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もしもの時に障害年金がもらえないリスク。怖いのは低年金だけじゃない

LIMO / 2021年3月18日 19時5分

もしもの時に障害年金がもらえないリスク。怖いのは低年金だけじゃない

もしもの時に障害年金がもらえないリスク。怖いのは低年金だけじゃない

ある日突然に障害をもつことは、誰にでも起こり得るリスクです。その際、公的年金の1つである障害年金は大きな支えになるでしょう。

障害年金を受給するためには、それまでの年金保険料納付に大きな滞りがないことが必要不可欠な条件です。特に注意が必要とされるのが、20歳以上の学生です。20歳になったら「学生納付特例制度」を忘れずに申請するよう、家族で確認しておきましょう。

不慮の事故や難病は誰にでも起こり得る

コロナ禍の収束が見え難い中、1年間延期となった東京五輪の開催の是非が大きな議論となっていますが、これは東京パラリンピックについても同様です。観客をフルに入れるような従来通りの開催は難しいと思われますが、何らかの形で希望が持てるような大会にしてほしいと願うのは筆者だけではないでしょう。

ところで、大会が近づくにつれて、パラスポーツのアスリートが紹介されるテレビ番組等に接する機会が増えました。各アスリートがパラスポーツへの情熱や、今後の目標・夢を語る内容となっています。

その中で、必ず紹介されるのが、パラスポーツを選択した背景、つまり、身体等に障害を持つことになった経緯です。よく見てみると、生まれながらに障害を持った人だけでなく、健常者としての生活を送っていたにもかかわらず、ある日突然、不慮の事故に遭ったり、難病を患ったりして障害者になったケースも数多いことが分かります。

パラスポーツで活躍中の国枝慎吾(車椅子テニス)、中西摩耶(陸上競技)、土田和歌子(車椅子マラソン他)、富田宇宙(競泳)などの選手は、いずれも健常者の時に障害を持つことを余儀なくされています(敬称略)。

当然ながら、こうした状況は、パラスポーツのアスリート以外にも日常茶飯事的に起きていることと思われます。つまり、今現在は健常者としての生活を送っている全ての人が、何の前触れもなく突然に、障害を持つことになる可能性があるということです。

民間の保険だけでは不十分?

障害者といっても、その程度は様々ですが、重度の障害となれば、日常生活や将来に対する不安は極めて大きくなります。現実問題として、働くことが難しくなるケースも多く出てくるでしょう。

その際、相手側の全面的な過失による事故等で障害を持つことになった場合は、相当程度の賠償金がもらえますが、このようなパターンは意外に少ないと見られます。

一方、自損事故や難病を患った時、何らかの保険(傷害保険、医療保険、生命保険等)に加入していれば、少なからず給付金を受け取れます。しかしながら、これら給付金を受け取るには、様々な“審査”をクリアーする必要があり、また、その金額も一過性のものが少なくありません。

そもそも、将来の不確定要素である障害リスクに対して、「掛け捨て」になる可能性が高い保険料を多く支払う人は多くないと見ていいでしょう。

公的年金の1つ、障害年金の概要と受給額の目安

そこで頼りになるのが公的年金の1つである障害年金です。障害年金は、会社勤めの人が受給する障害厚生年金と、それ以外の人が受給する障害基礎年金の2種類があります。なお、障害厚生年金を受給する人は、原則、障害基礎年金も合わせて受給できます。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い、障害等級による支給金額の違い、勤続年数の違いによる金額の算出方法(障害厚生年金)などは若干複雑になるため字数の関係で省略しますが、これら障害年金のメリットとして以下の点が挙げられます。

「障害の状態」にある限り、それ以降の生涯に渡って受給できる

働きながらでも(=労働収入を得ながら)受給することができる

障害厚生年金を受給している人が死亡した場合、(遺族に)遺族厚生年金が支給される

障害年金を受給する人は、身体や精神に非常に重い障害を患うわけですから、「メリット」と称するのは若干不適切かもしれません。しかしながら、障害を持ちながら社会生活を営んでいく時、障害年金が大きな支えになるケースは少なくないはずです。

