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【Facebook】広告収入減少の想定。その理由とは?

LIMO / 2021年8月22日 10時0分

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【Facebook】広告収入減少の想定。その理由とは?

2021年7月28日(太平洋標準時)に、Facebook社が第2四半期の業績を公開しました。この中で「今後の売上の伸びの鈍化」について言及されていたことがロイターなどの各種メディアで報じられています。
なぜ伸びの鈍化が見込まれるのか、その点について解説します。

広告規制が「逆風」に?

“Facebook Reports Second Quarter 2021 Results”から、Facebook社の業績発表概要をまとめました。

<2021年4月-6月の業績>

総収益(Revenue):290億7700万ドル(対前年同期比+56%)
【内訳】

広告:285億8000万ドル(対前年同期比+56%)

その他:4億9700万ドル(対前年同期比+36%)

当期純利益(Net income):103億9400万ドル(対前年同期比+101%)

<2021年6月のFacebook単体ユーザー数実績>

日毎の平均アクティブユーザー数(DAU)…19.1億(対前年比7%増加)

月間アクティブユーザー数(MAU)…29億(対前年比7%増加)

収益・純利益・ユーザー数共に対前年比で成長を続けており、これだけを見ると特に問題ないように思われますが、Facebook社は第3・第4四半期では前年同期比の成長率の鈍化を予想しました。

その主な理由として同社は「特に最近のiOSのアップデートをはじめとした広告ターゲティング規制という逆風が強まること」を挙げています。

We continue to expect increased ad targeting headwinds in 2021 from regulatory and platform changes, notably the recent iOS updates, which we expect to have a greater impact in the third quarter compared to the second quarter. 
(“Facebook Reports Second Quarter 2021 Results”より引用)

広告ターゲティングの制限の仕組みとは?

では、この「iOSのアップデート」とは具体的に何でしょうか。

以前執筆した「楽天が日米政府から監視?個人でできる対策はあるか(https://limo.media/articles/-/23613)」(http://limo.media/articles/-/23613)にて、その内容に簡単に触れたことがありますが、再度解説します。また、2021年8月に入ってAndroidの対応状況も更新されているので、そちらも含めてお伝えします。

iOSについては、2021年8月15日段階にて、すでに各種の広告ターゲティング規制が適用済みです。

具体的には、どのような情報を収集するのか、その情報によるトラッキング(追跡)を行うのかについて、アプリダウンロード前に正しい情報を公開することが各開発者に義務付けられています。

アプリダウンロード後またはアップデート後も、起動したらすぐに「トラッキングを許可するかどうか」の確認ダイアログが表示され、ユーザーが選択しないとアプリを利用できません。

このように、仕組みレベルで「知らないうちに勝手に情報を収集して利用している」ことが無いように義務付けられています。

「楽天が日米政府から監視?個人でできる対策はあるか」(https://limo.media/articles/-/23613)でも書いた通り、これらの規制を不正に回避しようとすると、アプリ公開停止やアカウント削除などの強いペナルティがあり、開発者・企業は対応する以外に方法がない仕組みです。

プライバシー情報関連については、Android(Google)についても対応進捗があり、2021年8月11日に次バージョンのAndroid12が”Platform Stability” (プラットフォームの安定版)となりました。これにより、次のバージョンでどのような機能が提供されるかが確定しています。

プライバシー関連では、Android12では「プライバシーダッシュボード」機能が追加される予定です。この機能は設定画面に追加され、「いつ、どのアプリが、どの情報(位置情報、カメラ、マイク情報)にアクセスしたか」の履歴を利用者に提供するものです。ただ、iOS(Apple)のように「起動時に選択させ、利用者が拒否した場合は情報提供させない」というような強制力はありません。

ターゲティングの制限は「徐々に」影響が出る?

これらのターゲティング制限の影響の出方は、基本的には「徐々に」というのが正しいです。AppleやGoogleといった大きな企業でも、新しいOSバージョンが出てから利用者に十分に浸透するまでの間には時間がかかるからです。

新機能や制限の浸透が完了するのも、以前のOSバージョンが「サポート終了」になるまでなので、最低でも1年程度は動向を見守る必要があるでしょう。

iOSで強力なプライバシー保護機能が追加されたのは、「iOS 14.5、iPadOS 14.5、tvOS 14.5以降」のバージョンからです。つまり、2021年4月27日以降、ターゲティング制限を含むプライバシー保護機能は徐々に適用され、8月で4カ月目を迎えることになります。

ターゲティング制限によって、実際の利用者側にどのような影響が出るかというと、個人の属性(性別・年齢など)や、利用状況に応じた広告を出せなくなってくるので、次第に「大雑把な」内容の広告の比重が増えてきます。

そうすると、利用者にとって「欲しくなる、魅力的な」ものではなくなる可能性が高くなるので、広告がクリックされなくなります。その結果、各種サービスの販売者である出稿主が広告経由での売上を立てることができなくなり、出稿量が減少し、Facebookの広告経由の売上が下がる……という流れです。

したがって、「第3四半期以降に影響が出る」としたFacebook社の予想は合理的と言えるでしょう。

OSの利用者数がポイントに

インターネットビジネスでは今後「顧客にどちらのOSの利用者が多いか」によって広告収益の明暗が分かれると考えられます。iOS比率が高いサービスの場合は広告ターゲティング規制の影響を避けるのは難しい一方、Android比率が高い場合は比較的猶予があります。

アウンコンサルティング株式会社の調査によると、全世界ではAndroidの方が優勢です。とはいえ、同調査では日本・アメリカでは例外的にiOSのシェアが高いため、Facebook 社の見立て通り、Facebookの業績においては広告収益に影響が出るのは避けられないでしょう。

参考資料

Facebook Investor Relations “Facebook Q2 2021 Earnings”(https://investor.fb.com/investor-events/event-details/2021/Facebook-Q2-2021-Earnings-/default.aspx)

Facebook “Facebook Reports Second Quarter 2021 Results”(https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/2021/q2/FB-06.30.2021-Exhibit-99.1_final.pdf)

LIMO 「楽天が日米政府から監視?個人でできる対策はあるか」(https://limo.media/articles/-/23613)

Apple 「ユーザーのプライバシーとデータの使用」(https://developer.apple.com/jp/app-store/user-privacy-and-data-use/)

Android Developers Blog “Android 12 Beta 4 and Platform Stability”(https://android-developers.googleblog.com/2021/08/android-12-beta-4-and-platform-stability.html)

Android 「Android12 機能と API の概要 プライバシーダッシュボード」(https://developer.android.com/about/versions/12/features#privacy-dashboard)

Apple 「Apple セキュリティアップデート」(https://support.apple.com/ja-jp/HT201222)

Apple 「広告アトリビューションに関するアップデート」(https://developer.apple.com/jp/news/?id=5odabsss)

アウンコンサルティング株式会社「世界40カ国、主要OS・機種シェア状況 【2021年5月】」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000034654.html)

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