年金デビューの60代「みんな、貯金はどのくらいあるのか」
LIMO / 2021年7月20日 17時0分
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年金デビューの60代「みんな、貯金はどのくらいあるのか」
60代といえば、定年退職を迎えたり年金を受給し始めたりと、多くの人にとって人生の転換期にあたります。
私は、証券会社でファイナンシャル・アドバイザーとして、多くのお客様の資産運用に携わってきました。そこで今回は、セカンドライフを迎える60代の貯蓄状況に着目しながら、老後の備えについてお話していきたいと思います。
60代の貯金はどれくらいか
はじめに、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯]令和2年」より、60代の方がどのくらいの金融資産を保有しているのかを見ていきましょう。
※金融資産とは貯金だけでなく、有価証券など資産として評価額を換算・現金化できる資産を含みます。
60代 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
平均:1745万円
中央値:875万円
【保有額別分布】
金融資産非保有:18.3%
100万円未満:3.5%
100~200万円未満:4.0%
200~300万円未満:4.0%
300~400万円未満:3.3%
400~500万円未満:4.0%
500~700万円未満:5.3%
700~1000万円未満:7.5%
10000~1500万円未満:7.5%
1500~2000万円未満:6.3%
2000~30000万円未満:13.3%
3000万円以上:19.6%
無回答:3.3%
2019年には「老後2000万円問題」が大きな話題になりましたが、3000万円以上の金融資産を保有している世帯が、全体の約2割もいることに驚かれた方もいるのではないでしょうか。
しかし一方で、全体の平均は1745万円と、金融資産保有額は2000万円にとどいていません。
そして、より実態を反映しているといわれる中央値では、わずか875万円という結果です。およそ半数の世帯が「老後2000万円問題」をクリア出来ていないどころか、金融資産保有額は1000万円未満であることが分かりますね。
年金収入だけでは、老後は不安?
ここで、「老後2000万円問題」の内容をおさらいしておきましょう。
金融審議会の「市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」によると、2000万円は以下のモデルケース世帯を元に算出されています。
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)
実収入(主に年金):20万9198円
実支出(主に食費):26万3718円
月々の赤字額:5万4520円 (約5万5000円)
老後必要額:5万5000円×12カ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円
これが「老後2000万円問題」の根拠になりますが、もしかしたら毎月の収入額や支出額に違和感を覚える方もいるかもしれません。毎月の支出入額は、家庭の生活スタイルによって大きな差が出やすい部分だからです。
とはいえ、金融庁自ら「年金収入だけでは、老後の生活費はまかなえない」と公表した事実については、私たちは重く受け止める必要があるのかもしれません。
老後に向けて今からできること
先ほど見てきたように、60代の金融資産保有額の中央値は875万円でした。
生活スタイルは人それぞれではありますが、これから長い老後生活が続くことを考えると、心もとない金額と言えるかもしれません。これからの老後に向けて、どのような備えをしていけば良いのでしょうか。
解決策のひとつとして、「資産運用」を取り入れることが挙げられるでしょう。
「60代にもなって資産運用!?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。ここで、60代の種類別金融商品保有額についても確認しておきましょう。
種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
60代の平均金融資産保有額:1745万円(合計)
【内訳】
預貯金(うち運用または将来の備え):959万円
保険(生命・損害・個人年金):459万円
金融商品(債券・株式・投資信託):285万円
財形貯蓄:27万円
金銭信託:5万円
その他金融商品:11万円
※四捨五入の関係で、内訳の計と合計は一致しません。
このように、「預貯金」が金融資産保有額のうち半分以上を占めており、「預貯金」と「保険」を合わせると全体の約8割にものぼることが分かります。
最近は「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」などの税制優遇制度も整い、国も資産形成における「資産運用」の重要性を強調しています。
60代でも遅すぎるということはありません。まずは、自分のライフプランを見直しながら、生活スタイルに合った金融資産の配分を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。
おわりにかえて
資産運用ビギナーの方であれば、最初の一歩を踏み出すのは少し勇気がいるかもしれませんね。
しかし、老後は皆さんに平等に訪れます。なるべく早めに対策に取りかかることで、対策の選択肢も広がっていきます。
最適な金融商品や運用スタイルは人によって違います。「どれを選べばいい?」「何から始めたらいい?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度お金の専門家に相談してみましょう。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/20bunruif001.html)
金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)
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