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コロナ禍で始まる「1億総リストラ時代」のサバイバル術を考える

LIMO / 2021年4月8日 11時35分

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コロナ禍で始まる「1億総リストラ時代」のサバイバル術を考える

新型コロナ禍をキッカケとして、日本社会の“働き方"にも大激震の予感がする今日この頃です。「なにかヤバイ感じがするなぁ」と思っている方も結構、多いのではないでしょうか。かくいう自分も、そのなかの一人です。

今回は大激震の予兆の背景や、そこでのサバイバル術について考えていきます。初めに書いておくと、どうなっていくかは正直、サッパリ分かりません、というのが本音です。しかし、考えるヒントくらいになればと、そんな思いで書いていきます。

増加し続ける希望退職者募集

まず、上場企業の希望退職者募集を見てみましょう。昨年(2020年)に希望退職者募集の計画を発表した上場企業は約100社と言われており、前年比の2.6倍に急増しています。今年に入ってもJT、日本金銭機械、コンビニのポプラ、ライトオン他、約40社が既に希望退職者募集を発表しています。

新型コロナ禍の影響拡大による窮状は、外食やアパレル、観光関連にとどまらず、製造業を含む産業界全般に及んでいるのが特徴です。そしてイヤな予感がするもうひとつの理由は、業績が不振を極めたという企業だけではないということです。

つまり、ビジネス構造を変革するための希望退職者募集が始まっている。これは「かなりヤバイかも」と感じてしまいますよね。

電通の正社員から業務委託への移行

日本の産業構造と一口で言っても、とてつもなく広いものです。そういう意味では、やはり自分の働く業界のことが気になります。筆者は主に広告業界の仕事が生業のため、昨年秋に発表された、「電通、社員230人を個人事業主に。新規事業創出ねらう」のニュースは、やはり、ちょっと衝撃的でした。

この新しい制度の適用者は、営業や制作、間接部門など全職種で40代以上の社員約2800人が対象です。適用者は早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結びます。

電通では副業は禁止ですが、競合他社との業務は禁止という条件で兼業や起業が可能になります。電通時代の給与を基にした固定報酬のほか、新しい業務で発生した利益に応じてインセンティブも支払われるそうです。

さきほど、「ちょっと衝撃的でした」と書いたのは、どこかで“やっぱりな"という感がしたからです。

だいぶ前から、大手代理店では新規会社設立や、分社化が活発に行われていました。たとえば「Webマーケティングに特化した新会社設立」などです。ただ、これも「要は本社の給与体系はもう維持できないから」という噂が、業界末端にいてもガンガン漏れ聞こえてきました。

本当のところは、電通の言う「新しい働き方を求める社員の声に応じて制度導入を決めた」「他社での仕事を通じて得られたアイデアなどを新規事業の創出に生かしてもらう」ということなのかもしれませんが。

進むジョブ型雇用。変化の本質はどこに

もうひとつの大きな流れがジョブ型雇用の導入です。日立製作所、資生堂、富士通、KDDIなどの日本企業がジョブ型雇用への移行を加速させています。ちなみに経団連が「もう終身雇用はムリだ」と発言したのが2014年。多分、もうこの流れは止まらないのではと思います。

大きな話として、ギモンに思えてくるのは「小泉構造改革以降の行き過ぎた新自由主義が日本をダメにした」という言説です。

実はコレが間違っているのではないか。実は「行き過ぎ」なのではなくて「全然、足りないのでは・・・」ということです。つまり、グローバリゼーションの進行や雇用の流動化は善悪を超えた「与件」なのではないのか。カンタンに言えば、全世界で起こっている事象ですから。

本来、「新自由主義が日本をダメにした」と発言する人たちの歴史観は「下部構造(経済)が上部構造(政治・社会等)を規定する」というモノのはずです。だとするならば、与件は与件としては認め、そのうえで未来のカタチを模索するべきという気がします。

たとえば「競争社会」であるのと同時に「機会の公平性・平等が担保された社会」の実現。これもムズカシイ話ではなく、多くの国で進む社会のカタチです。うがった見方をすれば、ある意味「教育の無償化」も“結果としての公平性"を保証できない社会にとっては、社会的な正統性(レジティマシー)を担保する必要装置と解釈することも可能な気もします。

1億総活躍社会は1億総リストラから始まる!?

最近は、ビジネス系メディアでも「1億総リストラ」という特集をやっているところもあります。そんな時代のビジネスパーソンのサバイバル術を考えてみます。

よく言われる標準的な意見は、自分の優位性が「自社固有の部分に準拠しているのか」「もっと広く汎用性のある部分に準拠しているのか」を見極め、前者の場合は軽々しく転職はしない、といったところでしょうか。

ただ、こんなお気楽な回答が通用するのも、あと数年でしょう。結局のところ、ジョブ型雇用の目指す世界は「自社固有の部分に準拠している優位性」を否定していく方向ですから。

もっと、極端な例を考えてみます。たとえば「何十年も山に通っていた腕利きのイノシシ撃ちだった」「しかし、ある日、山にイノシシがいなくなった」。さて、どうすれば良いか。

一番カンタンな方法は、イノシシのいる他の山を探して猟師を続ける。それが不可能ならば、自然への知識を活かして、エコツーリズムのガイドになる。狭義の職業(たとえば猟師)という枠組みを超えて、自分の優位性を検証する。それくらいのことしか思いつきません。

どうも前総理の提唱した「1億総活躍社会」は「1億総リストラ」の延長線上にあるのかもしれませんね。これを「与件」として考えるべきなのか。ただ個人的には前総理の考えに与する者ではありません。前総理の考え方は前述の「機会の公平性・平等の担保」や多様性に関して、どの程度、本気なのかがよく分かりませんから。

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