30代・40代サラリーマン世帯の老後資金対策「4つの貯め方」
LIMO / 2021年8月8日 11時30分

30代・40代サラリーマン世帯の老後資金対策「4つの貯め方」
30代、40代のサラリーマン世帯の老後資金対策としては、生活費を見直すこと、株式投信の積立投資をコツコツと続けること、妻も厚生年金に加入すること、などが重要だと筆者(塚崎公義)は考えています。
生活費を見直す
まずは生活費の見直しについて考えましょう。ケチケチと倹約する前に大きな支出項目について本当に必要か否かをゼロベースで見直してみる、ということです。
まず、生命保険は必要でしょうか。独身者や、夫婦ともに正社員の場合などは、生命保険は原則不要でしょう。保険は期待値がマイナス(確率的には損な取引)ですから、保険に加入しないと大変困った事態に陥る可能性がある場合だけ加入するようにしましょう。
自動車は必要でしょうか。都会に住んでいるならば、公共交通機関を使う方が金銭面でも健康面でも望ましいでしょう。
子供の習い事は必要でしょうか。コストに見合った効果が見込めるでしょうか。「自分への投資」は、投資に見合った成果が期待できそうでしょうか。習い事をしていると安心だ、という漠然とした動機ならば、見直す余地がありそうです。
あとは、新型コロナ後に再開されるであろう飲み会ですね。付き合いもストレス解消も必要でしょうが、飲み会を半減したらどうなるのか、一度想像してみてはいかがでしょうか。
生活を見直す作業については、前回の拙稿『実は不要かもしれない5つの支出。ケチケチせずに生活費を見直す方法(https://limo.media/articles/-/24148)』をあわせてご参照ください。
投資信託の積立投資をコツコツと
住宅ローンを抱えていたり子供の教育費がかかったりするでしょうから、30代、40代のサラリーマン世帯の金融資産は、それほど多くないかもしれません。それでも、少額で良いので株式を少しずつ購入していきましょう。
株で儲けるというよりは、預金はインフレで目減りするので、インフレに強い資産も少しは持っておきたい、ということなのですが、それ以外にも目的があります。
ひとつは、将来の株式投資に備えて株というものに慣れておくという目的です。将来退職金が出た時には金融資産の一部をインフレに強い株で持つことが望ましいのですが、その時に投資デビューするよりは、若いうちから少しずつ株式投資に慣れておいた方が良いだろう、ということですね。
それから、株を少しでも持っていると経済に興味が出て毎日経済記事をチェックするようになる、という期待を込めて買うという目的もありますね。
具体的には、個別株を選ぶのが大変なこともあり、株式の投資信託を毎月1万円ずつ積み立てていく、といったことが現実的でしょう。日経平均連動の投資信託、米国株連動の投資信託(為替ヘッジなし)あたりが入門編としてふさわしいと思います。
なお、積み立てる際には、iDeCo(イデコ)という投資優遇税制を活用しましょう。手続きは若干面倒ですが、税制上のメリットは大きなものがあるので。
妻も厚生年金に加入する
独身者は男性も女性も厚生年金に加入しましょう。正社員になれればほぼ自動的に厚生年金に加入することになりますが、パート等であっても一定の条件を満たせば厚生年金に加入することができます。
加入する方が加入しないよりも老後に受け取れる年金が多いので、ぜひ。ちなみに、支払う年金保険料も、厚生年金に加入する方が安くなる場合が多いです。厚生年金の保険料の方が高いのですが、こちらは半分を勤務先が負担してくれる一方で、厚生年金に加入しないと国民年金の保険料を全額自分で支払う必要があるからです。
自営業者の妻は、夫とともに家業を盛り立てていく場合はともかく、外に働きに出る場合には、厚生年金に加入できるような働き方をしましょう。
問題は、サラリーマンの専業主婦(サラリーウーマンの専業主夫を含む、以下同様)です。サラリーマンの専業主婦は優遇されていて、公的年金の保険料の支払い義務がないのですが(拙稿『サラリーマンの「専業主婦優遇」年金保険料は不公平なので廃止しよう(https://limo.media/articles/-/22954)』ご参照)、一定以上働いて厚生年金に加入すると保険料の支払い義務が生じるからです。
それでもやはり厚生年金に加入するべきだと筆者は考えています。それは、老後の生活が安定するからです。
公的年金は、どれだけ長生きしても支払ってもらえますし、インフレが来れば原則としてその分だけ受取額が増えるという、老後資金の大変頼もしい味方になります。平均寿命まで生きれば支払った保険料は回収できる計算なので、ぜひ。
固定金利で住宅ローンを借りる
持ち家か借家か、という論争がありますが、筆者は持ち家をお勧めします。理由は2つ。第一は、老後に借家に住むのは「長生きとインフレのリスク」が大きくなりすぎるので、定年までに家を持つ必要があることです。
第二の理由は、住宅ローンが意思が弱い人にとって「強制貯蓄」の役割を果たしてくれるからです。「定年時に家を買うから、それまでに貯金しよう」などと考えても、意思の弱い人には難しいでしょうが、銀行が住宅ローンの取り立てに来てくれれば、嫌でもぜいたくをせずに返済することになるでしょうから。
住宅を買うならば、住宅ローンは固定金利で借りましょう。変動金利で借りると、将来インフレが来た時に金融が引き締められて金利が高騰するリスクがあるので、それを避けるということです。固定金利の方が若干金利が高いのですが、その差額は将来の金利上昇リスクに対する保険料だと考えれば、安いものです。
年金保険料を払うのはムダではない
サラリーマンは公的年金の保険料が給料天引きなので、払い漏れはないでしょうが、自営業者は自分で年金保険料を払わなければならないので、忘れずにしっかり払いましょう。忘れると老後に受け取れる年金が減ってしまいます。
公的年金は、どんなに長生きしても受け取れますし、インフレになっても原則としてインフレ分だけ支給額が増えていきます。したがって、老後資金の2大リスクである長生きとインフレにしっかり備えることができる最強の老後資金対策なのです。
「将来は年金が受け取れないのだから、年金保険料を払うのはムダだ」などと言う人もいますが、そんなことはありません。拙稿『年金は将来もらえないから保険料を払うのはムダなのか(https://limo.media/articles/-/23129)』をあわせてご参照いただければ幸いです。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
<<筆者のこれまでの記事リスト(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>
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