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最新「みんなの教育費」、コロナ禍で学力低下を懸念?

LIMO / 2021年3月11日 18時55分

最新「みんなの教育費」、コロナ禍で学力低下を懸念?

最新「みんなの教育費」、コロナ禍で学力低下を懸念?

ソニー生命保険(株)が2021年1月に行った「子どもの教育資金に関する調査」(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2020/nr_210302.html)から、興味深い調査結果を抜粋してご紹介します。教育費についての考え方、コロナ禍での教育や家計への不安、小学生から社会人になるまでにいくら必要か等、教育資金に関する意識と実態を最新レポートからお伝えします。

教育費についての考え方「お金で学力が決まる?」

ソニー生命保険(株)が、2021年1月18日~1月20日の3日間、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女に対し、「子どもの教育資金に関する調査」を行いました。(有効回答数:1,000サンプル)

まず最初に、教育費についての考え方を聞いています。

子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる

非常にあてはまる 14.7%

ややあてはまる 48.3%

あまりあてはまらない 30.3%

全くあてはまらない 6.7%

(ソニー生命調べ)

「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」を合計した「あてはまる」は63.0%、「あまりあてはまらない」と「全くあてはまらない」を合計した「あてはまらない」が37.0%となり、6割強の人が『子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まる』と感じていることがわかりました。

老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい

非常にあてはまる 7.6%

ややあてはまる 53.6%

あまりあてはまらない 35.1%

全くあてはまらない 3.7%

(ソニー生命調べ)

「あてはまる」が61.2%となり、これも6割強の人が老後の備えよりも子どもの教育費の方を優先したいと考えていることがわかりました。

家計や教育へのコロナ禍の影響は?

コロナ禍が家計や教育に及ぼした影響についての質問です。

子どもの自学自習時間は

非常に増加 6.2%

やや増加 46.0%

やや減少 39.9%

非常に減少 7.9%

(ソニー生命調べ)

「非常に」と「やや」を合わせた「増加(計)」が52.2%「減少(計)」が47.8%と、それほど差はありませんでした。

子どもの学力は

非常に向上 3.4%

やや向上 36.0%

やや低下 51.6%

非常に低下 9.0%

(ソニー生命調べ)

「向上(計)」が39.4%、「低下(計)」が60.6%と、およそ6割の人が低下したと答えています。コロナ禍によって、学ぶ環境が変化したことが一因かもしれません。

子どもの進路の選択肢は

非常に増加 2.6%

やや増加 30.1%

やや減少 56.3%

非常に減少 11.0%

(ソニー生命調べ)

子どもの進路の選択肢が増えたか減ったかを聞いた質問では、「増加(計)」が32.7%、「減少(計)」が67.3%と、7割近い人が減ったと答えています。外出自粛などの行動制限や経済の悪化による影響が子どもの進路の選択を阻めているようです。

次に、コロナ禍での、教育にかけるお金、家計状況などを聞いています。

家計は?

非常に改善 1.5%

やや改善 23.7%

やや悪化 60.7%

非常に悪化 14.1%

(ソニー生命調べ)

「改善(計)」が25.2%、「悪化(計)」が74.8%と、7割半の人が悪化したと答えています。一方で教育費の状況はどうでしょうか。

子どもの教育費は?

非常に増加 4.1%

やや増加 42.0%

やや減少 48.7%

非常に減少 5.2%

(ソニー生命調べ)

「増加(計)」が46.1%、「減少(計)」が53.9%と、コロナ禍で教育費が減少したと答えた人の割合が少し多くなっていますが、家計の悪化の割合に比べると極端ではありません。

教育資金に対する不安は

非常に増加 18.8%

やや増加 52.6%

やや減少 23.5%

非常に減少 5.1%

(ソニー生命調べ)

コロナ禍での教育資金に対する不安を聞いた質問では、不安が「増加(計)」が71.4%、「減少(計)」が28.6%と、7割強の人が不安に思っていることがわかります。

教育資金はいくら必要?

