悪化する英中関係。日本企業が注視すべき海外企業の動向
LIMO / 2021年5月14日 18時35分
悪化する英中関係。日本企業が注視すべき海外企業の動向
中国との対立関係といえば米国にほぼ焦点が集まるが、最近は英国との関係もかなり冷え込んでいる。
今月上旬、英国では先進7カ国にインドやオーストラリア、韓国などが加わった拡大外相会合が開催されたが、そこでは中国とロシアが最大の脅威と位置付けられた。
英国は6月に主催するサミットでも、インドやオーストラリア、韓国を招待することを明らかにしており、中国の英国への不信感も高まっている。
ウイグル問題で中国への批判が高まるなか、英国は米国やカナダと一斉に中国に制裁を発動。
H&Mやナイキなどの欧米企業がウイグル産の綿花を使用しないと明らかにしたことで、中国国内では不買運動を呼び掛ける声がSNS上で拡散するなど一時大きな騒ぎとなった。
また、EUから離脱した英国は新たな経済パートナーとしてインド太平洋地域を重視している。
それはトラス国際貿易相が今年1月、日本やオーストラリア、シンガポールなど11カ国が加盟する環太平洋連携協定(TPP)に正式に加盟する姿勢を示したことからも明らかだ。
このように、英国と中国との関係は悪化傾向にある。今回のウイグル問題による不買運動のように、両国間で新たな政治的摩擦が生じると、中国に展開する英国企業の経済活動にも何かしらの影響が出てくる可能性がある。
日系企業にとっても対岸の火事ではない
3月にジェトロ(日本貿易振興機構)が発表した分析レポートを見てみよう。
それによると、中国に展開する英国企業で構成される中国英国商会が昨年秋に実施したアンケートの結果(256社が回答)、「来年(2021年)中国での業務への投資を増加あるいは減少させるか」の問いに、44%が増加させる、37%が変わらない、7%が減少させると回答した。
アンケートが実施された時期は、正にコロナ禍で両国関係が冷え込む最中だったが、それでも多くの企業はそのリスクを深刻には捉えていなかったようだ。
しかし、前年と比べ、増加させると回答した企業は16%減少し(前年は6割を占めた)、変化なしと回答した企業は11%増加、減少させると答えた企業は3%増加している。
この統計結果からは、現在のところ大きな影響は出ていないが、今後の両国関係の先行きを懸念する企業が少なからず増えていることが想像できる。
また、最近の英中関係、そして英国のインド太平洋戦略やバイデン政権との協力などを総合的に勘案すると、中国に展開する英国企業の意欲が鈍ってくる可能性も十分に考えられる。
一方、これは日系企業にとっても対岸の火事ではない。
中国との関係は各国によって違うし、各企業によっても中国市場の重要性は異なる。しかし、米中対立によって日中経済関係にも不安の声が行き交うなか、中国に展開する外国企業の動向を追うことは客観的な意味でも重要であろう。
参考資料
中国における欧米各国商会のアンケート結果(https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/30451b5b99bdd224.html)(JETRO/日本貿易振興機構)
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