細かすぎる「ウザイ上司」の背後にあるマイクロマネジメントの深い闇
LIMO / 2021年8月16日 18時45分
![細かすぎる「ウザイ上司」の背後にあるマイクロマネジメントの深い闇](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_24614_0-small.jpg)
細かすぎる「ウザイ上司」の背後にあるマイクロマネジメントの深い闇
あなたの会社には嫌いな上司がいますか。普通、一人位はいますよね。会社を辞める理由でも「嫌いな上司がいるから」は、上位にランキングしています。今回は嫌いな上司のなかでも“細かすぎる上司"をつくりだす、マイクロマネジメントについて考えていきます。
「嫌いな上司がいる」は73%
「嫌われ上司」に関連する全体像をみてみましょう。今年(2021年)2月に発表された「嫌いな上司の特徴ランキング!男女500人アンケート調査」(株式会社ビズヒッツ)から引用します。
まず、職場に嫌いな上司がいる人は73.2%。エッ・・・少なすぎるでしょ、と思った人もいるかもしれませんが、7割以上は、やはり、かなり高い数字ですよね。
次に「上司が理由で会社を辞めたいと思ったことがある」。これは65.0%の人が「ある」と回答。
そして、気になる「嫌いな上司の特徴」ランキングです。
【1位】「相手によって態度を変える」
【2位】「仕事を押しつける/仕事をしない」
【3位】「高圧的/エラそう」
【4位】「気分屋」
【5位】「自分がすべて正しいと思っている」
たしかに、思い当たるフシがありますよね。上記の特徴をすべてもった強力な上司が職場にいたら・・・そんな絶望的な想像をしてみると、やはり、即・退職したくなります。
タイプ別マイクロマネジメント上司
さて本題の “細かすぎる上司"問題です。これも困りものですよね。たとえば、パワポ企画書の内容ではなく、英数半角不統一や色使いばかり指摘されたら、それはイヤになりますよね。
あげくの果てに、社内メールは「“お疲れ様です"ではなく、“お疲れ様でございます"にしなさい」などと言い出されると、もうゲンナリです。
このように、上司不要な場面でも細かく部下の仕事に介入し、自分の意見優先で部下の仕事を進めようとする上司がいわゆる「マイクロマネジメント上司」です。
このマイクロマネジメント上司も、いろいろなタイプが存在すると言われています。
まずプライドが高いタイプ。自分のやり方が最適で絶対マチガイはないと考えているパターンです。
次に他人のミスが許せないタイプ。これは部下のミスが自分の評価を落とすことにつながると考えるため、ミス回避に過度な口出しがふえ、マイクロ度がさらに加速していく傾向があります。
最後に、細かい指示こそが上手いマネジメントと思っているタイプ。
この辺になってくると根が深くなってきて、会社の考え方がそのような方向だと上司も自分の評価をあげるために、より細かい指示に心血を注ぐというような事態になってきます。受け継がれ、磨き上げられるマイクロマネジメントですね。
マイクロマネジメント型上司が実は多い
では、実際に日本ではマイクロマネジメント上司は、どの位いるのでしょうか。それは多数派なのか、それとも少数派なのか。
昨年、パーソル総合研究所が『「動かない部下」はなぜできる? マイクロマネジメントの科学』という調査結果を発表しています。調査対象は全国・企業規模50人以上の企業の管理職(2000人)と全国・企業規模50人以上の企業の人事部に所属する従業員(300人)です。
結果としては、日本の中間管理職は「マイクロマネジメント型」上司が41.2%と、約半分に迫る結果でした。一方、マイクロマネジメント上司と真逆な「信頼・柔軟型」は14.9%に過ぎませんでした。
なぜ、このような結果になったのか。同調査の分析では、主要原因として3つを挙げています。
働き方改革が進んでいること
人材の多様性が増すこと
業務量が増加していること
1つめの働き方改革は、労働時間に「上限=キャップ」を設けることが現状では中心。限られた時間でやりくりするためには部下の計画をよりタイトに統制し、行動を管理するほうが近道だと考えられがちとのこと。
2つ目の人材の多様性が増すことは、現場上司からしてみれば、これまでの暗黙のルールや”あうんの呼吸”が通用しなくなることを意味するとのこと。多くの上司は、そうした時に対話やすり合わせではなく、行動を統制することに力を注ぐ傾向があるとしています。
最後に業務負担増の圧力が高まると、管理職はマイクロマネジメントを強める傾向がある。業務が忙しくなればなるほど、具体的に「やることだけやってくれ」というマネジメントになるといいます。
マイクロマネジメントは“日本の闇”!?
この調査分析をどう思われたでしょうか。個人的には非常に興味深いものでした。調査レポートでも言及されていますが、2つ目の人材の多様性が増すことは、つまり職場のダイバーシティが進むことです。
価値観や国籍、年代といった多様な人材や働き方の確保は、人手不足の市場においてますます求められていくというのは、多くの人が主張していますよね。
ところが、このダイバーシティの加速が、逆に現場ではマイクロマネジメントを増やしてしまう。ちょっと大げさに言うならば、“日本の闇"を垣間見た気もしました。
やはり、日本では業務のゴールを明確に設定して、そのプロセスは上司と部下が議論しながら進めるといった「信頼・柔軟型」マネジメントは、夢のまた夢ということでしょうか。
だとすると、日本でダイバーシティなんて果たして必要なのか、という気もしてきます。
個人的には欧米型のダイバーシティは、企業の競争優位性の強化が根本にあると考えています。つまり異なった考え方や文化を取り入れることで、ビジネスそのものが進歩・向上するという考え方。
日本のダイバーシティは、“人手不足だし、しょうがないからヤルか"といったことなのでしょうか。
さて、最後に犯人捜しです。個人的には中間管理職の資質のせいにしてしまうのは、誤りの気がします。多分、もっと上位のレイヤーである日本の企業文化に根差した問題だとも思えるのです。
やはり“社内の妖精さん"や“社内失業者"と呼ばれるような人たちが一掃されるまでは、なにも変わらないのかもしれませんね。
参考資料
嫌いな上司の特徴ランキング!男女500人アンケート調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000041309.html)(2021年2月2日、株式会社ビズヒッツ)
「動かない部下」はなぜできる? マイクロマネジメントの科学(https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/column/202004280001.html)(2020年4月28日、パーソル総合研究所)
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