半導体設備投資、2年連続で1000億ドル超
LIMO / 2021年2月10日 20時5分
半導体設備投資、2年連続で1000億ドル超
韓台2強で全体の5割占める、中国勢投資はまだら模様
2021年の世界半導体設備投資は前年比8%増の1110億ドルが見込まれており、2年連続で1000億の大台を突破することになりそうだ。TSMC、サムスンの大手2社が巨額投資を敢行する構えで、両社合算の投資金額が全体の51%を占めるという構図になる。
近年はこの2社にインテルを加えた3強による大型投資が展開されていたが、同社の先端プロセスにおける生産戦略に見直しがかかっていることもあり、勢力図が変わりつつある。SMICなどを中心に半導体国産化に向けた戦略的投資が進められていた中国勢の投資は、米中対立の影響などを受けてまだら模様の印象だ。
新型コロナ、米中対立が需要押し上げ
新型コロナで加速度的に普及したリモートワークやオンライン学習/医療などの生活様式の変化によって、半導体の重要性がより一層増しており、これが各社の設備投資拡大につながっている。また、米中ハイテク戦争に伴うデカップリングも中国勢の投資を後押ししており、20年に起きた「新型コロナ」「米中対立」という、大きなマクロ環境の変化はいずれも半導体需要を高めることとなっている。
こうした状況を受けて、TSMCとサムスンは過去に例のない投資計画を打ち出している。TSMCは21年投資金額として250億~280億ドルを計画。現在量産中の5nmプロセスの追加増強が予定されているほか、次世代の3nmも22年の量産開始に向けて、今年から量産用装置の導入が始まる見通し。
TSMCにとっては、インテルの外部委託の方針も今後の投資戦略を大きく左右することになりそうだ。同社は7nmの開発遅延に伴い、ここにきて外部リソースの活用を示唆していたが、CEOの交代に伴い、2月15日以降に改めて戦略がアップデートされる見通し。一時に比べて外部アウトソースの方針がトーンダウンした可能性も指摘されているが、AMDとの競争激化やハイパースケーラー顧客のチップ内製化を前に、猶予はそれほど残されていないのが実情だ。
サムスンは300億ドル超える水準
サムスンの21年半導体設備投資額は300億ドルを超える規模が見込まれている。20年12月に入り、DRAM、NAND双方の投資計画が決まり、一気に製造装置メーカーに設備発注が行われた。DRAMでは平澤第2工場での1Znm世代の投資、NANDでは西安第2工場での92層世代の追加投資、平澤第1/第2工場での128層世代の投資が年初から始まっている。
また、ファンドリー事業でも大型投資が見込まれており、平澤第2工場での5nm世代の量産投資に加え、米オースティン工場での新増設計画の案も浮上している。
メモリー分野はサムスン電子が大型投資を敢行する一方で、他企業は今のところ大きな投資計画には発展していない。DRAM市況は需給環境が改善し、設備投資を行える環境になりつつあるが、NANDはコントラクト価格が依然下落基調にあり、主要各社は設備投資に慎重だ。キオクシア、マイクロン、SKハイニックスともにNAND分野においては大きな投資計画は具体化していない。そのなかで、サムスンが大型投資を再開しているのはシェア拡大に向けた動きとみられており、それが実行できるのは他社と比べて技術優位性を確保しているからに他ならない。
中国投資は投資確度の見極め重要に
中国現地の半導体メーカーによる設備投資はここ数年、製造装置市場を牽引する材料の1つであったが、21年に関しては投資スタンスが二極化の傾向にある。SMICは米中制裁の影響から20年に投資計画を大きく前倒しした影響で、21年は前年比では大きく減少する見込み。
一方で、3D-NANDを生産するYMTCは、年初から128層世代の量産投資をスタートさせるなど、引き続き強気の投資姿勢を貫く。中国の半導体投資プロジェクトにおいては資金調達のめどが立たないケースが散見されており、武漢でファンドリー事業の展開を目指していたHSMCもプロジェクトが頓挫した。材料・装置サプライヤーにとっては、これまで以上に投資確度の見極めが重要になってきそうだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
PCテクノロジートレンド 2025 - プロセス編「Samsung」と「Intel」
マイナビニュース / 2025年1月2日 10時0分
-
韓国企業に勝って「世界一」を獲るにはこれしかない…東芝が泣く泣く売った成長株「キオクシア」上場で起きること
プレジデントオンライン / 2024年12月30日 9時15分
-
韓国半導体、起死回生の「KSMC」設立を計画、経済効果は30兆円以上―中国メディア
Record China / 2024年12月28日 6時0分
-
「米中半導体戦争」激化 米国、中国の非先端半導体の氾濫警戒 中国、報復で米半導体大手をやり玉に 日本は「パワー半導体」に強み
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月25日 11時37分
-
韓国半導体が”絶体絶命の危機”に、原因は勤勉さの喪失?=韓国ネット「ここ数年ですべて崩壊」
Record China / 2024年12月20日 6時0分
ランキング
-
12025年の景気は「緩やかな回復が持続」…経済評論家・塚崎公義氏が予想
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月2日 9時15分
-
22025年 日銀「次の利上げ」はいつ? 「市場との対話」の改善は
日テレNEWS NNN / 2025年1月2日 15時0分
-
32025年「日本企業が直面する」3つの"本質的問題" ビジネス現場で増える「厄介な問題」解決法は?
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 10時0分
-
4子どもの遊びに必要な「主体性」と「無意味性」 目的がないからこそ身に付く能力
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 11時0分
-
5SKY-HIが「上司には無邪気さが必要」と語る真意 若手部下とのコミュニケーションの極意とは
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください