「はやく国語の成績を上げたい!」の誤算。親の問題、子の現実
LIMO / 2021年7月17日 12時10分
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「はやく国語の成績を上げたい!」の誤算。親の問題、子の現実
全ての教科の土台であり、成績が上がるまでに一番時間を要すると言われる国語。結果がすぐに出にくいため、親としては「本当に大丈夫なのだろうか」と不安を覚えることもあるでしょう。
中には、塾や家庭教師に「数カ月で偏差値を10以上、上げたい」「次のテストでは高得点が取れるように」と無理難題を突きつける親も少なからずいます。焦る気持ちは分かりますが、国語の成績アップへの道のりは長く、様々な力を底上げする必要があるのです。
本を読めば点数アップにはなるとは限らない
読書をすれば国語が得意になると思われることもありますが、そう簡単なものではありません。ただ字を読むだけでは国語力アップに直結することはないのです。まず、漢字を正確に読み書きできるようになり、文章内に登場する言葉の意味を理解するなど「国語力の土台」を鍛えることに集中する必要があります。
物語文や説明文の問題を解く際には、話のテーマを理解する力「読解力」が不可欠です。作者の意図を感じながら自分の頭で整理し、設問をスムーズに解くには読むスピードも求められます。つまり、国語の成績を上げるには以下のような条件があるのです。
漢字の読み書きができる
語彙力を増やす
作者の意図を考えながら読む
読むスピードを上げる
これを数週間で全てクリアするのはほぼ不可能でしょう。こうした土台作りを無視して「とにかく短期間で国語の点数を上げたい」と漠然と望むのは無理があります。
中学2年生で小学3・4年生の問題からやり直し
国語が苦手な子の成績を上げるには、まずどのあたりの漢字や語句でつまづいているのか把握する必要があります。たとえば、中学2年生だけれどもその学年の問題は全てお手上げ…という場合は学年をさかのぼって「どの学年の問題なら自力で解けるか」を探るといった具合です。
筆者が塾で仕事をしている時に出会った、国語が極端に苦手な子には共通点がありました。それが「小学3年生の漢字から正確に読み書きできなくなる」です。そしてほぼ例外なく、他の教科でも教科書やテスト問題の文章がよく理解できていないことに親が気がつき、あわてて子どもを塾に連れて来るのです。
こうした子たちは、正しい熟語が書けず、当てずっぽうに書く。国語も含め、記述問題では1、2年生で習った漢字以外はほぼ平仮名で答えを書く、というのが現実でした。
ある中学2年生の場合、小学校高学年の問題では語彙力が足りずお手上げ状態だったため、やはり小学3・4年生向けの問題からやり直すことに。
しかし、中学2年生で小学3・4年生の問題を解いていては受験に間に合わないのでスピードアップしたいのに、本人はダラダラするばかりで山積みの課題を前にしてやる気ゼロ状態。こうした地道な作業が苦手な子どもは少なくありませんでした。
小学生時代に漢字や語句につまづいた子が、出来る子や平均的な同級生との差を縮めるために自発的に勉強したり必死になることは稀なのです。そのため、国語力の低下を防ぐために必要なのは、まずはその発端となる漢字力の定着をしっかり確認すること。
そうしないと、気がついた時には挽回するのに途方もない努力が必要となるということもあります。「まだ小学校低学年だから」と、漢字テストや国語のテスト結果を軽く見るのは避けたいところです。
結果を求める親の焦りは逆効果に
親が子どもの国語の成績が低下していることに気がついた時点で、実は大きな差が開いています。そして、国語は全ての教科の土台であり、他の教科の成績を上げるにも国語力が必要なため、傷口がこれ以上開く前にと塾や家庭教師の門を叩く家庭も少なくありません。
ただし、焦るあまりに親の要求が大きくなるのは問題です。何としてでも最短ルートで点数アップさせて欲しいと願う気持ちも分かりますが、「とにかく早く結果を」と即効性を追い求める家庭は塾との付き合いが短くなる傾向があります。
しかし、転塾を繰り返したり家庭教師をコロコロ変えたりしていると、子どもがじっくり腰を据えて勉強する環境を整えることができません。とにかく国語力の底上げを図るには、やるべきことがたくさんあります。そして結果が出るには時間がかかります。
塾や家庭教師を決めたのなら、子どもが落ち着いて学習に臨める環境の整備を心がけ、冷静になって成績の推移を見守る心のゆとりも忘れてはいけないでしょう。
国語の成績アップには時間がかかることを理解する
読解力を上げるには、漢字が正確に読め・書ける、そして語彙力をつけるという下地作りが欠かせません。そうした基盤整備に時間がかかるのですが、早期に結果を求める親はそこを理解するのが難しいようです。
そして「なぜ点数が上がらないんだ」と親から責められると、子どもは焦り、悩み、国語に対する意欲が湧いてこなくなります。必要以上に苦手意識を持ってしまうこともあるので、子どもに対する言動には気をつけたいものです。
語彙力というのは家庭での日頃の会話や読書習慣によって個人差が出やすく、親の方からの働きかけなど、意識して増やす努力も必要となってきます。まさに地道な作業ですが、それが王道にして国語力をアップする最短ルートだと言えるでしょう。
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