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電気自動車の国内シェアは15%。普及のカギは何か

LIMO / 2021年8月30日 18時35分

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電気自動車の国内シェアは15%。普及のカギは何か

電気自動車関連のニュースは多く出ていますが、日本国内では電気自動車が身近な存在とはいいがたい状況が続いています。電気自動車が日本で普及するためには何が必要なのでしょうか。

本記事では、各種統計をもとに現状の日本での電気自動車シェアを算出し、普及施策の現状を振り返り、普及のために必要なものについて解説します。

電気自動車(乗用車)の日本でのシェア

日本での電気自動車のシェアは「日本での電気自動車(乗用車)の登録数÷日本の乗用車の登録総数」で求められます。まず、一般社団法人 次世代自動車振興センター「EV等 保有台数統計」から「日本での電気自動車(乗用車)」数を調べました。

<2019年度末=2020年3月・乗用車保有台数(国内)>

EV(電気自動車):11万7315台

PHV(プラグインハイブリッド):13万6208台

FCV(燃料電池自動車):3695台

HEV(ハイブリッド車):914万5172台

計:940万2390台

続いて、「日本の乗用車の登録総数」は、一般財団法人自動車検査登録情報協会「自動車保有台数推移表(令和2年)」から確認できます。こちらは下記のとおりでした。

<乗用車の保有台数>

6180万8586台(2020年3月末=2019年度末)

この2つの数字をもとに、日本での電気自動車(乗用車)のシェアを求めると、約「15.2%」となります。「普及している」と言うには、シェアは半数=50%以上欲しいところです。

新車販売における電気自動車シェア増は普及施策にあり?

一方、「新車の販売状況」を見ると、どのような状況でしょうか。一般社団法人日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」の最新のデータをもとに確認しました。

<燃焼別販売台数(乗用車) 2021年7月>

ガソリン車:10万4807台(49.3%)

HV(ハイブリッド車):9万4286台(44.3%)

ディーゼル:9709台(4.6%)

PHV(プラグインハイブリッド):1743台(0.8%)

EV(電気自動車):1926台(0.9%)

FCV(燃料電池自動車):210台(0.1%)

その他(LPG車など):26台(0.0%)

上記のうち、「電気自動車」と呼ばれるのはFV・PHV・EV・FCVの4種類です。これらのシェアを足し合わせると「46.1%」まで到達しています。新車販売においては電気自動車の重要性は高まってきているのです。新車販売における電気自動車のシェア拡大は、行政による導入補助金や税制面の優遇措置の影響が大きいと考えられます。

経済産業省「EV・PHVプラットフォーム」でも、これらの優遇措置についても一応の情報提供はされています。しかし、2021年8月28日現在、導入補助金は3種類あり、「どれか1つ」を選んで申請しないといけない仕組みです。

「令和2年度第3次補正」(経産省補助)

「令和2年度第3次補正」(環境省補助)

令和3年度CEV補助金

つまり、どの補助金がそもそも適用されるのか、そして、最も有利な補助金額になるのかを購入者自身が比較検討して、決めないといけない仕組みということです。その中で敢えて「補助金上限額」を示すとするならば、FCV(燃料電池自動車)車両の場合が最も補助金の額が高いので、こちらを例にとって示します。

<FCV(燃料電池自動車)車両の場合の補助金上限額>

「令和2年度第3次補正」(経産省補助):250万円

「令和2年度第3次補正」(環境省補助):250万円

令和3年度CEV補助金:225万円

しかし、FCV車であるトヨタ「MIRAI(ミライ)」の相場は新車で710~860万円(2021年8月28日時点)と非常に高価です。補助金があっても単純計算で価格は500~600万円ほどになるので、おいそれと手が出せないでしょう。

一方、税制面の優遇は導入補助金よりはわかりやすくなっており、電気自動車を含む次世代自動車は自動車重量税・取得税が3年間「免税」となります。

電気自動車が普及するために必要なものとは

先ほども示した通り、優遇措置があっても「補助金の仕組みが複雑でわかりにくい」「補助金を適用しても高価」という2点が依然として課題ではあるものの、最大の課題は「充電設備」であると思われます。

充電設備は最も所要時間が短い「急速充電(※電気自動車専用の高速充電設備の一般名称)」でも航続距離80kmに到達するためには15分の充電時間が必要です。100Vのコンセント経由の場合は「8時間」もの時間を必要とします。

ガソリン車を使ってガソリンスタンドで給油する場合であれば、30分もあれば満タンにできるでしょう。

そして、日本にある充電設備の数もガソリンスタンド(給油所)の設備数と比べると物足りない状態です。

電気自動車の充電設備:1万9287か所

給油所(SS)数: 2万9005給油所

充電設備はガソリンスタンドと比べると、1万か所ほど少なくなっています。また、東京都(879箇所)・神奈川県(1040か所)・埼玉県(788か所)・千葉県(822か所)の1都3県および、愛知県(1210か所)に集中しています。(2021年8月28日時点)

乗用車は都市部よりも地方において需要が高いので、「充電がしづらい」というのは導入の足かせになると考えられます。更に、充電設備はいくつかの規格に分かれており、ガソリンスタンドのように「見つければ何とかなる」わけではありません。

そして、都市部であっても導入ハードルは残されています。電気自動車の場合、充電にかかる時間が数時間以上になることから、「自宅での充電」が運用のためには必要なのですが、マンション・アパートなどの賃貸暮らしの場合は自宅での充電が難しく、導入をあきらめざるを得ないケースもあると考えられます。

「欲しくても、現状の生活では運用できない」ケースをいかに解消していくかが、電気自動車の普及のためには必要です。

参考資料

一般社団法人 次世代自動車振興センター「EV等 保有台数統計」(http://www.cev-pc.or.jp/tokei/hanbai.html)

一般財団法人自動車検査登録情報協会「自動車保有台数推移表(令和2年)」(https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000u79o-att/r5c6pv000000u7a3.pdf)

一般社団法人日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」(http://www.jada.or.jp/data/month/m-fuel-hanbai/#)

経済産業省「EV・PHVプラットフォーム」(https://www.meti.go.jp/policy/automobile/evphv/index.html)

一般社団法人 次世代自動車振興センター「「令和2年度第3次補正」と「令和3年度」のCEV補助金について」(http://www.cev-pc.or.jp/hojo/cev-about.html)

一般社団法人 次世代自動車振興センター「令和2年度第3次補正予算 CEV補助金の申請」(http://www.cev-pc.or.jp/hojo/r02hosei-cev.html)

経済産業省「自動車 重量税・取得税の軽減措置」(https://www.meti.go.jp/policy/automobile/evphv/information/tax.html)

価格.com「トヨタ MIRAI (ミライ)の価格・新型情報・グレード諸元」(https://kakaku.com/item/K0000716023/)

経済産業省「充電設備について」(https://www.meti.go.jp/policy/automobile/evphv/what/charge/index.html)

GoGoEV「EV充電マップ」(https://ev.gogo.gs/map/)

GoGoEV「充電スタンド検索」(https://ev.gogo.gs/search/)

GoGoEV「都道府県別充電スタンド設置基数」(https://ev.gogo.gs/report/evchargers/)

経済産業省・資源エネルギー庁「令和2年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/hinnkakuhou/210730a.html)

LIMO「電気自動車に押されるガソリン車?実態は統計データで見てみるとどうなのか」(https://limo.media/articles/-/24050)

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