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コロナ禍で「うつ症状」も…見えにくい子どものストレスと心の変化

LIMO / 2021年6月1日 12時35分

コロナ禍で「うつ症状」も…見えにくい子どものストレスと心の変化

コロナ禍で「うつ症状」も…見えにくい子どものストレスと心の変化

新型コロナウイルス感染拡大による臨時休校措置から1年。現在は、第4波に見舞われている地域でなければ、児童生徒はマスク着用や黙食などの制約はあるものの以前のように通学しています。

1年前の混乱がまるで嘘のように、子どもたちは新しい学校生活様式に慣れているようにも思えます。しかし、コロナ禍による子どもの心理状況は、大人が思う以上に悪い方へと揺れ動いているようです。

突如始まった”非日常”の日々に「うつ症状」も

ご存じの通り、昨年初めは未知のウイルスを前に日本国中がパニック状態となり、一時的に食料品や衛生用品の買い占めなども起きました。

子どものいる家庭では、3月から5月末までの臨時休校措置や大学のオンライン授業実施など、それまで想像もしたことがないような出来事への対応で、いっぱいいっぱいだったという方も少なくないでしょう。

大人でさえ対応に苦慮していたのですから、子どもへの影響もあって当然。そんな中、国立成育医療研究センターでは「コロナ×こどもアンケート」を継続的に行っており、第4回目では特に子どもの心の健康や悩みについて詳しく聞いています※。

その結果からは、小学校(4年生以上)・中学生・高校生の16%から30%の子どもに中等度以上のうつ症状がみられるという事実が判明。使用されたのは、思春期のこどもを対象としたうつ症状の重症度尺度である「Patient Health Questionnaire for Adolescents(PHQ-A)日本語版」です。

中学生や高校生ではうつ症状が全くない割合はそれぞれ47%、46%と、共に過半数を割っています。言い換えれば、半数以上が新型コロナウイルスをきっかけに、何かしら心理面でのストレスや変化を感じているのです。

個別の項目では、「気分が落ち込む、ゆううつになる、いらいらする、または絶望的な気持ちになる」や「疲れた感じがする、または気力がない」といった心身の状態があるという回答が多くなっています。

※小学1年生~高校3年生(相当)のこども、および 0歳~高校3年生(相当)のこどもの保護者、合計4,076回答、調査実施は2020年11月17日~2020年12月27日

子どもの悩みへの理解は十分か

昨年度はインターハイや合唱コンクールなど、運動部、文化部関係なく大きな大会が次々と中止となり、これまでの努力を発表する場が失われました。

部活動の制限、修学旅行の中止、そして学校生活でも以前のように大勢で集まって何かをすることも語り合うことも難しくなりました。

「緊急事態だから仕方がない」「大人はもっと大変」という言葉で片づけられても、中学生や高校生は非常事態を素直に消化するだけの人生経験を積んではいるとは言えません。

それと同時に、周囲の目を気にして心の中にため込んだストレスを上手に吐き出すことができないままでいる子も少なくないことは、アンケート結果からも明らかです。

日本でも、スクールカウンセラーや電話窓口などが設置されるようになり、子どもが悩みを吐露する場所は年々増えてきています。しかし、子どもの悩みを軽く考えたり、「自分で解決しなさい」と声をかけてしまう親も少なくはないでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校の影響は、大人が思う以上に深いのかもしれません。軽々しく「まだ子どもだから」の言葉で片づけてしまうのは避けるべきでしょう。無理をし続け、「限界がきてから周囲の大人が気がつく」では遅いこともあります。

見た目は元気でも心の把握は難しい

昨年、筆者の子どもたちは園児と小学生ということもあり、休校措置を長期休みが始まったという感覚で受け止め、初めは喜んでいたものです。

ところが4月下旬頃から、「早く学校始まらないかな」と口にするようになりました。一番驚いたのが、普段は幼稚園にあまり行きたがらなかった末っ子が、5月に入ると「お友だちと会いたい」と言い出したことです。

夏休み明けは大泣きして幼稚園に行きたがらないような子が、思うように外出できず家の中で過ごす時間が極端に増えたことで、園を恋しく思っていることに驚きました。

そして、いざ学校や園生活が再開しても、最初の数カ月は先生も含めピリピリした緊張感に包まれ、子どもたちも大変そうでした。親として「ようやく今の学校スタイルに慣れた」と感じたのは11月や12月頃のこと。

こうして振り返ってみても、親子ともども嵐のように過ぎ去ったな2020年度という印象です。

友だちと一緒に遊ぶことが大好きな子、仲間と一緒に何かをすることが楽しいという子にとって、コロナ禍で急激に変化した日常を受け止めるのは容易ではなかったはずです。

一見すると元気な子でも、何かしらの不安を抱えていることもあるでしょう。しかし、子どもの方から口にしたり、明らかな変化がない限りそれを見抜くのは親でも難しいものがあります。

急激な変化に追いつけない子もいる

激動の2020年が過ぎ、筆者の子どもが通う小学校では昨年の経験を活かしての校外学習などが復活しつつあります。コロナ禍以前とは言えないまでも、少しずつ活気ある雰囲気が戻ってきているのを感じます。

ただし、机を並べて食べる賑やかな給食は過去のものとなっています。住んでいる地域で感染拡大が起きれば、また様々な行事が中止に追い込まれる可能性もあります。

色々と制限がある中で、一見普段通りの学校生活を送ることを強いられている子どもたち。どの子どもにとっても、ストレスを抱え込みやすい環境と言わざるを得ないでしょう。親や周囲の大人が声がけをし、気持ちを吐きだす機会を意図的に作ることも必要ではないでしょうか。

参考資料

コロナ×こどもアンケート 第4回調査報告書(https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/CxC4_finalrepo_20210210.pdf)(国立成育医療研究センター)

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