ちなみに、障害年金の受給金額は人により様々ですが、例えば、4人家族(夫、妻、子供2人)の夫が障害1級に認定された場合、以下のようになります。

夫が自営業(会社勤めでない)の場合:約143万円(年額)

夫が会社勤めで勤続25年未満の場合:約220~230万円(年額)

なお、会社勤めの場合はザックリとした目安であることに注意して下さい。

社会生活を送る上で、この金額だけで十分という人は少ないと思いますが、大きな支援になることは間違いありません。さらに、障害年金は非課税であることも重要な要素です。

保険料納付は障害年金を受給するために必要不可欠な条件

ただし、障害認定を受け、これら障害年金を受給するには必要不可欠な条件があります。それは、年金保険料の納付状況に大きな滞りがないことです。

細かい条件は省略しますが、具体的には、1)過去の納付義務期間において3分の1以上の未納期間がないこと、2)直近1年間に未納がないこと、のどちらかを充たす必要があります。本当にザックリ言うと、年金保険料に未納が目立つ場合は障害年金が受給できない、とうことです。

しかしながら、知らず知らずのうちに年金保険料が未納になってしまうケースは決して少なくないのが実情です。

有名人の未納が話題になった国民年金第1号被保険者

まず、厚生年金の加入者である会社勤めの人(国民年金第2号被保険者)は毎月の給与から天引き徴収されているので、まず心配はありません。また、国民年金第3号被保険者(国民年金第2号被保険者の配偶者、実質的には専業主婦の方)も心配に及びません。

問題は国民年金第1号被保険者(自営業、学生、フリーター、アルバイト、無職の人など)です。ここに属している人は、自ら年金保険料を納付する必要がありますが、逆に言うと、未納(払い忘れ、認識違い、支払拒否など)のリスクが大きいということです。

2004年に、前年から社会保険庁の年金CMに起用されていた女優や、当時の内閣閣僚や野党の大物といった政治家等の国民年金保険料未納が大きな社会問題となりましたが、その面々は全員が第1号被保険者でした。

一方、保険料未納を防ぐために、現在は過去2年間の未納分は後から追納できます。

ただし、障害を持つきっかけ(年金法では「初診日」と称します)が起きてから追納しても手遅れです。障害年金の受給可否は、この時点(初診日)での納入状況で判断されることに十分注意して下さい(正確には初診日の属する月の前々月までの期間で判断)。

学生は20歳になったら必ず「学生納付特例制度」の申請を

特に注意が必要なのが20歳以上の学生です。現在、20歳になると国民年金保険料の納付義務が生じますが、学生に関しては「学生納付特例制度」を申請することで、保険料納付が猶予されます。

そして、学生納付特例制度を適用されている間は、障害基礎年金の受給要件を充たしていると判断されます(つまり、未納ではないということです)。

ですから、たとえば、学生納付特例制度を適用している21歳の学生時に交通事故に遭ったことが原因で、後々に重い障害が残った場合、障害基礎年金が生涯に渡って支給されます。

しかしながら、仮に学生納付特例制度を申請していない時に障害を持つような事故に遭った場合、障害年金の支給対象とはなりません。学生納付特例制度は、自動的に適用されるものではなく、自ら申請しなければならないことには十分注意が必要です。

なお、20歳未満で障害を持つことになった人は、20歳から障害年金(障害基礎年金)を受給できます。この際、20歳未満には国民年金保険料の納付義務が生じないため、原則的に、保険料納付要件とは関係なく受給できます。ただし、20歳前には受給できません。

年金保険料納付は掛け捨てではない

最後に、年金保険料の納付は法律で定められた義務であることを再確認しておきましょう。

それは基本的には、将来に自身が受給する老齢年金のためですが、一定の納付をしていれば、途中で障害を持つことになった時に障害年金という形で返ってきます。皆さんの納付状況は本当に大丈夫ですか?

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