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18歳が感じている教育格差。恵まれている・いないで意識に違い

LIMO / 2021年5月27日 18時35分

18歳が感じている教育格差。恵まれている・いないで意識に違い

18歳が感じている教育格差。恵まれている・いないで意識に違い

家庭の経済力に起因する教育格差拡大への懸念が年々膨らんでいます。

実際、内閣府が2017年3月に発表した「子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書」によると、全国学力・学習状況調査の結果では世帯所得が低いほど国語と算数(数学)の点数が低くなることが指摘されています。

また、親世代だけではなく17歳〜19歳の年齢層でも過半数が「今後教育格差は拡大する」と感じていることが日本財団の「18歳の意識調査」から明らかになりました。ただし、同年代でも教育格差に関する意識の違いが鮮明となっているようです。

家庭の学習環境の違いで感じ方が異なる

日本財団は教育格差をテーマに、全国の17歳から19歳の男女1000人を対象にした調査「第33回 18歳意識調査」を2021年1月に発表。そこでは、シビアに現実を見つめている若者の姿が浮き彫りになっています。

まず、「他の人に比べて学習環境の差を感じたことがあるかどうか」という問いに対しては、「ある」が43.4%、「ない」は56.6%。

学習環境の差を感じると答えた人の理由としては、以下のように家庭の環境に関する回答が上位を占めています。

「集中して勉強できる環境が家庭にない」

「経済的な理由で塾や習い事に行けなかった」

「身近に勉強を教えてくれる人がいなかった」

また、臨時休校による学習環境の違いが学力格差につながると危惧されているコロナ禍に関連した質問もあります。

「コロナ禍で学習環境の差が広がったと感じるか」に対して、全体では「感じる」が52.9%、「感じない」が47.1%と、意外にも大きな開きは見られませんでした。

しかし、「学習環境の差を感じたことがあるか」に「ある」と回答したグループでは約7割(68.0%)が「コロナ禍で学習環境の差が広がったと感じる」と答えています。

反対に、「学習環境の差を感じたことがあるか」に「ない」と答えたグループでは、コロナ禍によって学習環境の差が広がったと感じているのは約4割(41.3%)で、「ある」と回答したグループとは約27ポイントの差があります。

イマドキの若者が考える教育格差の原因とは

このように、学習環境に差を感じている回答者もいれば、差を感じていない回答者もいます。両者が置かれている環境の違いは、「教育格差の原因」に関する回答にも如実に表れています。

「近年、教育格差が問題視されています。あなた自身も感じますか?」という問いは「感じる」48.9%、「感じない」51.1%とほぼ半々に分かれています。

これを「学習環境の差を感じたことがあるグループ」と「感じたことのないグループ」で分けてみると「学習環境の差を感じたことのあるグループ」では71.4%が「教育格差を感じる」と答えていました。

学習環境に何かしら問題を抱えていると感じている若者は、教育格差が身近なものと捉えているようです。

教育格差の原因についての回答では、全体で最も多かったのが「家庭の経済力」の25.3%。ここでも、「教育格差を感じているグループ」では31.7%、「感じていないグループ」では19.1%と開きがありました。

また、教育格差の原因を「本人の努力」とする割合は、「教育格差を感じているグループ」では9%。一方「感じていないグループ」では15.1%という結果で、格差を感じていないグループでは自己責任だとする回答が多くなっています。

このように、学習環境の違いをリアルに体感しているかどうかで、問題意識がはっきりと分かれているようです。

たしかに、「塾に通いたくても家庭の経済事情を考えると、そう言い出せない」という経験をしている子と、親が積極的に習い事を探して通わせている家庭の子では「教育格差」への距離感が大きく異なるのは当然のことでしょう。

格差への認識のズレが広がっている?

日本財団の調査結果では、同年代の中でも学習環境に恵まれているかどうかで教育格差に対する認識のズレがあることが見て取れます。

今後、教育格差が広がるかどうかについても、両者の未来への考え方は異なっています。特に気がかりなのは「教育格差を是正する必要があるか」との問いに対し、教育格差を感じているグループの71.4%が「必要」と答えていますが、「感じていないグループ」は「必要」が38.6%にとどまっている点です。

昨今の子どもの貧困問題や教育機会に関する議論においては、「自己責任」として片付けられることも見受けられます。格差を感じていないと、どうしても他人事になるのかもしれません。

今回紹介した調査の結果からもその傾向が明確に出ており、今後、認識の違いによる軋轢が増幅していかないか懸念されます。

参考資料

子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書(https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/h28_kaihatsu/3_02_2_2.html)(内閣府)

第33回 18歳意識調査(https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210107-52334.html)(日本財団)

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