「子どもの基礎学力を把握していない」日本の親。教育は本人任せ、塾任せ
LIMO / 2021年2月26日 18時35分
![「子どもの基礎学力を把握していない」日本の親。教育は本人任せ、塾任せ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_22079_0-small.jpg)
「子どもの基礎学力を把握していない」日本の親。教育は本人任せ、塾任せ
OECD(経済協力開発機構)に加盟する国々を中心に、3年毎に実施される国際的な学習到達度テスト「PISA」。その結果が公表されると、日本の生徒の学力順位がメディアを通じて大々的に報道されます。
過去にはPISAで日本の子どもたちの学力が大きく低下したことで、ゆとり教育への疑念が噴出したこともありました。
では、子どもの教育に関わる保護者の意識はどのようなものなのでしょうか。
株式会社スプリックスが運営するスプリックス基礎学力研究所の「世界11ヵ国の子ども・保護者を対象 行ったアンケート結果」から、日本と世界各国の保護者の意識の相違を考えていきます。
子どもの基礎学力を把握していない
本調査では日本を含む世界11カ国(日本・アメリカ・中国・インド・イギリス・フランス・ポーランド・タイ・インドネシア・マレーシア・ミャンマー)の子どもや保護者、合計2万2千人を対象に、学習調査や意識調査が行われました。
調査対象国に、いわゆる先進国のほか新興国が含まれている点は興味深く、より日本の保護者の意識の特徴が他の国々と異なる点が浮き彫りになる結果となっています。
まず、親の意識で一番目を引いたのが「子どもの基礎学力を把握している親の割合が11カ国中最も低い」という結果です。
1位のミャンマーが96.0%であるのに対し、日本の保護者は59.4%で最下位。日本の次に低い割合だったマレーシアでさえ85.8%ですから、日本の割合の低さが目立ちます。
拡大する(/mwimgs/1/d/-/img_1d5b88ed3c37c8b732c749452582c11f79530.jpg)
出所:世界11ヵ国の子ども・保護者を対象に行った「意識調査」と「学力調査」(スプリックス基礎学力研究所)
もちろん日本でも教育熱心な保護者もいますし、保護者が我が子の学習習熟度を全く把握していないことはないでしょう。しかし調査結果では、日本では子どもの学力をちゃんと把握している保護者が他国と比べかなり少ないのは明らかです。
実際、筆者がかつて塾講師をしていた時、子どもの苦手科目や単元をしっかり把握している保護者はごく少数でした。「勉強は親が口出しするより本人任せ、塾任せ」というスタンスが多数派でしたが、その意識はいまだに強いようです。
子どもの学力レベルへの関心が低い
また、「国内における学力レベルを把握したい」と考える保護者の割合も11カ国中最下位となりました。
1位のミャンマーが91.7%、2位のタイは90.6%、3位は88.0%の中国とアジア勢がトップ3を独占。
日本は60.0%と低い結果でしたが、2番目に低いフランス(64.6%)を除いた他の国々では75%以上の保護者が「我が子の国内での学力レベルがどの程度ものか」と関心を寄せています。
拡大する(/mwimgs/a/8/-/img_a8c43f29140270c8d86ff7653be4273e87878.jpg)
出所:世界11ヵ国の子ども・保護者を対象に行った「意識調査」と「学力調査」(スプリックス基礎学力研究所)
さらに、「海外における学力レベルを把握したい」となると、さらに数値が低くなりました。「把握したい」と答えた日本の保護者は26.6%にとどまり、11カ国の中で断トツの最下位です。
日本に次いで低いフランスでも49.0%と約半数の保護者が海外での学力レベルを把握したいと考えていることを踏まえると、日本の保護者は「海外で活躍する」ことを他国に比べて重要視していないとも読み取れます。
拡大する(/mwimgs/1/f/-/img_1f91b5cdfe84bbf3161be97024482a5c85356.jpg)
出所:世界11ヵ国の子ども・保護者を対象に行った「意識調査」と「学力調査」(スプリックス基礎学力研究所)
このように、日本の保護者は「子どもの学力をあまり把握せず、国内外でどのレベルにいるのか気にしない」という傾向が強い一方で、経済界を中心に、グローバル化社会で活躍する人材は強く求められています。
本調査の結果からは保護者の意識と企業の考えが乖離(かいり)していることが見て取れますが、裏を返せば、保護者が子どもの教育に関心を寄せて語学力や海外志向を高めることで「他の子とは違う子」に変身し、子どもに強みを持たせることもできるでしょう。
オンリーワンを目指すには
こうして調査結果を見てくると、日本では教育に関する保護者の意識も”ガラパゴス化”している印象があります。日本は生活水準が高く、ことさら世界を目指さなくても不自由なく暮らせる国ではありますが、少子高齢化が進む中で、今後は国力が衰えていくとも言われています。
否応なくグローバル化している社会の中では、日本独特の考えだけにとらわれず、多角的な視野を持って子どもの教育に関わっていくことが今まで以上に必要とされているのではないでしょうか。
参考資料
「世界11ヵ国において子ども・保護者を対象に学習に関する『意識調査』、および基礎学力を測る『学力調査』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000045711.html)」(株式会社スプリックス/スプリックス基礎学力研究所)
調査対象:6歳~15歳の子ども(各国1,000名 x 11ヵ国の11,000名)、上記子どもの保護者(各国1,000名 x 11ヵ国の11,000名)
調査期間:2020年8月~9月
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