「60歳以上・無職世帯」平均貯蓄額は2000万円を超えているか
LIMO / 2021年3月14日 17時0分
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「60歳以上・無職世帯」平均貯蓄額は2000万円を超えているか
2019年に金融庁のレポートで話題となった「老後2000万円問題」。
これをきっかけに、老後資金として「2000万円」を貯蓄目標の目安とされた方もいらっしゃるかと思います。
この2000万円という金額は、現役世代の標準的な世帯からみたら「一朝一夕で貯まる金額ではない」という場合がほとんどでしょう。
60歳以上で、この「2000万円」という金額を持っている世帯はどのくらい存在するのでしょうか。
ときに「お金持ちが多い」というイメージを持たれる日本のシルバー世代。
今回は60歳以上、特に「無職世帯」の貯蓄事情にフォーカスしていきます。
「60歳以上・高齢者世帯」の貯蓄事情
さいしょに、二人以上の世帯のうち「世帯主が60歳以上」の高齢世帯について、貯蓄額の分布を見ていきます。
100万円未満・・・8.5%
100万~200万円・・・3.9%
200万~300万円・・・3.4%
300万~400万円・・・3.7%
400万~500万円・・・3.2%
500万~600万円・・・4.1%
600万~700万円・・・3.5%
700万~800万円・・・2.8%
800万~900万円・・・3.1%
900万~1000万円・・・2.3%
1000万~1200万円・・・6.0%
1200万~1400万円・・・4.8%
1400万~1600万円・・・4.0%⇐中央値(1506万円)
1600万~1800万円・・・3.8%
1800万~2000万円・・・3.3%
2000万~2500万円・・・7.5%⇐平均値(2285万円)
2500万~3000万円・・・6.2%
3000万~4000万円・・・8.5%
4000万円以上・・・17.3%
なお、貯蓄保有世帯の中央値は1506万円、平均値は2285万円です。
「中央値」と「平均値」
貯蓄保有世帯の「中央値」とは,貯蓄「ゼロ」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに,ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄現在高のこと。
「平均値」は一部のお金持ち層によって引っ張り上げられますので、「中央値」のほうがより実態に近い値となります。
この分布をみると、60歳以上の高齢者世帯の約4割(39.6%)が、貯蓄を2000万円以上持っていることが分かります。
ただし、その一方で貯蓄が100万円未満の世帯が1割弱(8.5%)存在する、いわゆる「二極化」の状態については、着目していくべき点であるといえるでしょう。
次では、「60歳以上・無職世帯」の貯蓄事情にフォーカスしていきます。
ところで「60歳以上・無職世帯」はどのくらい貯めているの?
さて、同調査によると、2019年時点の二人以上の世帯(すべての世代)の平均貯蓄現在高は1755万円となっています。
ここでまず、若い世代も含めた、世帯主の年齢階級別貯蓄現在高の平均を見ていきましょう。
世帯主の年齢階級別貯蓄現在高
40歳未満…691万円
40~49歳…1076万円
50~59歳…1074万円
60~69歳…2330万円
70歳以上…2253万円
平均…1755万円
では、これを「無職の高齢者世帯」に絞って、その推移を追っていきます。
高齢無職世帯の貯蓄現在高の推移
2014年・・・2372万円
2015年・・・2430万円
2016年・・・2363万円
2017年・・・2348万円
2018年・・・2280万円
2019年・・・2244万円
2019年前年に比べ36万円のマイナス、かつ4年連続減少しているものの、「60歳以上の高齢者・無職世帯」の貯蓄現在高の平均額は2000万円をキープしているようです。
では、ここで、2019年の「60歳以上の高齢者・無職世帯」の貯蓄の「内訳」をみていきます。
「60歳以上・無職世帯」の貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯)
金融機関
通貨性預貯金・・・552万円(24.6%)
定期性預貯金・・・948万円(42.2%)
生命保険など・・・374万円(16.7%)
有価証券・・・361万円(16.1%)
金融機関外・・・8万円(0.4%)
「通貨性預貯金」とは自由に入出金可能な普通預金など、「定期性預貯金」とは金融機関に一定期間預ける定期預金などが含まれます。「生命保険など」とは生命保険会社の養老保険やこども保険などで、掛け捨ての保険を含みません。
さいごに
「60歳以上・無職世帯」の貯蓄額は、ここ数年、減少傾向にはあるものの、平均額は毎年2000万円以上で推移しているようですね。
今回のデータはいわゆる「コロナ前」の数値ですので、今後公表される2020年度の調査結果にどのような変化があるかについては、気になるところです。
長引くコロナ禍の不安をきっかけに、これまで以上にお金に対して真剣に向き合い始めた、というご家庭も多いかと思います。
ライフスタイルや現役時代の働き方、そして年金受給額は人それぞれです。よって、老後の生活にどのくらいお金が必要かは、ご家庭によって差があって当然といえます。
働き盛りの若い世代のみなさんの場合、お子さんの教育費や住宅ローンといった、目前の出費でてんてこまい、というケースが多いでしょう。
「老後のお金のことまで考えている余裕なんてない!」となってしまうのも、ある意味自然なことなのかもしれません。
とはいえ、人生100年時代はすぐそこにやってきています。長い老後を見据えた資金形成は、少しでも若いうちから、コツコツと無理なく続けていくことが大切といえます。
お金の相談ごとって、親しい友人や親きょうだいの間でもなかなかしづらいものです。
ご自身に合う「お金の育て方」がなかなか見つからずに悩んでいらっしゃる方は、ぜひ一度、お金のプロのアドバイスを受けてみることをお勧めします。
あなたのライフスタイルや家族構成にフィットした「お金の育て方」を見つけるヒントになるかもしれません。
参考資料
家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)総務省統計局「報道資料(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_yoyaku.pdf)」「Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_gai4.pdf)」
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