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人権か、商売か。ユニクロに見る欧米と日本企業の”間接的”経済摩擦の影響

LIMO / 2021年5月30日 11時35分

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人権か、商売か。ユニクロに見る欧米と日本企業の”間接的”経済摩擦の影響

バイデン政権になって以降、世界の人権問題がメディアで取り上げられる回数は大きく増え、また、人権問題を巡って米国と欧州が協調する姿も目立つようになった。

新疆ウイグルやミャンマー問題で欧米が協調

トランプ政権下で最悪なところまで冷え込んだ米欧関係は、バイデン政権になって劇的に改善し、米国と英国、フランスなどは中国・新疆ウイグル自治区における人権弾圧やミャンマーのクーデターを巡って、中国当局者やミャンマー国軍幹部などに経済制裁を発動している。

最近でも、バイデン政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使は5月半ば、人権侵害が指摘される中国ウイグル問題に言及。

現地で温暖化対策に欠かせない太陽光発電パネルの材料生産が強制労働により行われている恐れがあるとして、同製品を貿易制裁対象に指定するか検討していると明らかにした。

今後、欧米と中国との政治的対立がいっそう深まると、人権問題に由来する経済的影響がさらに拡大する可能性もある。

米国に輸入差し止めされたユニクロ、対照的なキリン・カゴメ

これは日本企業にとっても対岸の火事ではない。実際、いくつか影響が出ている。

たとえば、ファーストリテイリングが展開するユニクロだ。5月上旬に米国の税関が明らかにしたところによると、ユニクロの男性用シャツがウイグル産綿花で製造されているとして、今年1月から米国への輸入が停止されている。

これに対しファーストリテイリングは5月25日、製品の生産過程で強制労働が確認された事実はないとするコメントを発表。同社は「本件で輸入差し止めの対象となったのは、中国以外で生産された綿を中国の工場で縫製した一部の綿製シャツ製品」としている。

また、フランスでは3月、ウイグル人権侵害を巡り、ユニクロのフランス法人など4社が強制労働や人道に対する罪を隠匿している疑いで現地NGOなどから告発される事態があった。

一方、キリンは2月、ミャンマーのクーデターを巡って国軍への非難が高まるなか、国軍系企業との合弁解消を突如発表。カゴメも4月、新疆ウイグル産トマトの輸入を停止することを明らかにした。

日本企業は「経済安全保障」にどう対処するか

現在、ミャンマーの事例でもウイグルの事例でも、日本は欧米と共同歩調を取っているわけではない。

企業人の中にはリスク回避の立場から、このまま日本は静観的な立場を維持するべきだと思う人もいるだろう。当然ながら、日本が欧米的な立場を鮮明にすると、日中経済の間で摩擦が大きくなることが予想される。

しかし、現在、欧米と日系企業の間では間接的だが経済的な摩擦が生じている。ユニクロのケースはその典型的なもので、日本企業と決して対立軸にはないところから経済的な障害が生じている。

この間接的な影響が肥大化する可能性は高くはないが、主要国が経済安全保障を重視していくなか、日本企業は多角的な視点から想定される影響を事前に考える必要があろう。

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