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児童手当「在り方の検討などに取り組む」骨太の方針 特例給付廃止で浮いた財源は?

LIMO / 2021年6月26日 12時0分

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児童手当「在り方の検討などに取り組む」骨太の方針 特例給付廃止で浮いた財源は?

政府は2021年6月18日、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」を閣議決定しました。今国会でも議論に上った児童手当については、「児童手当法等改正法附則に基づく児童手当の在り方の検討などに取り組む」と明記しました。

そこで今回は、児童手当について、これまでの議論など改めて整理していきます。

児童手当とは?特例給付って?

年収1200万円以上の高所得世帯への児童手当を廃止する改正児童手当関連法が2021年5月21日、参院本会議で成立しました。

そもそも、児童手当とはどのような制度かを解説していきます。

現行の制度では、中学校卒業までの子ども1人について毎月手当が支給されます。金額は下記の通りです。

3歳未満…1万5000円
3歳以上…小学校終了前までが1万円(第3子以降は1万5000円)
中学生…1万円

しかし親の所得によって限度額があります。たとえば会社員の夫と専業主婦の妻、子ども2人の世帯では夫の年収が960万円を超えた場合、「特例給付」として支給額は子ども1人につき一律5000円となっていました。

この一律5000円の手当について、今回の改正で年収1200万円以上の高所得世帯は対象外となることが決まりました。

特例給付の廃止 約370億円の財源に

それでは、今回の改正の対象者を具体的に見ていきましょう。

対象外となるのは、下記が条件です。

世帯合算は導入せず、主たる生計維持者の所得で判断

年収1200万円以上の者への特例給付を廃止

※子ども2人と年収103万円以下の配偶者の場合。扶養人数に応じた所得額は政令で定める。

児童手当の削減は、2022年10月支給分から適用されます。

これにより、約61万人(全体の4%)の児童に影響、約370億円が削減されると試算されています。

この特例給付の廃止をめぐっては、さまざまな意見があります。

そこで次に、立憲民主党の要望も見ていきましょう。

高所得者の特例給付「復活」を要望

立憲民主党は2021年5月31日、「子ども総合基本法案」を衆議院に提出しています。子育てや出産の支援などを担う「子ども省」の設置や、先述した特例給付の「復活」などがポイントです。

このなかで立憲民主党は、「親の年収にかかわらず、全ての子どもが支給を受けられるよう特例給付の一部廃止を復活」することを求めています。

また、「高校生の方が食費も塾代もお金がかかる」という声を受けて、高校生まで手当の支給を延長することも盛り込みました。

立憲民主党の山井和則議員は「児童手当の高校生への支給については、現時点では1人あたり1万円を軸に検討している。ふたり親家庭への児童扶養手当の新設、ひとり親家庭向けの給付の増額を検討している」と述べています。

所得の多い少ないに関わらず、子育てをする全世帯に一定の支援を求めていると言えるでしょう。

浮いた財源は「待機児童」の解消に

今回の特例給付の廃止で370億円の財源が生まれますが、これは待機児童の解消に充てられます。

それでは、待機児童数は現状、そして将来的にどうなるのかを見ていきましょう。

それでは、厚生労働省が公表した「保育所の利用児童数の今後の見込み」をもとに、保育所の利用児童数について見ていきます。

【保育所】利用児童数の今後の見込み

(/mwimgs/b/d/-/img_bd18f641d4067d45921b676e3084de23112177.png)

拡大する(/mwimgs/b/d/-/img_bd18f641d4067d45921b676e3084de23112177.png)

【出典】厚生労働省「保育を取り巻く状況について」

厚生労働省が2021年5月26日に開催した検討会で、「保育所の利用児童数が2025年にピークを迎える」との推計を公表しました。

大きな社会問題とされている待機児童問題ですが、2025年には逆に保育所が過剰となる時代が到来する可能性があるのです。

なぜ2025年に利用児童数がピークを迎えるのか。端的に言うと、「女性就業率の上昇スピードよりも、少子化の速度が早いため」なのです。日本の少子化がいかに速いかを物語っています。

児童手当「財源を確保していく」

今回は、児童手当をめぐる議論や、その背景にある待機児童問題も解説してきました。

骨太の方針では「子供・子育て支援の更なる『質の向上』を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していく」と明記しています。今後も議論が続くでしょうから、動向をチェックしておきましょう。

参考資料

内閣府「経済財政運営と改革の基本方針 2021日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/2021_basicpolicies_ja.pdf)

首相官邸「令和3年6月18日(金)臨時閣議案件」(https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021061802.html)

児童手当制度のご案内(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

内閣府「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要」(https://www.cao.go.jp/houan/pdf/204/204_2gaiyou.pdf)

立憲民主党「『子ども総合基本法案』を衆院に提出」(https://cdp-japan.jp/news/20210531_1449)

立憲民主党「子ども総合基本法案のポイント」(https://cdp-japan.jp/files/download/muvJ/H4VY/o2Yn/1au3/muvJH4VYo2Yn1au3TcuCfcUu.pdf)

厚生労働省「保育を取り巻く状況について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000784219.pdf)

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