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医療保険「いざという時、保障切れ」で泣かないために

LIMO / 2021年5月24日 6時15分

医療保険「いざという時、保障切れ」で泣かないために

医療保険「いざという時、保障切れ」で泣かないために

~人生100年時代の、保険の選び方~

再三の緊急事態宣言が発出されるこんにち。医療現場の逼迫した様子が、連日のように報道されています。

感染症に限らず、病は突然、私たちの身に降りかかるものです。

コロナ禍を通じて、私たちの健康管理に対する意識は確実に変わりました。民間の医療保険に加入を検討されていらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

さて、いざという時に安心だからという理由で医療保険に入っていたのに、その時になって保険が切れていたら元も子もありません。保険はリスクに備えるものなので、働き盛りの時期と老後では必要な保障の額も違います。

人生100年時代の、ライフステージによって変化するリスクに応じた保険の選び方をお伝えします。

入院するリスクが高まるのは80代以降

病気やケガで入院・手術をした時の備えとして医療保険に加入しますが、入院するリスクが高くなる年齢を厚生労働省の患者調査から見てみましょう。「【グラフ】年齢別入院した患者数」をご覧ください。

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年齢が高くなるにつれて、患者数は増えていきますが、特に80代から急激に増えています。一番病気などをする年齢に差しかかって、保険が切れてしまったら、何のための備えだったのかわからなくなってしまいます。

医療保険の保険期間には、期間に区切りがある「定期型」と保障が一生涯続く「終身型」があります。定期型は10年、20年と更新していく更新タイプと70歳、80歳までと期間を決める満了タイプがあります。

定期型の保険料は終身型よりも安い場合がほとんどですが、保険期間が切れるというリスクがあります。

保険期間と払込期間

よく混同されがちなのが、保険期間と払込期間です。保険期間とは、保障が受けられる期間のことで、終身保険であれば一生涯保障が続きます。

一方、払込期間とは、契約者が保険料を払い続ける期間です。一生涯払い続ける終身払いと10年、20年あるいは50歳、60歳までと払い込む期間を設定する短期払いがあります。終身払いの方が長い期間保険料を支払うため、月々の保険料は安くなります。

ただし、保険料を老後もずっと払い続けるのが不安に思う人は、多少保険料は上がっても、払込期間を60歳満了などの短期払いにして、保険期間を終身にすると安心でしょう。

老後に「医療保険」は必要か

さて、ここまで医療保険の保険期間について見てきましたが、そもそも老後に民間の医療保険は必要なのかという根本的な問題について考えてみましょう。

日本には公的医療保険制度があるため、医療費の自己負担は70歳未満は3割、70歳から75歳未満は所得に応じて2割または3割、75歳以上は所得に応じて1割または3割となります。「【表】公的医療保険制度・医療費の自己負担割合」をごらんください。

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さらに、自己負担額が高額になった場合に、所得に応じた上限が設けられ、超えた部分は高額療養費として払い戻される制度があります。70歳以上の場合、年収156万~約370万円の一般区分では、ひと月の上限額は5万7600円であり、これ以上の負担はありません。

そのように考えると医療保険に加入せずとも、ある程度の貯蓄があれば問題がないように思えます。ただし、高額療養費の対象となるのは保険が適用される診察、治療、薬代などです。保険適用外の治療や入院時の食事代、差額ベッド代は含みません。

また、先進医療は保険適用外なので、がん治療などで先進医療を受けたいと考えている人は高額になることを想定しておかなければなりません。先進医療への保障に特化した医療保険への加入を検討するのもよいでしょう。

この辺りは医療費がどのくらいかかるのか、貯蓄がどのくらいあるのかによります。

リスクに応じた保険選び

保険の目的はリスクに備えることです。

医療保険の場合は、病気やケガで入院した時の医療保障に目が行きますが、それによって収入が減少することもリスクとなります。実はここが非常に重要で、住宅ローンを返済しながら、家族を養っている場合には、保障を大きくすることが望ましいでしょう。

逆に考えれば、子どもが独立し、住宅ローンも完済している夫婦二人の年金生活であれば、大きな保障はいらないわけです。ライフステージの中で支出が多く、余裕のない時期には、万が一に備えて医療保険でしっかりカバ-する、という発想ですね。

一方、支出が減り、貯蓄ができるようになったら、医療保険を解約または最低限の保障にして無駄な保険料を節約します。このようにライフステージによって保険のかけ方にメリハリをつけることが大事です。

支出が多く、余裕がない時期

住宅ローンの返済期間、子どもが小さい時期、教育費の出費が大きい時期など、これらの要素が重なっている時期は重点的に備えていきたいものです。

*適している保険
定期型の医療保険を検討してみるとよいかもしれません。

保険料を安く、保障を大きくしたい場合は掛け捨て保険に短期間加入するという方法があります。掛け捨ての保険は長期間契約すると、積み立て保険以上に保険料がかかってしまうこともあります。また、定期型の更新タイプの場合、更新時に保険料が上がってしまうので、最初から更新をしないことを前提にした保険期間を決めておく、という手もあります。

支出が減り、貯蓄ができる時期

子どもが独立し、教育費の出費がなくなる時期は貯蓄額が増やせます。またこの頃は住宅ローンも完済しているケースが多いので、不意な出費にも対応できるでしょう。

*適している保険*
出費が減り、貯蓄に回せる時期なので、医療保険の備えがなくても貯蓄で対応できる可能性が高いでしょう。

医療保険は年齢が高くなるほど、病気やケガのリスクが高まるため、加入が難しくなります。また、加入した場合も保険料は高くなります。そのため、高年齢になってから医療保険に加入するのはあまり得策とはいえません。

公的医療保険制度があるので、ある程度貯蓄があれば、医療保険の必要性は低いでしょう。ただ、病気やケガのリスクが高くなるのは間違いないので、多くの出費が見込まれるケースに備えて、がん保険に加入するなど、目的を絞って利用するとよいかもしれません。

人生100年時代の医療保険

最初のグラフで示したとおり、医療保険の給付金が支払われる入院をする年齢は80歳以降で急激に増えます。それまでは医療保険に加入していても、保険料を払い続けているだけで給付を受けられるケースは少ないわけです。一番医療保険が必要な時期に保障が続く終身医療保険であれば、人生100年時代の長い老後も安心できます。

一方で、保険料を終身払いで払い続けるのも大変なことです。保険料の支払いには終身払いと短期払いがあります。終身払いの方が長く払い続けるために保険料は割安ですが、長生きをすると却って短期払いよりも多く払うことになります。

60歳や65歳で払い込みが完了する短期払いで保険期間が終身であれば、ある年齢を境に長生きすればするほど得をします。また、短期払いは現役時代の収入がある時期に保険料を払い終えるので、年金生活になってからの負担がなくなるのもメリットです。

もう一つの考え方としては、医療保険に頼らず、公的医療保険で足りない部分は貯蓄で補うという方法です。保険料を貯蓄に回すと考えれば、確実に増やすことができるでしょう。貯蓄の良さは使い道が自由なことです。

保険の場合は、入院や手術など、保険会社が定めた支払事由でないと給付金は支払われません。医療保険でカバーできるリスクは限られています。しっかりと貯蓄ができる人は医療保険に頼る必要はない、と考えることもできるでしょう。

参考資料

厚生労働省「医療費の自己負担」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html)

厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて(概要)」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000209855.pdf)

厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/index.html)

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