大学院生 3人に1人以上が「借金」 300万円以上が約半数に みんなの意見は?
LIMO / 2021年7月4日 11時35分
大学院生 3人に1人以上が「借金」 300万円以上が約半数に みんなの意見は?
科学技術・学術政策研究所は2021年6月29日、「修士課程(6 年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査」の結果を公表しました。調査によると、返済義務のある奨学金・借入金があるのは大学院生のうち全体の3分の1以上で、このうち 300 万円以上が半数近くを占めていることがわかりました。
そこで今回はこの調査内容を詳しくみていきます。そのうえで、学生を支援する制度についても合わせて解説していきます。
借入金「理系」が多い結果に
調査は、2020年度に修士課程を終了(卒業)または予定の大学院生12万5418人が対象、有効回答数は1万6311名となりました。
それによると、返済義務のある奨学金・借入金について、「借入金有」と回答した者は 35.9%で、借入金額は 「300 万円以上」が 16.5%で最も高くなりました。
人文、社会などの文系より、理系で借入金額が300万円以上の回答者が顕著に高い結果となりました。
それでは、授業料の減免措置を受けている人はどれぐらいいるのでしょうか。
授業料の減免は2割以上
ここからは、授業料の減免を受けている人についてもチェックしていきます。
全体で22.6%が減免措置を受け、うち30~60万円未満の減免が7.5%と最も高くなりました。分野別にみると、文系(人文・社会)が理系(理学、工学、農学、保健)に比べて減免措置を受けている割合が高い結果となっています。
学費の捻出に苦心している学生が多いことが今回の調査で明らかになりました。学費を支援する制度はあるのでしょうか。
「給付型奨学金」2020年度からはじまるも院生は対象外
独立行政法人日本学生支援機構は、経済的理由で大学・専門学校への進学できない学生を減らすために、2020年4月から新制度をはじめています。
奨学金は、返済の必要がある「貸与型」と、必要のない「給付型」に大別されますが、今回は給付型の制度です。さらに、一定の要件を満たす学校であれば「授業料・入学金の減免」も可能になります。
具体的には、下記が主な要件になります。
学ぶ意欲がある学生であること(成績だけで判断せず、レポートなどで学ぶ意欲を確認)
世帯収入や資産の要件を満たしていること(住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯)
※基準を満たす世帯年収は、家族構成により異なります。
ただ、今回の調査対象である大学院生は、給付型奨学金の活用はできません。
院生を支援する環境整備が急務
今回は、大学院生の学費事情について、調査結果をもとに解説してきました。
今回の調査結果について、ネット上の意見もみてみましょう。
・学費の捻出のために、バイトに勤しんで研究が疎かになるのは本末転倒だ
・海外に進学したきり、戻ってこない優秀な学生が多い印象がある
・優秀な学生は、国家の宝。国が生活費を出しても良いくらいに思う
修学期間が長ければ長いほど、学費は膨れ上がります。今後の日本を背負う優秀な学生が経済的な理由で進学を断念せざるを得ない状況は、本人はもちろん国にとっても大きな損失と言えるのではないでしょうか。学生が安心して学べる環境をどう整備するか、考えていく必要がありそうです。
調査概要
調査対象者:令和2年度(2020年度)に修士課程(6年制学科を含む)を修了(卒業)または修了(卒業)予定の者。
調査方法:対象者個人の連絡先を把握できていない為、大学経由で、対象者に回答用のWebシステム(URL)をメール等にて知らせた。対象者はWebシステムから回答。
調査期間:2020年11月16日~2020年12月28日
調査内容:経済支援状況、満足度、インターンシップの状況、進路状況、博士課程に進学しない理由、在籍者の視点から博士課程への進学率を向上させるための政策等
回収状況:対象者数 12万5418名(学校基本調査)
回答数:1万6311名、有効回答数1万6311名 (回答率:13.0%、有効回答率:13.0%)
参考資料
科学技術・学術政策研究所「修士課程(6 年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査」(https://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-RM310-PressJ.pdf)
日本学生支援機構「奨学金の制度(給付型)」(https://www.jasso.go.jp/sp/shogakukin/kyufu/index.html)
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