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日本文化がニュージーランドの必需品になった「ジャンダル」の由来

LIMO / 2021年6月18日 20時5分

日本文化がニュージーランドの必需品になった「ジャンダル」の由来

日本文化がニュージーランドの必需品になった「ジャンダル」の由来

どこの国にも、ほかの国にはない「名物」や、自慢できるものがあります。

日本なら桜や富士山、お米といったところでしょうか。筆者が暮らすニュージーランドに関していえば、メレンゲのお菓子「パブロバ」や、ハチ形をした木製のおもちゃ「バジービー」などが挙げられます。

人々は、「お国自慢」であり、ニュージーランドをニュージーランドとたらしめるこれらのものをひとくくりにして、「キーウィアーナ」と呼んでいます。

そして「キーウィアーナ」の中には、意外にも日本と関係が深いものがあります。ニュージーランド人の暮らしにあって当たり前のようになっているこのアイテム。一体何でしょう。

どんな季節でも、何を着ていても……

日本と関係があり、「キーウィアーナ」の1つとして数えられるアイテムは「ジャンダル」です。日本の「ビーチサンダル」に当たります。「ジャンダル」の名は「ジャパニーズ」と「サンダル」の2語をくっつけた造語です。

日本では言うまでもなく、もっぱら夏、ビーチやプールに行く時に重宝するものですが、ニュージーランドでジャンダルが活躍するのは夏だけではないのです。人々は季節感にあまり左右されません。なので季節を問わず、1年を通して愛用されています。

上半身はダウンジャケットを着ているのに、足元は寒そうなジャンダルだったり、ちょっとかわいいドレスを着ているのに、パンプスではなくジャンダルを履いていたり。これらは決して珍しいことではありません。

筆者の経験をお話ししましょう。数年前の冬、地元の山に雪遊びに出かけた時のことです。

わが子と雪合戦をしている30代ぐらいのお父さんの姿が目に入りました。「この寒いのに、元気だなぁ」と思いながら、ふと足元に目をやると……ジャンダル! 驚きで呆然としてしまいました。

そんな私の心中をよそに、多少寒そうにしつつも笑顔満面で子どもとはしゃぐお父さん。「そんなにジャンダルが好きなの?」とつぶやきつつ、筆者はその場を後にしたのでした。

2つある、ジャンダル起源説

人々がまるで何世代にもわたって愛用しているかのような印象さえあるジャンダルですが、初お目見えしたのは、1940~50年代とそう昔ではありません。わずか80年ほど前のことなのに、来歴ははっきりせず、現在2つの説に分かれています。

国内最大の都市、オークランドのビジネスマン、モリス・ヨックさんが旅先の日本で「草履」を見かけ、帰国後に材質をゴムに代え、自宅のガレージで商品の生産を始めたというのが一説。

そしてもう一説が、北島のタラナキ地方出身のジョン・カウィさんが1940年代後半に同様の商品を香港で生産開始したという説です。

ジョンさんの子孫は、モリスさんは輸入を担当したのみだといいます。モリスさんの子孫も負けてはいません。モリスさんは香港のメーカーから製造法を習い、輸入に関する当時の決めごとに沿い、国内で生産したといいます。

意見が分かれるのはそれだけではありません。「ジャンダル」という名の商品登録をめぐっても、それぞれ言い分があります。

モリスさん側は1957年に登録したする一方、ジョンさんの子孫は具体的な年数は記録に残っていないものの、登録を行ったのはジョンさんだったと言い切っているのです。

ニュージー文化の1つとして

ジャンダルは履物としてだけではなく、文具や家庭用品、ファッションのモチーフにもなっています。

そんなジャンダルグッズをプレゼントすれば、海外に暮らすニュージーランド人に懐かしさを、ニュージーランドにまだ来たことがない知り合いには、この国の文化をもたらしてくれます。

ニュージーランドでは、年齢や性別を問わず、誰もがジャンダルを最低1足は持っているといっても大げさではないほど、人々の愛着ぶりがうかがえます。

そんなジャンダルが日本の草履をモデルに創られたことで、この国に暮らす日本人の筆者は、ちょっぴりくすぐったい思いでいます。

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