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「想像より負担感」夫婦の奨学金。どこの家庭も抱える悩み?

LIMO / 2021年1月20日 20時0分

「想像より負担感」夫婦の奨学金。どこの家庭も抱える悩み?

「想像より負担感」夫婦の奨学金。どこの家庭も抱える悩み?

世界的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がいまだ蔓延する中、その影響は日本も例外ではありません。2020年度は多くの企業や会社の前年比マイナスが予想されるため、今後の家計に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

特にこれから新入学を迎えるお子さんをお持ちの家庭は「学費を払っていけるだろうか」そんな不安が頭を過る時期だと思います。そんなときに頼りになるのが奨学金の存在ではないでしょうか。

成績や条件次第で無利子のものも存在するため、さまざまな形で多くの家庭で利用されている奨学金制度。大変便利でありがたい制度ですが、お金を借りる大前提としてそれらが「借金」であることをお子さんたちもしっかりと理解することが大事だといいます。

奨学金貸与はメジャー?

高校卒業後、大学や各種学校への進学は多くの子供にとって身近なことになり、たくさんの学生が新たな進路へと進んでいます。周囲が進学するのが当たり前の環境になってきた現代において、お子さんを持つ親御さんたちは常々「進学費用をねん出できるだろうか」という金銭的な不安が付きまとっているのではないでしょうか。

親として家庭の都合で我が子の夢を断念させ、進学を叶わないものにするのは大変心苦しいものです。そんなとき頼りになるのが、奨学金制度です。日本学生支援機構が2020年3月に発表した「平成30年度 学生生活調査結果(https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2020/03/16/data18_all.pdf)」によると、平成30年度に日本学生支援機構をはじめとするなんらかの奨学金を受給している人の割合は、大学(昼間部)47.5%、短期大学(昼間部)55.2%という結果が出ています。約2人に1人が奨学金を何らかの形で受給していると考えると、多くの学生にとって奨学金制度はかなり身近なものと感じるのではないでしょうか。

同調査によると平成30年度の学生の家庭の平均年間収入額は、大学(昼間部)862万円、短期大学(昼間部)640万円となっており、決して低い金額ではありません。それにも関わらず約半数の学生が奨学金制度を利用し学生生活を送っていることを考えると、進学には多額の費用が掛かるといえるようです。

総額300万円?夫婦で借りたら600万円?!

また、労働者福祉中央協議会(中央労福協)が2019年3月に発表した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(http://www.rofuku.net/pressrelease20190312/)」によると、奨学金の借入総額の平均は324.3万円、毎月の返済金額の平均は16880円、返済期間の平均は14.7年という結果が出ています。

また、今後の返済に「不安を感じる」人は正規労働者5割強、非正規労働者7割強、返済が「苦しい」と回答したのは正規労働者4割、非正規労働者6割弱となりました。正規・非正規で働く人どちらにとっても奨学金の返済は負担に感じるようですが、特に今後の見通しに不安がある非正規で働く人は半数以上が奨学金を苦しく感じているようです。

奨学金を抱えたまま結婚した場合、主婦の中からは「自分の奨学金を家計から出してもらうのが申し訳ない」といった声も聞こえたり「結婚するまで相手に奨学金があることを話せなかった」など、パートナーへの気兼ねになっている人もいるようです。

40歳目前。ラストスパートがきつい

大学時代、約300万円の奨学金を借りていたというTさん。大学卒業後は正社員として就職、毎月コンスタントに支払いを続けていました。独身時代は奨学金返済に関し特に負担と感じたことはなかったそうですが、結婚・妻の出産後にその負担感を理解したといいます。

「自分は30歳を少し過ぎたところで結婚、そこから子供が2人生まれ住宅も購入しました。ライフイベントがまとまって起こったというのもありますが、その当時の記憶として、あちらこちらにとにかくお金を支払っていた印象があります。

住宅ローンが始まった時、『奨学金さえなければもう少し返済の金額を増やせたのにな』なんて思いました。また、うちの子供が幼稚園に入園したときは無償化もはじまっていなかったので、これも痛かったです。世間的には「そうはいっても重なるのは数年間の話でしょ」なんて思われるかもしれませんが、出産を機に妻が正社員で働いていた会社を辞め、パートになったことなども加わり、収入減の悲壮感がすごかったです。『うちは今後お金を貯めることができるのだろうか』といった不安感に襲われたのを覚えています。

昨年、ようやく奨学金すべての返済が終わったときは安堵感でいっぱいでした。住宅ローンはまだまだ先が長いですが、返済先がひとつ減ったというのは気分的にかなり変わってくるものだなと感じました」

加えて「我が家は妻が奨学金を借りていなかったのがせめてもの救いでした」と語っていたTさん。一般的なサラリーマン世帯といわれるTさんですら、圧迫感を感じたという奨学金の返済。奨学金を借りる際は「将来とにかくお金がかかる年代がある」ということまで考える人のほうが少ないかもしれませんが、こういった事態が起こっている人は一般的にかなりいるのではないでしょうか。また、離職などをせず順調に返済してきたTさんでもこういった状態が起こることを考えると、さまざまな理由で返済がスムーズにいかなくなってしまった方たちが多数存在することも想像できます。

救済措置の存在など、奨学金を正しく知ろう

話を聞いてみると奨学金のとらえ方は人それぞれで、「保証人になってもらった親族に迷惑をかけてしまわないか不安」「返済するまで結婚できないのではないか」と考える人から、中には「親がお金がなくて借りたのだから自分の責任ではない」などと考える人もいるなど、その受け止め方は千差万別です。

調査によると「奨学金の返済条件や滞納リスクなどについての理解度(39歳以下で学生支援機構の奨学金利用者計)」は「理解していた」54.3%、「理解していなかった44.4%」そうです。こういった奨学金への知識の違いも、不安や焦り、無責任な返済の遅延などにつながっている可能性もあるのかもしれません。

一言に奨学金といっても、無利子のものもあれば有利子のものもあります。また「働けなくなったらどうしよう」と考える人もいるかもしれませんが、様々な救済制度(日本学生支援機構「返還に関する各種制度(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/henkan/hoho.html)」)を利用するといった手段もあります。

お金を借りる際はみなさん学生のため、お金の重みを正確に理解することは難しいかもしれません。しかし、自分が学ぶために借りたお金のことをきちんと理解し向き合うことで、必要以上に不安になる必要が消えたり、しっかりとした責任感が生まれることもあるのではないでしょうか。

参照

日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査結果(https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2020/03/16/data18_all.pdf)」

労働者福祉中央協議会(中央労福協)「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(http://www.rofuku.net/pressrelease20190312/)」

日本学生支援機構「返還に関する各種制度(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/henkan/hoho.html)」

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