未就学児の親(248名)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はいくらくらい必要だと思うかを聞いています(グラフ参照)。

(/mwimgs/1/3/-/img_13cf2797a2e8f758b309278cb2d4d8e5104411.jpg)

拡大する(/mwimgs/1/3/-/img_13cf2797a2e8f758b309278cb2d4d8e5104411.jpg)

(ソニー生命調べ)

一番多かった回答が、「1,000万円~1,400万円位」(36.2%)で、平均予想金額は1,266万円でした。 

実際にかかった費用を調査したデータと比較してみましょう。

文部科学省が行った「平成30年度(2018年度)子供の学習費調査」(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf)の結果と「私立大学等の平成30年度(2018年度)入学者に係る学生納付金等調査結果」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00001.htm)を元に、小学校から大学までの学費総額を公立、私立に分けて表にしました(表参照)。

(/mwimgs/9/8/-/img_98b441c168d0b82b44232229f22e22d412682.png)

拡大する(/mwimgs/9/8/-/img_98b441c168d0b82b44232229f22e22d412682.png)

文部科学省の資料を元に筆者作成

(注:大学の学費は4年間の授業料と入学金の合計です。私立大学は平均額であり、理系学部や医学部、芸術学部などはこれ以上の学費がかかることになります。)

仮にすべて公立(大学は国立)だった場合は約700万円、すべて私立だった場合は約2,000万円となります。各自の進学コースに沿って合計してみてください。また、大学を自宅外から通った場合には下宿代や生活費も加わりますので、これらの費用も念頭に置いておきましょう。

平均予想金額の1,266万円は妥当な金額になっていますね。ただ、子どもの進学コースによって、大きく変わってくるものなので、こうした数字を把握しておくとよいでしょう。

学校外教育費は減少?

教育資金にはスポーツや芸術などの習い事、塾、家庭学習などの学校外教育費も含みます。
子ども1人あたりの学校外教育費の平均支出金額(月額)を過去の結果と比べたグラフがこちらです(グラフ参照)。

(/mwimgs/e/4/-/img_e400e73d285adbdd9f004bb0762d5ab575009.jpg)

拡大する(/mwimgs/e/4/-/img_e400e73d285adbdd9f004bb0762d5ab575009.jpg)

(ソニー生命調べ)

2021年は1万3,267円となり、2020年の1万5,120円から1,853円減少しています。コロナ禍による家計の悪化や外出自粛による習い事の休止などが影響していると考えられます。

次に、未就学児、小学生、中高生、大学生等、就学段階別に学校外教育費の支出を表したグラフを見てみましょう(グラフ参照)。

(/mwimgs/2/0/-/img_2073d3bd92d2e552540538b4410200f9135361.jpg)

拡大する(/mwimgs/2/0/-/img_2073d3bd92d2e552540538b4410200f9135361.jpg)

(ソニー生命調べ)

2021年で中高生以外が大きく減少しているのがわかります。中高生の学校外教育費があまり減少していないのは、中高生は受験に係る時期なので、そこは減らしたくないということでしょうか。家計状況により教育費を削らざるを得ない場合に、削るべきところと削ってはいけないところを分けて考えているご家庭が多いように思います。

みんなの教育資金の準備方法は?

最後に、高校生以下の子どもの親(748名)に教育資金をどのように準備しているのかを聞いた結果をご紹介します。

(/mwimgs/1/6/-/img_16d11d3e4622bf48444dea7e2f16f6c4106890.jpg)

拡大する(/mwimgs/1/6/-/img_16d11d3e4622bf48444dea7e2f16f6c4106890.jpg)

(ソニー生命調べ)

一番多いのが「銀行預金」、次に「学資保険」となっていますが、この二つが突出して多くなっています。教育資金は安全資産(元本割れするリスクが極めて低い資産)で準備するのが基本とされていますので、それに則った結果といえます。

FPの立場から一つアドバイスをすると、安全資産での貯蓄と投資の二本立てで準備するということも可能です。

子どもが生まれてすぐに積立投資を始めれば、一番お金がかかる大学進学までの18年の時間を使えます。つみたてNISAはリスクを抑えた運用ができ、税制優遇があるので教育資金の準備にも利用できます。ただ一番優先してほしいのは安全資産での貯蓄です。預貯金や学資保険は物価上昇に弱いので、それを補完する意味での二本立てと考えてください。

さいごに

子どもの教育資金に関する調査から、興味深いものをピックアップしてみました。コロナ禍で家計が厳しくなっている状況でも、子どもの教育費は、重要に思うところでは削らない、優先して準備するなど、子どもの教育にかける熱量の高さがこの調査結果から伺えました。

また、小学校から大学卒業までいくらかかるのか、目安の金額を出していますのでぜひ参考にしてみてください。

参考資料

ソニー生命保険「子どもの教育資金に関する調査2021」(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2020/nr_210302.html)

調査概要
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女
調査期間:2021年1月18日~1月20日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル(有効回答から各条件がほぼ均等になるように抽出)
(内訳)親の性別×子の性別×子の通う学校(未就学、小学校、中学校・高校
    大学・短期大学・専門学校・予備校)で16分割、ほぼ均等割付
調査協力会社:ネットエイジア(株)

文部科学省「平成30年度子供の学習費調査 調査結果の概要」(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf)

文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/attach/1386502.htm)

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