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食べ放題なのにビュッフェレストランが儲かるのはなぜか

LIMO / 2021年4月4日 18時35分

食べ放題なのにビュッフェレストランが儲かるのはなぜか

食べ放題なのにビュッフェレストランが儲かるのはなぜか

ビュッフェのレストランが儲かる理由は、変動費が小さいこと、シェフが効率的に働けること、など多数あると筆者(塚崎公義)は考えています。

ビュッフェというのは食べ放題の店で、あらかじめ大量に作って並べられている料理の中から客が好きなものを好きなだけ取って食べる、というものです。店としては少食の客に来てほしいでしょうが、実際に来るのは大食いの客が多いはずです。それでも儲かっているのはなぜなのでしょうか。

普通の店、普通の食べ放題の店、ビュッフェ店の違いについて考えてみましょう。

客が大量に食べても店のコストは少し増えるだけ

初めに、普通の店の利益について考えてみましょう。客が1人も来なくても、店を借りる費用等々は必要なので、その分だけ赤字になります。その時の赤字額を「固定費」と呼びます。

レストランとしては、料金を材料費よりも高く設定し、その差額で固定費を回収しようと考えているわけです。たとえば1500円の定食の材料費が500円だとすれば、1000円は赤字の補填に使えるわけです。

客の数が増えると赤字が減っていき、いつかは赤字が消えて黒字になります。その時の客の人数のことを「損益分岐点」と言います。それ以降は客が増えるたびに1000円ずつ利益が増えていくというわけですね。

さて、食べ放題のレストランでは、入場料が3000円で、客は1500円の定食を3人前食べるとします。客としては3人前の料理が2人前の料金で食べられるわけですからハッピーです。

ところが店としてもハッピーなのです。客が3人前食べても材料費は500円×3で1500円しかかからないので、1500円も利益が稼げるからです。6人分食べる客がくれば別ですが、そうでなければ、大食いの客でも大歓迎だ、というわけですね。

食べ放題の店は人気がありますから、多くの客が来ます。客が増えれば利益が増えるわけですから、店にとってこれほどありがたいことはありません。店としては、席が空いていても客が来ていても払うべき家賃等の固定費は変わらないのですから。

こうして考えると、食べ放題の店は客とのウィン-ウィンの関係にあると言えるでしょう。

ビュッフェ店にはさらなるメリットが

ビュッフェ店というのは、食べ放題の店の一種類で、店に入ると大量の料理が置いてあって、自分で好きなものを取って食べる方式の店です(海外では異なる場合もあるようですが)。

すぐに思いつくメリットは、注文を受けて作って皿に盛り付けて客席に運ぶ、という手間が不要なことです。その手間を客が自分でやってくれるわけですし、しかも客はそれを面倒だというよりも好きなものが選べるということで前向きに捉える場合も多いでしょう。新人が注文を聞き間違えることもないでしょう。

客が店に入ってすぐに食べ始めるというのも、メリットです。客としては注文した品が出てくるまで待たされることがありませんし、店としては客がすぐに食べ始めれば食べ終えて次の客を迎え入れるまでの時間が短くなりますから。

しかし実際には、何を作るかを店が決める、というのも大きなメリットなのです。

1回に数十人分の料理が作れる

普通の店では、注文を聞いてからシェフが料理しますが、ビュッフェ店では店が先に数十人分の料理を作って客を待ちます。これが大きいのです。

料理は数十人分作るとしても1人分作る時の数十倍の手間がかかるわけではありません。したがって、ビュッフェ店のシェフは効率的に働けるわけです。労働生産性が高いわけです。

そのうえに、ビュッフェ店のシェフは1日中忙しく働けるというメリットもあります。朝から数十人分のランチを作るわけですから。

一方で、普通の店のシェフは注文を受けてからが勝負なので、本当に忙しいのはランチタイムだけかもしれません。それなら、いっそうビュッフェ店のシェフの労働生産性が高いということになりますね。

材料の仕入れにもメリットがあります。普通のレストランでは、客が何を注文するかわからないので、メニューにある品を作るために必要な材料を全て仕入れる必要があります。結果として、その一部は廃棄されてしまうでしょう。

しかし、ビュッフェ店では作るものを自分で決めるので、仕入れに無駄がありません。作ると決めて、それを作るのに必要な材料だけを仕入れれば良いのです。加えて、もしかすると、少ない種類の材料を大量に仕入れるので、値引き交渉ができるかもしれませんね。

ビュッフェ店の客は元をとることを考えないこと!

ビュッフェ店の話をしたついでに、我々が客としてビュッフェ店へ行く時の心得についても触れておきましょう。最も大事なことは「元をとろうとしないこと」です。

定食2人前を食べ切る前に満腹になってしまった場合、元をとろうとして無理して食べる人は多いですよね。2人分食べた後も「せっかく来たのだから思い切り食べなくては」という強迫観念から満腹になっても食べ続ける人もいるでしょう(笑)。

さらには、料理が口に合わなくても「定食2人分は食べなくては」と無理して食べる人もいるかもしれませんね。

しかし、無理して食べても払った3000円は戻って来ません。そうであれば、払った入場料のことは忘れて「今から一番自分が幸せになれる選択肢」を考えましょう。

無理して食べ続けて苦しい思いをすることですか? 違いますね。口に合わない高級料理を食べるよりは自宅に戻ってお茶漬けを食べた方が良いかもしれませんよ。

こうした場合、払ってしまった金のことを「サンクコスト」と呼びます。サンキューのサンクではなく、沈んでしまった、という意味の英単語です。

「サンクコストのことは忘れて、今からの自分が一番幸せになれる選択肢を考えよう」というのは重要なことですので、拙稿『経営者や投資家が「損切り」できず、損を重ねる本当の理由(https://limo.media/articles/-/21726)』を併せてご参照いただければ幸いです。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事リスト(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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