「会社員」が子どもの将来の夢で急浮上。調査に見る30年の変化
LIMO / 2021年5月16日 18時35分
「会社員」が子どもの将来の夢で急浮上。調査に見る30年の変化
新型コロナウイルスの感染拡大により、この1年で日常生活のあり方が急速に変わっていきました。コロナ禍は世代に関係なく大きな影響を与えていますが、特に昨春、3カ月に及ぶ臨時休校措置があった小学生から高校生は、「思うように外遊びができない」「給食を食べる時は私語厳禁」「部活動が縮小」など、制限されることが格段に増えました。
社会の変容期に直面する子どもたちは、自分の将来についてどう考えるようになってきたのでしょうか。第一生命保険株式会社が1989年以降、毎年行っている「第一生命『大人になったらなりたいもの』アンケート」の結果をみると、コロナ禍の影響が少なからず出ているようです。
時代を反映する「将来の夢」
子どもの将来の夢は、時代の流行を反映します。男の子にはその傾向が強く、1989年の第1回から1992年まで1位だった野球選手は、Jリーグ開始の1993年に首位を明け渡しています。しかし、その後は大リーグで大活躍をする野茂英雄選手やイチロー選手の影響で野球選手が首位に返り咲いています。
2002年の男の子の1位は科学者や博士になりましたが、これは同年に日本人ノーベル賞受賞者が2人も出て(物理学賞の小柴昌俊氏、化学賞の田中耕一氏)、日本中がお祝いムードに包まれたことが影響したといえます。
このように、男の子の「大人になったらなりたいもの」はその年の話題の中心になる職種が上位にランクインすることが多い一方で、女の子は「食べ物屋さん」「看護師」「保育園(現在は保育士)・幼稚園の先生」が上位を占めることがほとんどです。
ただし、全く流行に左右されないわけでもありません。モーニング娘。やAKB48が人気を集めた1990年代後半から2010年頃は「歌手・タレント」がトップ5に入る年も多く、世間を賑わす女性アイドルの登場で華やかな芸能界に憧れる女の子は一定数いるようです。
このように、男の子はスポーツ選手が上位にランクインしやすく、女の子は長年同じ職種が上位を占めることが多いのですが、2020年は過去とは異なる結果が出ています。
「会社員」が小学校3〜6年生男児の1位に
これまで約30年にわたり保育園・幼稚園および小学1~6年生という幼児、児童を対象にしてきた第一生命株式会社の「大人になったらなりたいもの」ですが、第32回となった昨年はコロナ禍によりアンケート方式をインターネットに変更。
対象も小学3年生から6年生、中学生、高校生とし(全国の小学生・中学生・高校生計3,000人)、「小学生」と「中学生」「高校生」の3部門構成になりました。
幼児や低学年が除かれたこともありますが、小学生男児の1位になったのは「会社員」でした。会社員が1位になるのは初めてのことであると同時に、女児でも4位にランクイン。子どもにとって漠然としたイメージのある会社員ですが、親の在宅ワークを身近に見て、働き方をリアルに感じ取ったのかもしれません。
また、男児の2位になった「YouTuber・動画投稿者」、4位の「ゲーム制作」のように、子どもに人気のある分野はもちろんのこと、「ITエンジニア・プログラマー」(10位)のような専門職もトップ10にランクインしていることが目を引きます。
一方、女児では10年近く毎年ランクインしていた「デザイナー」が2020年では姿を消しました。外出が激減したりショッピングセンター等に出かけて洋服選びをする機会が減ったことも影響していると考えられます。
個人的にも今の小学生はとても現実的であると感じた瞬間がありました。筆者の子どもが今年の春、小学校を卒業したので、卒業文集の定番である将来の夢の欄をみると、芸能界やスポーツ選手への夢を書く子もいましたが、「消防士」「看護師」「建築士」「プログラマー」のような専門職や「会社員」「公務員」という職種が目立ちました。
旅行関係や国際系の職種を記入している子は皆無に近く、コロナ禍で直撃を受けた分野を小学6年生も感じ取っているのでは、と考えさせられました。
現実的だけれども夢は大きく
新型コロナウイルスの感染拡大による様々な変化は、大人だけではなく子どもの世界にまで及んでいます。「第一生命『大人になったらなりたいもの』アンケート」をみると、今年から加わった中学生や高校生の結果はさらに現実的です。
中学生女子・高校生女子のトップ3は両方とも「会社員」「公務員」「看護師」の順でした。男子は「会社員」「ITエンジニア・プログラマー」「公務員」が上位を占めており、安定した手堅い職種への憧れが強まっていることが浮き彫りとなっています。
とはいえ、中学生や高校生のランクの中にも、男子ではサッカー選手や野球選手、女子はパティシエなど小学生と変わらない人気の職種も入っています。
コロナ禍では、子どもたちも世の中の厳しい現実を見聞きする機会が増え、自分の未来に不安を感じることも多かったことでしょう。こうした混沌とした中では、安定志向に傾くことは自然な流れであり、単に「今の子どもは夢をみない」と言い切ってはいけないのかもしれません。
参考資料
第32回 第一生命「大人になったらなりたいもの」(https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_102.pdf)
第31回 第一生命「大人になったらなりたいもの」(1989〜2019の結果を含む)(https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_010.pdf)
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