五輪選手村は買い?【徹底検証】晴海フラッグは中央区最後の激安物件なのか
LIMO / 2021年8月28日 18時45分
五輪選手村は買い?【徹底検証】晴海フラッグは中央区最後の激安物件なのか
熱戦が繰り広げられた東京オリンピックですが、各国の選手団が滞在していた選手村は色々な意味で話題になりました。
たとえば、
部屋が狭い
ベッドが段ボール
トイレが1つしかない
天井が低い
などなど、挙げればキリがありません。
海外のコンドミニアムなどでは各部屋にバスルームがある場合が多いので、それに比べると日本の住宅は確かに狭く感じるかもしれません。
そんな話題の選手村ですが、パラリンピックが終われば一般に分譲されることになります。場所は東京都中央区晴海の埋立地にあり、大手のデペロッパーが共同開発をしている「晴海フラッグ」というプロジェクトです。
住宅は合計4145戸の分譲が予定されており、すでに第1期分の940戸が販売済みとなっています。第1期は申し込みが殺到していたので、第2期も抽選になるのは必至でしょう。
人気の理由は、
中央区というプライム立地であること
周辺の分譲単価と比べるとだいぶ割安になっていること
この2点が挙げられます。
しかし、
埋立地である
最寄駅から徒歩約20分と遠い
団地のような雰囲気でデザインがイマイチ
というようなデメリットもあります。
そこで今回は、分譲マンションのデベロッパーの経験もある、私ウラケンが、不動産投資家の目線で「晴海フラッグは本当に買いなのか?」について徹底検証していきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
晴海フラッグとは?
晴海フラッグは、東京都および民間企業のジョイントベンチャーが開発するプロジェクトです。
東京都中央区晴海五丁目に位置し、東京ドーム3.7個分の広大な敷地に計画されています。開発には三井不動産、三菱地所、野村不動産など、大手デベロッパー10社が名を連ねています。
晴海フラッグは大きく3つの街区に分けられ、4145戸の分譲住宅と商業施設の複合開発です。3方向で海に面しており、レインボーブリッジ、芝浦、お台場が見える眺望の良さが売りになっています。
上述のように既に販売済みなのは940戸で、パラリンピック終了後、2021年11月からの販売再開が予定されています。
そして驚くべきなのは、その分譲単価の安さです。
第1期分譲の坪単価は、なんと250万円台からでした。全体の平均でも300万円前後ですので、周辺のタワマンが坪400万円近くであることを考えれば、それより2割ほど安いということになります。
これは23区内の物件としては異例の安さで、この坪300万円という分譲単価を中央区以外で比較すると、江戸川区の西葛西や吉祥寺界隈の分譲単価に匹敵します。
間取りも平均約85平米と広く、緑も多く、銀座まで目と鼻の先の好立地ということもあり、第1期分の申し込みでは2~3倍の倍率が当たり前になっていたようです。
現在はパラリンピックの選手村として利用されていますが、実はまだ完成したわけではなく、70%程度の出来で、躯体自体は完成しているものの、簡易的な内装を施した仮仕様の状態になっています。
オリンピック・パラリンピックの後に残りの工事を行い、引渡しは2024年の3月予定ということです。
以上が晴海フラッグの簡単な概要です。
それにしても、なぜほとんど完成しているにも関わらず、引き渡しに2年半もかかるのか? ちょっと謎ですよね。
私の予想では、商業施設や交通インフラが整ってからでないと生活ができないという点と、残りの80%の区画を販売しない限り販売代金を回収できない上に、ゼネコンからの引き渡しも受けられないという点が大きな理由として挙げられると思います。
また、マーケットの状況を見ながら少しでも高く売りたいという目論見もあるでしょう。
晴海フラッグのメリット
次に、晴海フラッグのメリットについて見ていきましょう。
メリット1:東京都中央区に家が持てる
東京都中央区という都心のど真ん中に位置し、銀座まで車で10分という好立地が売りです。
メリット2:坪単価300万円、周辺相場より2割以上も安い
上記のように、第1期は坪250万円台~という価格帯で、全体の平均でも300万円前後でした。この分譲単価は異例の安さで、中央区でこの価格帯で分譲されることは、恐らく今後二度とないでしょう。
メリット3:部屋の広さが平均85平米と広い
これから新築されるタワー棟を除くと、部屋の広さは平均85平米となっています。晴海界隈のマンション群では最も広いプロジェクトということになります。
メリット4:緑が多く、景色も最高
晴海フラッグは各棟の空地率(※)が50%以上と広く、緑が多くて開放的な空間なのが特徴です。恐らく都心に住んでいることを忘れるくらいの開放感を感じるのではないでしょうか。また、東京湾からの景色や夜景は、毎日湾岸デートを楽しんでいるかのような感覚に陥るかもしれません。
※空地率:マンションの敷地に対して建物が建っていない空地が占める割合。
メリット5:全棟が地下駐車場でつながっている
陸上に緑が多い理由として、駐車場が全棟地下に存在している点が挙げられますが、これがこのプロジェクトの特徴の1つでもあります。
駐車場は地上に作るよりも地下に作る方が断然お金がかかりますので、家を買うというよりは街全体のプロジェクトを買うといったイメージになるかもしれません。
晴海フラッグのデメリット
次に、晴海フラッグのデメリットを見ていきましょう。
デメリット1:公共交通のアクセスが悪い
最寄駅の大江戸線勝どき駅まで徒歩15分~20分もかかりますので、都心といえども案外不便な印象です。
