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社会保障制度「人生100年時代に対応」 骨太の方針が決定 医療・介護費の自己負担はどうなる?

LIMO / 2021年6月21日 20時0分

社会保障制度「人生100年時代に対応」 骨太の方針が決定 医療・介護費の自己負担はどうなる?

社会保障制度「人生100年時代に対応」 骨太の方針が決定 医療・介護費の自己負担はどうなる?

政府は2021年6月18日、経済財政運と改革の基本方針2021「骨太の方針」を閣議決定しました。人生100年時代に対応した社会保障制度を構築し、世界に冠たる国民皆保険・皆年金の維持、そして持続可能なものとして次世代への継承を目指すことを明記しました。

それでは、骨太の方針に盛り込まれた社会保障関連をめぐっての議論を整理して、解説していきます。

「全世代型」社会保障の取り組みを

財務省によると、2014年時点で日本の総人口は1億2708万人。そのうち65歳以上の方は3300万人です。

65歳以上の方ひとりを20~64歳の方2.2人が支えていることになります。

ところが2022年度以降、団塊の世代が65歳となり基礎年金の受給がはじまることなどから、社会保障の給付金は増大が予測されています。

さらに2025年には、65歳以上の方の人口は3657万人になると試算されています。65歳以上の方ひとりを20~64歳の方1.8人で支えることになると推計されています。

こうした状況を踏まえ、骨太の方針では「全ての世代の方々が安心できる持続可能な全世代型社会保障の実現」に取り組むとしています。

また、保険料については「能力に応じた負担の在り方」なども含め、検討するとしました。
直近では、一定の所得がある後期高齢者の医療費の自己負担を引き上げる法案が成立しています。

75歳以上の医療費 一定の所得は自己負担2割に

2021年6月4日、医療制度改革関連法が参院本会議で可決、成立しました。一定の所得がある75歳以上の医療費の自己負担を1割から2割に引き上げることなどが目玉です。収入に応じて高齢者に負担を求め、現役世代の負担を抑制することを目指しています。

今回の改正で、医療費の自己負担が2割となるのは、下記の2つの条件を満たす場合です。

課税所得28万円以上(所得上位30%)

年収200万円以上(単身世帯)または年収320万円(複数世帯)

対象者数は約370万人で、被保険者の全体(約1815万人)のうち20%にあたります。

制度の運用がはじまるのは2022年10月~2023年3月の間です。

この改正により、医療費については下記のように軽減されると試算されています。

後期高齢者支援金(現役世代の負担軽減)…▲720億円

後期高齢者保険料(高齢者の負担軽減)…▲180億円

公費(税金)…▲980億円

合計…▲1880億円

ここまで医療費について触れてきましたが、次に介護費についても見ていきましょう。

介護費の自己負担も増える可能性

それでは、介護分野についてもみていきます。

財務省の財政制度等審議会(財務省の諮問機関)は2021年5月21日、新型コロナウイルスへの対応や社会保障などの財政健全化をまとめた建議(意見書)を、麻生太郎財務相に提出しています。

建議のなかで、財務省は「利用者負担の更なる見直しやケアマネジメントへの利用者負担の導入など、介護保険給付範囲の見直しを進めることが必要」という内容が盛り込まれました。

介護費用は現在、1割負担の人が約90%となっています。これを"原則2割負担"へ引き上げることを求めました。

そもそも、介護保険制度の財源である保険料を支払うのは、原則40歳以上からです。ところが医療制度と同様、40歳以上の人口が2023年をピークに減少します。特に40~64歳の支え手の割合が減っていくことが見込まれているのです。

一方で、1人あたり給付費の高い75歳以上の高齢者は2030年頃まで増加していきます。

このような状況のもと、介護保険制度を存続させるためには、利用者の負担を引き上げて財源を確保するという方針です。

社会保障の存続には「痛み」がともなう

ここまで、骨太の方針をもとに、特に医療と介護の自己負担について見てきました。加速する少子高齢化の影響で、医療・介護ともに今後は自己負担が増える可能性もありそうです。社会保障制度は、生活に直結するお金の話が多く、今後も議論は進んでいくので、動向をチェックしていきましょう。

参考資料

内閣府「経済財政運営と改革の基本方針 2021日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/2021_basicpolicies_ja.pdf)

首相官邸「令和3年6月18日(金)臨時閣議案件」(https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021061802.html)

財務省「2025年、高齢者1人を現役世代何人で支える?」(https://www.mof.go.jp/zaisei/matome/thinkzaisei11.html)

厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000739687.pdf)

財政制度等審議会「財政健全化に向けた建議(概要)」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20210521/02.pdf)

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