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小・中学校の英語で格差が起きる? 英単語数はゆとり世代の2倍以上に

LIMO / 2021年3月22日 19時35分

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小・中学校の英語で格差が起きる? 英単語数はゆとり世代の2倍以上に

2020年度から小学校5年生以上では英語が教科化され、成績が通知表につくようになりました。長らく日本の義務教育では、英語を勉強する期間は中学1年から中学3年生の3年間で固定されていましたが、今年度から、それが5年間に変わったということになります。

では、義務教育期間に2年長く英語を勉強することでどんな変化が起きるのでしょうか。

小学校で学ぶ英単語は600語から700語程度

2018年度に文部科学省が発表した資料「新学習指導要領について」によると、2020年度からは小学校で600語から700語の英単語を学ぶことになっています。

これまで小学校では高学年を中心に総合的な学習の時間などで外国語に親しむ「活動」を行ってきましたが、教科扱いではなかったため、小学校で学ぶ英単語は正式にカウントされることはありませんでした。それが新学習指導要領では、3・4年生は「活動型」として、5・6年生は「教科型」として学ぶことになります。

それに伴い、小学校で学ぶ英単語数が上記のように明確に数値化されました。つまり、新しい学習指導要領の影響を受ける2021年度の中学1年生は、小学校で英語を勉強してきたという扱いになるのです。

こうして、小学校で600語から700語の英単語を「学んできた」という状態で中学校に進学することになるわけですが、小学校では基本的に「聞く」「話す」が中心です(5・6年生では、「段階的に『読むこと』『書くこと』を加える」とされている)。いわゆる「英単語の小テスト」や「英文法を学ぶ」などの中学生的な勉強はしません。

そのため、児童によって英語への理解度が異なるまま中学校へと進むことになることも考えられます。さらに2021年度からは中学校でも新学習指導要領が実施されるので、以前に比べて多くの英単語を学ぶことになります。

具体的には、これまで中学3年間で学ぶ英単語が1200語程度だったのが、1600語~1800語へと大幅に増加。現・中1や中2の生徒は1200語ペースで学んでいたのに、2021年度からは1600語~1800語ペースで授業を受けることになります。

もちろん先行実施や移行措置を行い、大きな混乱が生じないように対策を講じている自治体もあります。とはいえ、今の小学生や中学生は親世代よりもハイペースで大量の英単語を覚えなくてはならないわけですから、負担は確実に増しているといえるでしょう。

ゆとり教育時代は中学3年間で900語

現行の中学校での学習指導要領は2012年度に「脱ゆとり教育」として実施されました(小学校は2011年度から実施)。

ゆとり教育時代(一般的には2002年度から2010年度の学習指導要領)に中学3年間で学ぶ英単語数は900語。現行ではそこに300語上乗せをし、1200語になりました。

そして、2021年度から中学校で始まる新学習指導要領では1600語〜1800語の英単語を3年間で学ぶことになるため、ゆとり教育と比べると900語→1800語と最大2倍の差があります。これに小学校の600語〜700語が加わるのですから、合計では2倍以上になるわけです。

単語数を見ただけでも「こんなに増えるのか」と思ってしまいますが、ゆとり教育時代と新年度からの学習指導要領を比較すると、その方針が真逆であることに驚くばかりです。

ゆとり教育から20年が経とうとしています。この間にグローバル化社会が一気に進みました。特に大企業では日本国内の市場だけを考えてビジネスを考える時代ではなくなっています。こうした世界の変化の中で活躍できる人材育成を掲げる場合、「英語力」は不可欠なキーワードになります。

そうしたこともあり、国の方針で英語教育が大きく変貌しつつありますが、全員がそれについていけるとは限りません。英単語をスラスラ暗記できる子がいる一方で、小学校時代に苦手意識を持つ子、つまづいてしまう子が続出することも懸念されます。

また、早い段階から英会話教室や英語塾に通える経済力のある子もいれば、英語学習は学校のみの子もいるという格差も出てくるでしょう。

現在はコロナ禍で通訳などの語学力を活かした職は苦境に立たされていますが、英語力は収入にも直結するスキルです。学校以外での学習機会格差を是正する取り組みの必要性も、今後高まってくると考えられます。

様々な形で英語に苦手意識を持ってしまった児童や生徒へのサポート体制が求められる日も、遅かれ早かれやってくるのではないでしょうか。

約10年単位で変わる学習指導要領

ゆとり教育から脱ゆとり教育、そして今回の学習指導要領へと約10年単位で改訂が行われていますが、その時代の国の方針が子どもたちに与える影響には多大なものがあります。

その中で、英語教育は戦後からの公教育の中で大きな分岐点を迎えようとしています。ゆとり教育時代は中学から高校までに学ぶ英単語は2200語、これまでの学習指導要領では3000語でした。そして新たな方針では、高校卒業レベルで4000語から5000語の語彙数が掲げられています。

これまで誰も経験していないハイレベルな英語能力を身につけるためのカリキュラム元年。すぐ結果は出ませんが、いつも以上に注視する必要があるのではないでしょうか。

参考資料

新学習指導要領について(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2018/07/09/1405957_003.pdf)(文部科学省)

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