「小4の壁」ってどんな壁? 乗り越えるための子どもとの向き合い方
LIMO / 2021年6月29日 18時35分
「小4の壁」ってどんな壁? 乗り越えるための子どもとの向き合い方
みなさんは「小4の壁」や「10歳(9歳)の壁」という言葉を耳にしたことはありますか? 最近こうしたフレーズを含んだタイトルの本が多数出版されているのは、それだけニーズや関心が高いことの証なのでしょう。
小学4年生になると、学校で学ぶ内容が抽象化していきます。算数や国語も難易度が上がってくるため、「勉強が難しい」「勉強が苦手」と感じる子も徐々に増えてきます。また、少しずつ思春期への階段を上がり始めるのもこの頃からです。
学びの難易度が高くなり始める時期
「壁」と聞くとマイナスなイメージの方が強いですが、子どもが大人へと近づく転換期にあたり、精神面の変化も見られる「大きく成長する年頃」でもあります。
自分と他者との違いに気がつき劣等感を感じる。なにかと小言を言う親への反発…。自我が芽生え、何でも素直に言うことを聞いていた子ども時代から少しずつ脱皮していきます。
親からすると、反抗的な態度になったり言葉数が少なくなってくると気落ちしてしまいますが、子どもの成長を考えれば自然なことです。筆者の子どもたちも、10歳前後には学校でのことを話をする回数が以前より減ってきたり、「うるさいな」という言葉も増えてきました。
こうした変化を「あの頃はかわいかった」と嘆き悲しむのではなく、「これも成長の証」と前向きに捉えるべきでしょう。
しかし、教育業界で「小4の壁」が大きく取り上げられるのも全く意味がないわけではありません。前述のように10歳前後が学力の分岐点になりやすく、その意味では親として意識しておく必要のある言葉です。
小学4年生以上になると小学1年生から3年生で学んだ基礎を土台とし、さらに踏み込んだ単元を学んでいくため、学習習慣の有無によって学力差が出てしまいます。算数を例にすると、図形問題や分数に小数、概(がい)数などパッと見ただけでは解けない単元を習います。
また、小学3年生から学ぶ理科と社会も、4年生になると”勉強的”な要素がより強まります。理科と社会は国語や算数に比べて家庭学習が後手に回ってしまいがちなため、挽回するのに苦労するので注意が必要です。
さらに、新学習指導要領により、教科に関わらず自分の言葉で説明する機会も多くなっています。あらゆる教科で文章を使って上手く説明できるかどうかを見る傾向が強まっているのです。
学力の固定化が始まる
ちょうど10歳前後は、自我が芽生えて自分と他者との違いを意識し始めるようになる年頃です。そのため、不得意なことに対して劣等感を抱きやすくなり、結果として勉強への意欲が湧きにくくなります。
逆に、これまでも家庭学習にしっかり取り組んでいた子は、成績を伸ばし自分の力を学校で発揮することで、さらにやる気が出る好循環が起きます。発表する機会が親世代の頃に比べて増えているため、「勉強している子」の活躍の場が多くなっているからです。
しかし、今まで勉強がおざなりになりがちだった子にとっては、厳しい現実が待ち構えています。ちょっと勉強すれば成績が上がるというわけにはいかなくなり、何もしなければ小学4年生の成績順はそのまま固定されてしまいます。
「小学生の頃は伸び伸びと」と思っていたら、周りから取り残されてしまっていたということもありえます。特に今は地方でも公立の中高一貫校があるので、中学受験をする小学生は通塾をし、大都市圏の子どもと同じようなカリキュラムで学んでいます。
また、通信教材の難易度が高いものを地方でも受講できるようになっています。小学4年生を起点とした学力の固定化は、昔よりも拡大しやすくなっているといえるでしょう。
しかし、親の方が「勉強させなくちゃ!」と、あわててドリルをどっさり買ってきたり、無理やり勉強をさせようとしても、子どもの方は反抗的な態度になったりして膠着状態に陥ることもあります。
小4の壁を意識して子どもに向かい合う
親子の衝突を回避し、子どもが勉強面で劣等感を抱かないようにするためにも、就学前や低学年の頃から家庭学習の習慣を身に着けておくことが望ましいでしょう。小学4年生以降、学習内容が高度になっていっても子どもが自分の力で勉強に対応できるよう、土台作りをしていくことが大切です。
もうすでに子どもが小学4年生を過ぎていても、手遅れというわけではありません。親子で将来のことや勉強の大切さについて話し合える機会を設けてみてはどうでしょうか。子どもが夢に向かって努力することの大切さを理解し、実行に移せば「壁」を乗り越えられるはずです。
ただし、やはり小さい頃から学習習慣が定着していると、小4の壁を突破するハードルは低くなるであろうことに変わりありません。
そして何より、親の適度なサポートは欠かせません。「子どもは学年が上がれば勉強する」「子どもはひとりで成長する」と思わず、子どもに寄り添いながら導いてあげたいですね。
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