「フリーランスになりたい」相談を受けてもオススメできない金銭的理由
LIMO / 2021年2月16日 20時5分
「フリーランスになりたい」相談を受けてもオススメできない金銭的理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以降、フリーランス(個人事業主)になりたいという人が増えているそうです。筆者は社会に出てからのほとんどの期間をフリーランスとして過ごしており、ときどきフリーランスになりたい方から相談を受けることがあります。
しかし、自分が長年フリーランスとして働いておきながらなんですが、個人的にはあまりおすすめはできません。特に収入面のリスクが高いので、すでに安定して働ける環境があるのであれば、それを続けたほうが良いのでは?と思ってしまいます。
とはいえ、フリーランスの自由さは魅力的なもの。どうしてもフリーランスになりたいという方もいるでしょう。そこで今回は、筆者の経験や相談内容なども踏まえて、フリーランスの現実や注意点などをご紹介します。
フリーランスになりたい人が増えている
昨年5月に、フリーランス協会がまとめた「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査」によると、新型コロナ拡大以前は「今の仕事や働き方の問題を解消する、または満足度を高めるための取り組みとして考えていることはありますか」という問いに対して、フリーランス(個人事業主)をあげた会社員はわずか18.3%※でした。
これが、新型コロナ拡大後は46.4%※まで増加しています。(※「現在行っている」「具体的に考えている」「いつかはしたいと考えている」の合計)
また、日本労働組合総連合会の「ネット受注をするフリーランスに関する調査2020」では、ネット受注をするフリーランスを選んだ理由を聞いたところ、1位は「収入を増やしたかったから(44.9%)」、次いで「自分のペースで働く時間を決められるから(42.0%)」となっています。
フリーランスの自由さや、頑張るほど収入アップが期待できるという点は、たしかに魅力的だと思います。しかし、理想だけ見てフリーランスを選んでしまうと、あとで後悔することになるかもしれません。
フリーランスの現実
①とにかく収入が不安定
フリーランスの収入は非常に不安定で、仕事が取れなかった、病気で休んだなどで働けなければ収入は0円です。また、スキルが高ければ高額な報酬を得られますが、スキルがない場合は数万円稼ぐのがやっとということもあります。
前述の日本労働組合総連合会による調査では、専業フリーランスの平均月収は16万8,600円で、月収10万円未満の人が全体の約4割を占めています。そこから生活費や税金、国民健康保険料などを引いていくと、経済的に苦しい方もいるのではないでしょうか。
さらに、急にクライアントと連絡が取れなくなるなどのトラブルもあるため、常に仕事がなくなったときの対策を考えておかなくてはなりません。
②意外と自由じゃない
フリーランスが請け負う仕事には納期があるものが多く、フリーランスになった結果、かえって自由時間が減ることも少なくありません。納期が守れないようでは、次から仕事の依頼が来なくなる可能性もあります。
また、単価が低い仕事しか取れないと、収入を確保するためには仕事の数を増やすしかなく、長時間労働になりがちです。納期や収入のことを考えると、好きなように休んでばかりはいられないというのが実情と言えるでしょう。
③もしものときの保障がない
フリーランスには公的な保障がほとんどなく、仕事を辞めても失業給付金などは出ませんし、病気やケガで休んでも収入は保障されません。保険に加入するなどして、もしものときのために自分で備える必要があります。
それでもフリーランスになりたいなら
フリーランスの厳しい現実をお伝えしましたが、それでも通勤や人間関係の悩みが少ない、自由度が高いなど、フリーランスならではの魅力もあります。どうしてもフリーランスになりたいというのであれば、注意点をしっかり押さえておきましょう。
①収入減の対策を万全に
フリーランスの大きなデメリットは、急に無収入になるリスクがあることです。失業給付金などの保障もないので、しっかり貯金をしておく、各種保険に加入しておくなどの対策をしておきましょう。
以前、記事「失業後、どん底に陥った経験~お金に無頓着だった過去の自分に思うこと(https://limo.media/articles/-/19444)」で紹介したように、20代前半の筆者はこうした対策を怠っていたために、事故で働けなくなったときに多額の借金を作りました。
1度そのような状態に陥ると、リカバリーするのが大変です。急に仕事の依頼が途切れたときのために、複数の仕事を並行して進めることも考えておきましょう。
②常にスキルアップを心がける
スキルが低いと単価が低い仕事しか受けられず、生活が厳しくなる可能性があるため、常にスキルアップを視野に入れておくことが重要です。
仕事に関するスキルはもちろん、営業も経理も何もかも自分でやらなくてはならないので(人を雇うという手もありますが)、そうしたスキルや知識も増やしておきましょう。
③家族を当てにしない
筆者に相談してきた方のなかには、「経理は妻に頼みます」など家族の労働力を当てにしている方が多くいました。
しかし、もし夫婦でフリーランスに転身してしまうと、不測の事態が起きたときには2人とも仕事を失ってしまうリスクがあります。可能であれば、どちらか1人は安定収入を得ているほうが安心です。
また、なかには家族の助けを当てにしながら「家族なんだから報酬を支払うつもりはない」という人もいましたが、家族はタダで使える便利な人ではありません。
家族を無償で働かせ、何かあれば感情的に怒り、最終的に大モメして離婚というケースも少なからず見てきました。仕事を丸投げしていた家族がいなくなると、その先の仕事にも支障が出てくることでしょう。
どうしても家族に手伝ってもらうのであれば、きちんと報酬を支払う、仕事中は感情的にならずあくまで従業員として接するなど、お互いが納得できるルールをあらかじめ決めておくと良さそうです。
おわりに
フリーランスの自由さは魅力的ですが、収入が不安定で保障も少ないハイリスクな働き方だというのが現実です。理想だけ見るのではなく、転身後の生活をしっかりシミュレーションして、まずは副業として始めることを検討してはいかがでしょうか。
参考資料
「ネット受注をするフリーランスに関する調査2020(https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20200220.pdf?9171)」(日本労働組合総連合会)
「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査(https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2020/05/2020_0521_covid19henyochosa.pdf)」(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)
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