース「有限会社大黒商事の株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/tdnet/1916629/00.pdf)」

ハウス食品グループ本社株式会社 2021年3月期第2四半期 決算説明会資料(https://housefoods-group.com/ir/ir_library/explanation/pdf/201030kessansetsumei.pdf)

「データからみる外食産業:2020年11月(http://www.jfnet.or.jp/data/m/data_c_m2020_11_1.html)」(一社)日本フードサービス

「セールスリポート(https://www.mcd-holdings.co.jp/ir/sales_report/)」日本マクドナルドホールディングス株式会社

「『レシーカが調査!毎月のショッピング利用状況』コロナ禍における香辛料の購入状況(https://www.cccmkhd.co.jp/news/2020/20201005_000361.html)」CCCマーケティング株式会社

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