新橋・虎ノ門へは10分間隔でBRT(バス)の運行も予定されていますが、都内に毎日通勤する人にとっては決して便利な立地とは言えないでしょう。ただ、テレワークができて、車中心の生活をする人にとっては最高の立地だと思います。
デメリット2:埋立地であり、ゴミ処理場が近い
もともと晴海地区は埋立地ですから、それを嫌う人にとっては不向きかもしれません。また、現地に行くとわかるのですが、ゴミ処理場が隣接しているので大きな煙突の存在感が気になる人もいると思います。
さらには、海辺ということで塩害や高潮、津波のリスクも考えれば、地下駐車場が水没する可能性もゼロではありません。この辺は保険でカバーするしかありませんが、気になる人にとってはとことん気になる部分だと思います。
デメリット3:団地のような雰囲気
完成イメージと実際に完成したマンションのイメージが違うといったことは往々にしてありますが、少しデザインが古く、団地のような雰囲気であるという意見がちらほら見受けられます。
実際に私が見た印象でも、周囲の分譲マンションと比較するとデザイン的に見劣りするように感じました。
デメリット4:管理費が割高
タワマンの管理費が高いというのは有名な話ですが、タワマンでなくとも、晴海フラッグの管理費は相当高い印象です。
通常、管理費の相場は1万円台が一般的ですが、晴海フラッグの管理費は月3万5,000円~4万5,000円程度もかかります。これに修繕積立金と固定資産税が乗ってきますので、相当な維持費を覚悟する必要があるでしょう。
たとえば6,000万円の住戸を金利0.5%で35年のローンを組むと、月々の返済額は約15万円程度ですが、管理費などを含めると20万円以上の支払いが必要になってきます。
そもそも、晴海フラッグは街から作っているプロジェクトなので、管理費が高くなるのは当然として、分譲単価を安くしいるカラクリとして管理費が高くなっているという可能性もあります。
晴海フラッグは買いなのか?
最後に、「晴海フラッグは買いなのかどうか?」について検証していきたいと思います。
持ち家を検討している人には検討の価値あり
持ち家を検討している人、特にマンションを23区内に買おうかどうか検討している人にとって、晴海フラッグは十分検討する価値があると思います。
というのも、もし85平米くらいの4LDKを4千万円台で買おうとすると、都心へのアクセスを犠牲にして、たとえば柏や流山よりも遠くで探す必要があります。
しかし、このような郊外でマンションを買ったとすると、買った後に2割くらいは価値が下がることを覚悟しなければなりません。
その点、晴海フラッグの分譲単価は周辺相場よりも2割以上安く、中央区のマンションをこの分譲単価で手に入れられることは恐らく二度とないでしょうし、よほどのことがない限り資産価値の下落はないと思います。
むしろ、10年20年で2割以上価格が上がってもおかしくないと思います。
不動産投資の対象としては魅力がない
しかし、不動産投資の対象として買うのであれば、晴海フラッグはオススメしません。というのも、75平米前後の価格は6千万円くらいで、家賃の相場は月25万円前後になると思います。
毎月の管理費等を約5万円として、家賃からこれを差し引くと、実質の家賃は20万円で年間の家賃収入は240万円になります。すると、240万円÷6,000万円で利回りは4%ですから、インカム目的の投資としては全く魅力のない数字になります。
ただ、ニューヨークやロンドン、香港、シンガポールの利回りが2%台もザラであることを考えると、東京中央区なら将来的に利回り4%が3%になるくらいまでの価格の上昇幅はあると思います。
仮に実質利回りが3%になると、物件価格の6000万円は8000万円になるので、将来的に2割か3割くらいの値上がり幅はあると見て良いと思います。
まとめ
以上、今回は選手村で話題の晴海フラッグについて解説しました。
第1期の分譲と同様、第2期分譲も2~3倍以上の倍率になりそうな気がします。第2期でも50%は分譲しないでしょうし、分譲単価は売れ行きを見ながら調整されていくのが常です。
このプロジェクトに関しては、第3期、第4期と進むにつれて分譲単価が上がっていくのではないかと思います。
繰り返しになりますが、このプロジェクトは投資として見れば成り立たないですが、今まさにマイホームを検討していて、資産価値が減らない価値のある家を手に入れたいという人にとっては、中央区最後のお買い得プロジェクトになるかもしれません。
しかし、マイホームの購入については、買った後で後悔しないためにも、本記事で解説したような「不動産投資の視点」で考えることが極めて重要です。不動産投資については、不動産実務検定や宅建などで基本的な知識を勉強しておくといいでしょう。
また、マイホーム購入の是非については、永遠のテーマとしてあちこちで議論されていますので、色々な人の意見を聞いて、あなたの資産状況やライフスタイルに合った選択をしてください。
※本記事は、記事内で取り上げているプロジェクトの購入の推奨を目的としたものではありません。また、購入後の資産増加を保証するものではありません。
参考資料
晴海フラッグ公式サイト(https://www.31sumai.com/mfr/X1604/#!)
五輪・パラ選手村マンション、3200戸販売 秋から(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC072G90X00C21A6000000/?unlock=1)(日本経済新聞、2021年6月22日)
HARUMI FLAG物件概要(https://suumo.jp/ms/shinchiku/tokyo/sc_chuo/nc_67716574/property/?rnms=404)(SUUMO関東版)
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