「マイホーム購入で失敗する人」の特徴7選。不動産投資のプロの見方
LIMO / 2021年4月24日 20時5分
「マイホーム購入で失敗する人」の特徴7選。不動産投資のプロの見方
私は普段、「不動産投資」を軸とした資産形成について情報発信をしているのですが、先日、「マイホームは欲しいけれど、住宅ローンを抱えるのは不安で・・・」というご相談をいただきました。
最近、「新型コロナウイルスの影響でローンが返済できなくなるケースが相次いでいる」といった話題をよく耳にしますので、同じようにお考えの方は多いのではないでしょうか。
私自身は生粋の「賃貸派」であり、損得で言えばマイホームは買わない方が断然得だと思っています。しかし、どうしてもマイホームが欲しい!という方の気持ちもよく分かります。
そこで今回は、「マイホーム購入で失敗する人の特徴」について考えてみたいと思います。
この記事をお読みいただければ、あなたがマイホームを購入する際に何に注意すれば良いか分かるようになりますし、これらの特徴さえ避ければ、本当に納得のいくマイホームを手に入れることができるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
マイホームで失敗その1:郊外に購入、途端に債務超過
まずは、郊外に購入して買った途端に債務超過になってしまうパターンです。
都心だと家が狭くなってしまって値段も高いので、広さを求めて郊外に買った結果、大きな債務超過に陥ってしまうケースがこれです。
たとえば、都心5区(港・中央・千代田・新宿・渋谷)で5,000万円の物件というと、50平米以下の狭いものしかありませんが、都心から電車で1時間の千葉ニュータウンあたりまで行くと、同じ5,000万円でも2倍の広さになったりします。
しかし、家は買った途端に値が下がります。
どういうことかと言うと、新築は買った途端にデベロッパーの利益が確定するので、その利益の分が値下がりしてしまうのです。
高度成長期はこの目減り分を地価の上昇で補っていましたが、土地神話が崩れてしまった今、都心以外の物件は、ほとんどが買った途端に値が下がります。
分かりやすく言うと、新車を買ってすぐに中古で売ろうとすると、たとえ1キロも走っていなくても値が下がるのと同じ原理です。
これは、もしその家を全額ローンで買っている場合、すぐに債務超過の状態に陥ってしまうことを意味します。
もしあなたが家を買って絶対に損をしたくないのであれば、できるだけ都心に買うべきだと思います。
このように、マイホーム購入も「不動産投資」と考えて、どこに買うのがより資産価値が高いのか?という観点から選ぶ必要があるのです。
マイホームで失敗失敗その2:住まなくなった時のことを考えていない
人生には変化がつきものです。たとえば、家を買った後に転勤になってしまった・・・というのはよくある話です。
「転勤になったら家を貸せばいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、そもそもマイホームは賃貸することを考えて作られていないため、貸したとしても利回りは大きくありません。
ローンなど全ての経費を家賃で賄えることは稀で、ほとんどがマイナスのキャッシュフローになってしまうでしょう。
また、子供が大きくなって手狭になったとしても、「その1」で述べた理由で債務超過の状態であれば、売ってもローンが残ってしまうので、買い替えも容易ではありません。
さらに、将来子どもが成人して家を出た後に、それまで使っていた部屋が空き部屋になってしまうのも非常にもったいないことだと思います。
マイホームで失敗失敗その3:購入後に離婚
厚生労働省の人口動態調査(2019年)によると、男性が離婚する年齢は40歳前後が多くなっています。つまり、ちょうど持ち家を購入した後に離婚というケースも少なくないでしょう。
離婚したときに問題になるのが、その家に誰が住むのか? 誰がローンを払うのか?ということです。
財産分与が必要なときは家を売却して分けることがありますが、オーバーローンになっている場合、ローンが残ってしまって売るに売れませんから、誰かが住み続けてローンを払い続けなければいけません。
もし夫が住み続けて、ローンの支払いに加えて子供の養育費がかかってくるとなれば、経済的にかなり苦しくなってしまうでしょう。
このように、最悪離婚してしまった場合には、マイホームが人生の大きな足かせになってしまうことがあるのです。
マイホームで失敗失敗その4:ローンを満額借りてしまう
たとえば、年収500万円の人が住宅ローンを目一杯借りたらどうなってしまうか? シミュレーションしてみましょう。
住宅ローンの借入限度額というのは、基本的に年収に占める返済負担率によって決まってきます。
たとえばフラット35の基準では、年収500万円の返済負担率は以下の図のように35%以下です。よって、500万円×35%=年175万円、月にすると14万5,000円のローンが限度ということになります(「フラット35の住宅ローンの返済負担率」の図表参照)。
ちなみに、民間銀行の返済負担率は下図のようになっていて、低年収の人はフラット35の基準よりも厳し目になっています(「民間銀行の住宅ローンの返済負担率」の図表参照)。
次に、毎月の返済額14万5,000円から逆算してどれだけの額を借りられるのか、「みかローン(http://loan.mikage.to/)」さんのサイトを使って計算してみましょう。
フラット35の固定金利1.3%で35年返済とすると、最大の借入可能額は約4,890万円になります。
また、利息は35年間で約1,200万円、合計の返済額は約6,090万円になります。
次に、年収500万円の人が本当に35年間で約6,000万円を返していけるのか、見ていきましょう。
国税庁によると、年収500万円の方の税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は、約380万円です。この可処分所得380万円から住宅ローンの返済、年間175万円を差し引くと、残りは205万円になります。
実際は13年間の住宅ローン控除があり、ざっくり言って年約50万円の税額控除がありますので、生活費として使えるお金はこの50万円を足した年255万円、月にすると約21万円になります。
