65歳以上の無職世帯「老後の貯蓄」平均いくらか
LIMO / 2021年7月30日 18時0分
65歳以上の無職世帯「老後の貯蓄」平均いくらか
みなさんは、定年退職後も仕事を続けたい派ですか?もしくは、働かずに自由な生活を謳歌されたい派でしょうか。
「現役時代に頑張ったぶん、定年退職後は時間にしばられることなく、のんびりとセカンドライフを送りたい」と考えていらっしゃる方は多いのではないかと思います。
しかし、そうなるとやはり気になるのは将来の資産状況ですよね。「人生100年時代」が近づく今、定年後の長いセカンドライフへの不安が増している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまから老後のお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、「65歳以上・無職世帯」の貯蓄事情について確認しながら、セカンドライフに向けたお金のお話をしていきたいと思います。
65歳以上世帯は、どのくらい貯蓄があるのか
まずは、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、二人以上の世帯のうち「世帯主が65歳以上の世帯」の貯蓄額の分布を見ていきます。
世帯主が65歳以上世帯「貯蓄現在高階級別世帯分布」(二人以上の世帯)
100万円未満・・・7.9%
100万~200万円・・・4.0%
200万~300万円・・・3.5%
300万~400万円・・・3.7%
400万~500万円・・・3.3%
500万~600万円・・・3.8%
600万~700万円・・・3.4%
700万~800万円・・・3.2%
800万~900万円・・・2.9%
900万~1000万円・・・2.5%
1000万~1200万円・・・5.7%
1200万~1400万円・・・4.5%
1400万~1600万円・・・4.5%
1600万~1800万円・・・3.1%
1800万~2000万円・・・3.3%
2000万~2500万円・・・8.3%
2500万~3000万円・・・6.4%
3000万~4000万円・・・8.7%
4000万円以上・・・17.3%
貯蓄保有世帯の中央値:1555万円
平均値:2324万円
平均値は一部の極端に大きい値に影響されて、数値が大きくなりやすい傾向があります。一方で、中央値は貯蓄額を少ない順、あるいは大きい順に並べたとき全体の真ん中にくる値で、平均よりも実態を反映しやすいと言われています。
よって、ここでは平均の2324万円より、中央値の1555万円のほうが、参考にしやすい値といえるでしょう。
「老後の生活費は、年金収入とは別に2000万円不足する」という内容で話題となった「老後2000万円問題」もふまえると、中央値の1555万円の貯金があっても、不安に感じてしまう人もいるかもしれませんね。
また300万円未満の世帯が15.4%存在する一方で、4000万円以上を保有する世帯の割合は17.3%です。こうした「格差」についても看過できないと言えそうです。
「65歳以上・無職世帯」の貯蓄のすがた
つぎに、65歳以上・二人以上世帯のうち「無職世帯」にフォーカスして、その貯蓄のすがたをながめていきます。
65歳以上・無職世帯「現在貯蓄高」の推移
2015年・・・2416万円
2016年・・・2350万円
2017年・・・2337万円
2018年・・・2233万円
2019年・・・2218万円
2020年・・・2292万円
2015年から2019年までをみると、4年連続で減少傾向にありました。ところが2020年で一転。前年に比べ74万円(3.3%)の増加になっていることがわかります。
貯蓄の内訳はどうか
次に、2020年の「65歳以上・無職世帯」の貯蓄について、その種類の内訳を見ていきましょう。
「65歳以降・無職世帯」の貯蓄の種類別貯蓄現在高
(二人以上の世帯)
金融機関…2292万円
通貨性預貯金※・・・618万円(27.0%)
定期性預貯金・・・920万円(40.1%)
生命保険など・・・397万円(17.3%)
有価証券・・・348万円(15.2%)
金融機関外・・・9万円(0.4%)
同調査結果によると、通貨性預貯金は618万円で前年に比べて13.8%増えています。長期化するコロナ禍の影響で、外食やレジャーでの外出ができなくなったことなども要因のひとつとして考えられるかもしれません。
※「通貨性預貯金」とは自由に入出金可能な普通預金など、「定期性預貯金」とは金融機関に一定期間預ける定期預金などが含まれます。「生命保険など」は、積立型の生命保険や損害保険、養老生命共済や簡易生命保険などを指します。
リタイヤ後の「暮らしとお金」をイメージしてみる
ここまで、65歳以上の無職・高齢者世帯の貯蓄額をながめてきました。
老後の生活に必要な資金に決まりはありません。思い描く理想のセカンドライフも人それぞれです。ぜひこの機会に、定年退職後の生活をイメージして必要な資金を計算してみるとよいかもしれませんね。
公的年金や退職金で足りないことが分かれば、いまから老後資金を積み立てていくことで、その不足分をある程度カバーできる可能性もあります。
老後のお金対策を早めに意識していくことで、定年退職後の過ごし方の選択肢がひろがるかもしれません。悠々自適なセカンドライフを楽しむための、大切な準備の一つといえるでしょう。
とはいえ、銀行などの預貯金でお金を増やしていくことはむずかしい世の中です。効率よく、資産運用しながらお金を増やしていくことも必要かもしれませんね。
お金のプロへの相談も必要に応じて活用しながら、資産運用のはじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考資料
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」Ⅲ世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2020_gai4.pdf)
熊谷良子(LIMO)「65歳以上『みんなの貯蓄額』無職世帯の平均はいくらか」(https://limo.media/articles/-/23702)
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