総務省の「家計調査報告-二人以上の世帯」によると、2020年平均の消費支出は住居費を除くと約26万円ですから、これだと差し引き毎月5万円の赤字になってしまいますね。
もっとも、これは全国の平均値ですし、年収によってバラつきがあるかもしれませんが、削れるのは食費や娯楽費くらいしかありません。仮にケチケチ節約しても収支はトントンですし、貯金は一切できませんから、生活はかなり厳しいでしょう。
もし子どもが1人増えたり、会社をリストラされでもしたら、あっという間にローンが返せなくなって、破綻ということになりかねないのです。
このように、フラット35や民間銀行の返済基準でローンを目一杯借りて家を買う人は、常に綱渡り状態の生活になってしまいます。
一生に一度の買い物だからと、「私もパートに出れば何とかなるでしょ」などと言って、融資限度額まで目一杯ローンを借りてしまうと、後々後悔することになるかもしれません。
住宅ローンについては、YouTube「ウラケン不動産」の「【513】年収500万、住宅ローンを目一杯借りてマイホームを買うとその後どうなるのか?(https://youtu.be/Uz_6l9ZKZo4)」でも詳しく解説しましたが、返済比率は多くても可処分所得の25%までにするのが基本です。
金利については、住宅金融支援機構のフラット35の固定金利で借りるか、民間銀行で0%台の変動金利で借りるかの二択になるでしょう。
年収500万円の人が可処分所得の25%で買える家は、35年返済で約2,700万円になります。フラット35の返済負担率による借入可能額が4,890万円でしたから、差し引き2,190万円も余裕が出てくることになります。
より良い暮らしのために家を買ったのに、逆に生活が苦しくなる・・・という本末転倒な家の買い方をしないためにも、身の丈にあった家の買い方をすべきだと思います。
マイホームで失敗その5:ペアローンで借りた後に環境が激変
「ペアローン」とは、1つの物件に対して夫婦それぞれが住宅ローンを組んで、1人で借りられる額の2倍ほどの融資を可能にする、魅力的な融資方法です。
たとえば、5,000万円の物件を買いたいというときに、夫の年収だけだと3,000万円までしか借りられないところを、奥さんの年収枠を使って2,000万円のローンを組んで、合計5,000万円の融資を引っ張るという方法です。
しかし、ペアローンには非常に大きなリスクがあります。
その1つはどちらか一方の収入が途絶えれば、返済できずに破綻してしまうということです。もう1つは、先ほど言ったように離婚するリスクがあるということです。
どちらかの収入が減ったり、リストラされたりすれば途端にローンが返せなくなりますし、離婚した場合もマイホームが大きな足かせになってしまうでしょう。
そのため、基本的にペアローンでのマイホーム購入はおすすめできません。
マイホームで失敗その6:近所付き合いがうまくいかない
せっかくマイホームを購入したのに、近隣にクレーマーがいてトラブルになったり、意地悪をされたりということもあります。
同世代の家族が多いエリアだと、ママ友ができなかったり、仲間外れにされたり・・・といったこともあるでしょうし、町会の集まりが多くて面倒くさいといったこともあるでしょう。
マイホームを購入した場合、ご近所さんとはずっと付き合っていかなければいけませんので、トラブルになれば、かなりのストレスを抱えることになりますし、下手をすると精神を病んでしまうケースもあるでしょう。
それでも賃貸のように簡単に引っ越すということはできませんので、マイホームを買う場合にはできるだけ人付き合いのことも考えて、十分に近隣を調べてから買った方がいいでしょう。
マイホームで失敗その7:騒音が気になる
マンションの場合、上下左右の騒音や足音、お隣さんのお風呂のタイマー音などが聞こえるケースが結構あります。周波数によって、聞こえやすい音とそうでない音がありますが、一度気になりだすととことん気になってしまうものです。
仮に戸建てであっても、騒音の問題が起こる場合はあります。また、立地が良いからといって幹線道路に面した土地に家を建ててしまうと、車の騒音が気になったり、トラックが通ると家そのものが揺れてしまったりすることもあります。
以前、私は分譲戸建てを1年間借りたことがあるのですが、目の前の道路をトラックが通ると必ず家が上下に揺れました。昼間に仕事をしているときはもちろん、夜寝ている時も揺れますので、地震なのかトラックなのか判断ができないことがよくありました。
私の場合は、賃貸で一時的に借りているものですし、立派な分譲戸建てを安く借りられてむしろ喜んでいましたが、転勤で留守にしている家主さんは本当に気の毒だと思ったものです。
家を買う際は、必ず周辺の騒音をチェックすべきですし、交通量の多い所には買わないほうが無難でしょう。
おわりに:賃貸併用住宅とは
さて、いかがでしたか? マイホーム購入は一生に一度の大きな買い物です。家を買うのも「不動産投資」ですから、しっかり勉強してから買うに越したことはありません。
もし、あなたが「不動産投資」と「マイホーム購入」のハイブリットな家の買い方に興味があれば、「賃貸併用住宅」という家の買い方もあります。
これは簡単に言うと、2世帯住宅を建てて、半分は自分が住んで、もう半分を賃貸に出し、ローンは入居者さんに支払ってもらう、という0円でマイホームを手に入れられる方法です。
「賃貸併用住宅」については、YouTubeウラケン不動産の「【430】憧れの一戸建てをタダで手に入れる!お金が貯まる家の買い方!(https://www.youtube.com/watch?v=oxiR4cxUyj4)」の中で解説していますので、ここでは省略しますが、「家を買うのも不動産投資」ということは、ぜひ覚えておいていただければと思います。
参考資料
人口動態調査・離婚数(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411865)(総務省)
家計調査報告・二人以上の世帯、2020年平均(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr-y.pdf#page=15)(総務省)
外部リンク
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